表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/134

コンテストにエントリー

「えー!!なんでカムロ兄様が一緒なんですか?!」


レンとお祭り!

と思っていたら、なんと今日は保護者同伴でした。



次の日熱は下がったけどまだ体の痛みが残っていたが、出かけるのには問題ないと、カムロ兄様に言われお祭りに行くお許しをもらった。

でも手首の赤みと腫れが引かないので、薬と湿布はまだ必要なので、髪を結ぶために用意してあったリボンを、ウタが手首の包帯を隠すよう編んで綺麗に結んでくれた。

ウタって本当になんでもできてすごい!!

着付けが終わって鏡を見ると、やっぱり今年の衣装も可愛い! 

手首のリボンも雰囲気があってとてもかわいい。


「お嬢様、とても可愛いです!でも、昨日熱を出したのですから、あまり無理しちゃダメですよ」


ウキウキしている私にウタが釘を刺す。

分かってます、また発熱して明日以降行けなくなったら困りますもの。


支度を終えて迎えにきているレンが待つ、玄関ホールに向かうとなぜかカムロ兄様が一緒で・・・冒頭に戻るのです。



「なんで一緒なんですか」


少し不貞腐れて言うと、カムロ兄様は笑いながら、


「だって昨日熱出しただろう。心配だから一緒に行くね。あ、途中からジュリアンが来るから、一緒によろしく」


な、なんと!

お兄様、私たちを隠れ蓑に、ジュリアン様とデートを楽しもうとしていらっしゃるのでは?!

お兄様グッジョブです!!

でも、この花祭り中は一緒じゃない方がいいんだけどな。

今日フレイアがどこにいるか私には分かっているので、出来れば攻略対象のお兄様にはご遠慮頂きたかったのですが、これも補正の一つなのかもしれません。


城下に行くので髪の色を金色にし、髪型をポニーテールにしてもらい、薄緑のリボンに銀のカサブランカのアクセサリーを付けてもらう。

銀のカサブランカにはちょっと大きめなエメラルドがついていて、レンが嬉しそうに見ているのが恥ずかしくてたまらなかった。


「ねぇ、レン。あのね・・・」


「ん?どうかした?」


「あのね、これ///」


小さな小箱を渡す。

開けていい?って聞かれたので、ブンブン縦に首を頷くのが精一杯だった。

レンが緑のリボンを解き、中を見て驚いたように固まり、そしてとても嬉しそうに笑ってくれた。

中には小さな金のカサブランカのラペルピンが入っていた。


「ありがとう。これ、リアの瞳の色だね」


「フラワーホールにつけられるかなと思ったけど、今回はブレザーじゃないから、フラワーホールがなくてピンタイプだから、つけられないと思うけど、つけてくれるといいなぁというか。あれ、何言ってるかわからなくなっちゃったけど、せっかく用意したから渡そうと思って」


テンパり過ぎて何を言っているか分からなくなって慌てたけど、すごく嬉しそうなレンにプレゼントして良かったと思う。

私たち女の子だけ好きな人の色をつけるのでなく、大切な人にも私の色もつけて欲しいなぁ〜って。

///恥ずかしい。


「じゃあ、こうしたらいいか」


と、シャツの衿にブスッと穴を開けてつけてしまう。

ギャー!!芸術品に穴が!!

つけてくれて嬉しいけど、無造作すぎる!

アワアワ慌ててしまうけど、レンがとても嬉しそうに笑っているから、まぁいいか。

デザイナーさんごめんなさい。


そんなバカップルのやり取りを少し離れたとこから見ていたカムロ兄様が、盛大なため息をついていたことは知らない。



花祭りにやってきた。

今日は花祭り3日目。

花祭りのメインイベントの妖精の衣装を着た男女のコンテスト、『ミスター・ミスコンテスト』と『カップルコンテスト』が行われるのだ。

ここに必ずフレイアはやって来る。


「そういえば2人ともお揃いの妖精の衣装着ているんだし、今年で最後なんだからコンテストに出ちゃえばいいじゃん。僕申し込みしてきてあげるね」


「いやダメダメ、カムロ兄様。そんなの恥ずかしいから私には無理です」


私の静止など全く聞かずにさっさとカップルコンテストにエントリーをしてきてしまう。

しっかりレンに城下での通り名を聞き、レーンとアルで申し込みをしてきたあたりが抜け目ないと感じてしまう。

初めからエントリーするつもりだったなぁ。

うーっと睨みつける私に、してやったり顔の兄様。


「まあまあ、今年で最後の記念と思って、ね!」


後で兄様の苦手なものとかジュリアン様に言いつけてやる!と心の中でべーっと舌を出した時、何かを感じて振り返る。

そこにはコンテストにエントリーしている美少女がいて、私は目が離せなくなってしまった。

チェリーブロンドの髪をサイドアップにし、白を基調としたワンピースに所々に花の刺繍がされ、薄いピンクと水色のシフォンが妖精の羽根のようにふんわり広がっている。

凄く可愛い!似合ってる!流石ヒロイン!!

そして胸のアクセサリーの宝石は、ダイヤモンド。

やっぱり思っていた通りだけど、うーんなんだろう、なにかが違う。

レンやメアリアン様、ジュローム様から聞いていた、ヒロインのイメージとも違う。

かといってゲームのヒロインの愛らしさとも違う。

もちろん凄く可愛いい絶世の美少女!なんだけど、なんか憂いを感じるし、それに楽しそうじゃない。


(あつ!オーラを感じないんだ!!)


圧倒的なヒロインのオーラを感じない。

ダイヤモンドの光もとても弱い、まるであれではガラス玉。

ん?!なんだろう?別の光を感じるような気がするけど、気のせい?


「・・ア、リア・・・リア!!」


「え!は、はい!」


大丈夫?熱出た?どこか痛い?!と、レンとカムロ兄様に囲まれてしまう。

大丈夫だからと離れてもらった時には、もういなかった。


なんだかとても気になる。

ヒロインは私の恋敵のはずなのに、そう感じない。


『あの子を助けてあげて』


不意に悲しそうな、優しい女の人の声が聞こえたような気がして辺りを見回すが、誰もいない。

あの子ってフレイア?!

この後舞台で会った時、何かわかるかしら?


これから対峙するヒロインに負けない!という思いと、どうにかしてあげたいという複雑な思いを感じていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ