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石の輝き

コンテストが始まった。

舞台を囲むように観客が並び、順番に参加者が出てきて自分の魅力をアピールするのだ。


コンテストは会場の皆さんからの投票で決まり、舞台でのお披露目の後夕方には優勝者が発表される。

コンテストはミスターフェアリー、ミスフェアリー・カップルフェアリーの三つで、その中でも年齢ごとに部門が2つに分かれている。

ピンイン部門・0歳から11歳

ホアレイ部門・12歳から16歳


そして全ての中から最優秀フェアリーが一名(又は一組)選ばれるのだ。


まずはミスターフェアリーコンテストが始まる。

可愛らしい赤ちゃんとお供のお父様、妖精というより海賊のような3人の男の子たち、王子様に憧れる男の子、自分に自信があるんだなぁと思えるナルシストくん、本当にイケメンくんなど、色々な参加者がいて、大変盛り上がる。


「ねぇ、あの子凄く可愛いよ!あー!あの子たちも面白い。自分達を見せるの上手いよね」


キヤーキヤー楽しむ私に、レンはちょっぴり不機嫌。


「あんまり真剣に見んなよ」


「いいじゃん、私いつも見たことなかったからとっても新鮮!」


今まで花祭りから逃げていたけど、こんなに楽しかったなら、もっと楽しめば良かったなぁ、最後で残念。

レンの顔を見て笑う私に笑い返してくれて、迷子にならないようにって手を繋いでくれる。


全てのミスターコンテストの参加者が終わり、いよいよフレイアが出るミス・フェアリーコンテストが始まった。


おしゃまなお嬢様、街中の幼なじみ、本当に天使のように可愛い子もいる、妖艶な妖精って年齢偽ってるの!と言いたくなる子や、プリンセスのような妖精など、女の子は華やかだった。

そしてフレイアの登場。

場が静まり返りその美しさに全ての人が魅了される。


「くっ!」


そんなフレイアの魅了に抗うようにレンが頭を振り、開いている片手でこめかみを抑えて目を瞑っていた。

私は繋いだ手をギュッと握りしめ、


「レン、レン、大丈夫。私が一緒にいるよ。レン・・・」


『名前を呼んで、リア』うん、たくさん呼ぶよ。

私が護る。

すると私の想いに答えるように、私のつけている緑の石の輝きを感じた。


「・・・リア」


うん、おかえり。

レンの胸にギューッと抱きつくと、同じように抱きしめ返してくれる。

よかった、まずは第一関門突破!

そこで、急にカムロ兄様のことを思い出し、辺りを見回すが・・・いない。

もしかして何かを感じて退避した?!

良かったけど、うち(カサヴァーノ)の情報網も結構凄いなぁ。


でも、やっぱりフレイアの石の力が弱い。

舞台に向き直りフレイアを見る。

推しの石をつけるのは相手により良くアピールするためと石の力を借りる事でもある。

ダイヤモンドは透明なので何色にも染まっていないから、何色にも染められるということで、攻略対象全員に対応できる。

でも、このダイヤモンドでは力不足。

本物だったら、レンがこんなに早く意識を取り戻すことはきっと難しいだろう。

なによりこの小さな輝きよりももっと強い輝きが他にある。

じっと見つめていると、首から下げられているペンダントが一瞬見え、石の強い輝きを感じた。

あれだ!

一瞬だったから、何の石かまで分からなかったけど、フレイアは大団円を望んでいるようで望んでいないのかもしれない。

あの石の人を求めているのだろう。

でも誰?


というか、私って石の輝き感じられたっけ? 


拍手喝采の中フレイアがぐるっと回ってにっこり微笑んで手を振って舞台の奥に戻っていった。


さあ、次は私たちの番だ。

あまり気乗りしないけど、エントリーしたからには仕方ない。

でも、みんな可愛いかったなぁ。

自分の魅力をどう表現するといいかが分かっていて、すごいと思う。

まだ眉間に皺をよせ軽く頭を振っているレンは本調子ではなさそうだ。


「大丈夫?」


心配して顔を覗き込む。

うー、憂を秘めた感じで色気が半端なくて凄い!


「本調子っていうわけじゃないし、なんかまだ変だけど大丈夫。会場裏でまた会うと思う方が憂鬱」


げんなりといった表現がピッタリな表情で思わずくすりと笑ってしまう。

笑うなよと言いながら手を引いて歩き出す。


「さて、出るからには優勝だからな。頑張ってアピールしてね、お姫様」


「私には無理だよ!」


「二人で頑張ろうね」


そうか、『一人』じゃないんだ。

私たち『二人』なら頑張れる・・・かな!?


私の髪につけたエメラルドが、小さく応援するように輝いたような気がした。

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