表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/134

メアリアンの涙

学園に着くとちょうどジュローム様とメアリアン様が少し前を歩いていらっしゃった。

走って行きたい!けど、走ったら目立ってしまう・・・


「ジュローム!」


レンが私の葛藤に気づき代わりに声をかけてくれた。

パッと振り返ったメアリアン様は私と目が合うと、大きな瞳に涙を溜めながら私のところに小走りできて飛びついて泣き出した。


「ア、アルメリア様〜!うわ〜ん!!あ〜ん!!」


こんなに声を上げて泣くなんて・・・

昨日の接触がどれだけ辛かったかが伺えて、心がとても痛んだ。


「大丈夫ですよ、大丈夫!大丈夫・・・」


ギュッと抱きしめ背中をあやすようにぽんぽんと叩いて慰める。

みなさんが通られるところでこんなに泣いているメアリアン様は大変目立ち過ぎてしまうため、初めの授業はサボることにしてみんなで中庭に移動することにした。

涙が止まらないメアリアン様はジュローム様が抱き上げて移動した。


芝に並んで腰かけるが、まだメアリアン様の涙は止まらず、私の腕に手をまわしてくっついたままである。

ジュローム様がサロンから外でお茶が出来るようバスケットに入れて販売している、紅茶を買ってきてメアリアン様に手渡し、私たちにも同じものを渡してくれた。

温かく香りの良い紅茶をゆっくり飲むことで少しずつ気持ちが落ち着き、涙も止まることが出来た。


「恥ずかしいところをお見せしてすいませんでした」


「何も謝ることはないですよ。大丈夫ですか?」


メアリアン様は私をじっと見て「はい」と微笑むことが出来、少し安心した。

フレイアに会ったショックを引きずっていたのだろう。

昨日のことをぽつりぽつりと話すことで、少しずつ気持ちの整理がつき、話が終わるころにはいつものかわいい笑顔のメアリアン様に戻ることが出来た。

カラ元気というのが、見ていてわかり痛々しく感じるけれど、それを隠しているのでこちらも気付かないフリをした。


「私はなぜかアルメリア様を裏切ってしまうようで怖くてたまりません。本当は1番のお友達でいたいんです。でも、あの方を前にすると自分でもなんでか分かりませんが、思考が覆われ言われたことを遂行しないといけないと感じるんです。信じてください。私は、アルメリア様のためになりたいんです。でも・・・」


メアリアン様は自分の中の気持ちの葛藤を言葉にしてくれようとしているけど、言葉で言い表せないのだろう。

何を言っているのか分からなくちゃ言いましたと、苦笑し最後に、


「私は、あなたの味方でいたいんです!」


力強い瞳と言葉。

その気持ちだけで嬉しい。


「ありがとうござます。私もメアリアン様とずっとお友達でいたいです。それに、どうしようもないことが起きることを理解しています。あなたの心とは違うことも。だから無理なさらないでください」


私は皆さんが苦しむところを見たくはないんです。

やはり合わなきゃいけないのかもしれない、ヒロインに・・・

対峙して私に何が出来るか分からないけど、会ってみてヒロインが何をしたいのかを探らなければいけないと感じた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ