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コンテストの最優秀者

旧神殿を後にし、渋々顔のレンを私が引っ張るように、カムロ兄様との約束の場所まで行くことが出来た。


「やだ、行きたくない、もう見せたくない、絶対・・・だよな」


などブツブツ言いってるけど、重いんだからね!歩け~~!!

せっかく兄様と仲直り出来たんだから、ここですっぽかしたらまた兄様を不機嫌にさせちゃうでしょ。

それだけは阻止しなければ。


コンテスト会場近くの先ほどとは違うカフェで兄様とジュリアンさんが待っていた。

ん?先ほど出かける前とは何かお二人の雰囲気が違うような?!それに兄様すごく機嫌がいい。


「あぁ、もう時間がきてしまったんだね。ちゃんと帰ってきてエライエライ。ファー様絶対にすっぽかすと思ったんだけど、さすがアメリー!ちゃんと連れてこれていい子だね。今から旦那の手綱をしっかり握っておくんだよ」


怖い・・・

いつも以上に舌が回ってよくしゃべる。

絶対何かいいことあった!でも、聞いたからって教えてくれるような兄様じゃないから、聞かないけど。


4人で連れだって、コンテストの結果を見に行く。

堂々とはしたくないので会場の端からこっそり見たかったのに、


「お!さっきのかわいい姉ちゃんと兄ちゃんじゃないか!あんたらお似合いだったよ!」

「お姉ちゃん踊り上手だね」

「あの、とっても素敵でした。彼女さんと別れたらぜひ私と・・・」


次から次に人が押し寄せ、全然こっそりできない!

レンが人波をくぐるようにリードしてくれるし、手をしっかり繋いでいてくれるので、離れることはないけど、人の力怖すぎる。

壇上に司会者が現れ順番に結果を発表していく。


ミスターフェアリーは3人の海賊妖精君とイケメン君。


ミスフェアリーはおしゃまなお嬢様妖精と、もちろんフレイア。


カップルコンテストは3番目にとっても楽しそうに踊っていたカップル。


うんうん納得、納得。どの子もかわいい!!し、とっても素敵。


「残念だったね」


とレンを見ると、すご~~~~~~く嫌な顔をしていて、私の手を引っ張って会場から出ようとする。


「ねぁ、リアって本当にお馬鹿さんだよね。逃げるぞ!」


「え!なんで?!」


レンに引かれる右手とは反対の左手をカムロ兄様が掴んで離さず、あっさり捕まってしまう。


「逃がすわけないじゃん!ファー様あきらめな」


肩を落とし、がっくりしているレンとニヤニヤ笑って楽しそうな兄様。

どうゆうこと?


「では最後に、今回の最優秀フェアリーを発表いたします。最優秀フェアリーは、カップルコンテストのレーンとアルです!」


・・・え!私たち!?


「嬢ちゃんおめでとう」「ほら壇上に行った行った」「キャー素敵!」「羨ましすぎる」などなど

色々な声がする中、人の波に押されるように舞台まで進み、上に引っ張られてしまう。


「だから言ったんだ。来たくないって」


不機嫌な表情のレンだけど、なんだか嬉しい。

へへへ、と笑いながらぽろっと涙がこぼれる。


「なに泣いてんだよ」


「嬉しいな~って思って。まだ自分に自信が持てないし、レンの隣にいていいのか不安になるけれど、一緒にいていいよ!って言ってもらえているようで、嬉しいの。嬉しいのに泣いちゃうなんておかしいね」


またポロっと涙が出るのをレンがそっと頬に手を添え人差し指で涙が拭ってくれる。


「嬉し涙でも泣くなって」


優しく触れる手に頬を寄せレンの手に重ねた。


「キャー」と歓声が上がり、ハッと我に返る。

そうだ、ここは舞台の上だった!!

いつものつもりで、何やっているんだ!

は、恥ずかしすぎる///

バカップルぶりを見せつけてしまい、恥ずかしさのあまり涙は止まるが、レンは「そうか」と急に機嫌がよくなりニヤッと悪い笑みを浮かべる。

まずい、何かよくないことを思いついた。


「そうか。全員にリアは俺のだって見せつければ、ちょっかいをかけて来ようなんて思わないか」


誰も思わないから、何もしないで!


そんな私の思いもむなしく、頬にキスをされ立て抱きにされてしまう。

「キャー」という声や、「もっとやれ!」と下世話な声など、観客からはやんややんや囃し立てられ恥ずかしさのあまり、意識を失えればよかった・・・けど、私もこの人は私のだと主張出来て、ちょっぴり嬉しかったのは、ナイショ!

大きな拍手や歓声の中、コンテストは大成功を収めたようだ。


にぎやかなお祭りは幕を閉じ、少しずつ会場から観客が減っていく。

順番に賞品をいただき、お終いなのだが私たちの賞品はお花1年分!・・・う~ん間に合っているんですが、どうしよう。

庭には花が咲き乱れ一年中楽しませてくれるし、レンからお花をいただくことも多い。

どうしようかとレンに聞くと、私の好きなようにしていいと言う。

私の好きなように・・・


「このお花って私が直接もらうんじゃなくてもいいんですか?」


「かまいませんよ」


「でしたら、旧神殿を飾っていただきたいです」


今日行ってみて、私は大神殿より旧神殿の方が心地よく感じた。

大神殿は花の女神の力が強く、心現れるように感じるが、旧神殿は光の神の力を強く感じ、守られているようで安心した。

「承りました」と言われ、1年間旧神殿に綺麗な花を飾ってもらえるようでよかった。



「アメリー、おめでとう」


カムロ兄様がなんとノア兄様と一緒にやってくる。


「ノア兄様なぜこちらに!」


「騎士団の警備で来ていたが、カムロに面白いものが見られると言われて、団長にお願いして少し席を外させてもらう時間を作ってもらったんだ。アメリー可愛かったよ。おめでとう!本当に素敵だったよ。さすが我が家のお姫様だね」


恥ずかしがる私をノア兄様がかわいいっと頬にキスをしてくれるので、嬉しい!と微笑み返す。


それを驚きの表情でフレイアが見ていたことに気付き、まずいと感じた。

私の周りに攻略対象が多すぎ、みんなから愛されていることに気付かれてしまう。

・・・背筋が凍るような気持ちがした。


にやっと笑ったフレイアの口が開き何か言っているように感じたが、聞こえないが燃えるようなピンクの瞳の狂気に飲まれそうで怖くて目をぎゅっとつぶってしまった。




『バグ、み~つけた!』

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