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私について

この世界の『アルメリア』は、子供用の馬から落馬をして頭を強く打ち意識不明で7日間眠っていたという。

頭を強く打ったことで、前世の『私』の記憶がフラッシュバックを起こし、記憶の混乱を起こして気絶したけど、今は落ち着いた。

なんといっても、この世界で生きて来たアルメリアの分もちゃんと忘れていなくてよかった。

忘れていたら記憶喪失で変な知識のある、変人扱いを受けるところだった。


前世の私は一般商社の受付けをしていた。

特段美人なわけでも、何か秀でた才能があるわけでもない極々一般的な28歳の女性だった。

父とは母が離婚してから会っていないので、生きているかも知らず、たった1人の肉親の母が亡くなってからは、一人で気ままに生きて来た。

誰かに恨まれるわけでもなく、かといって誰かに特別に必要とされるわけでもないお気楽なお一人様。

仕事帰りにバスに乗っていて交通事故に巻き込まれたことは思い出したけど、多分前世の私はその時に死んでしまったのだろう。

一緒に乗っていた先輩はどうしただろうか。

無事だといいけど‥‥

親戚もいない天涯孤独の私の死後、『私』がどうなったかは分からないけど、知らない誰かに迷惑をかけてしまったことは間違いない。


そして転生したこの世界は、私が楽しんでいた乙女ゲームだった。

転生できてラッキー!なのだろうが、なぜ乙女ゲーム?!

そこまでやりこんでは無かったけど、それなりにやっていたが、まさか推しがお兄様になるとは。


私の推しは長男のノア兄様だ。

優しくて頭が良くてスポーツ万能!そして、声が推しの声優だってことが1番なんだけどね。

このゲームの攻略対象とされるのが、我が家の兄様方3名、この国の王太子殿下、王弟殿下、宰相閣下の御子息だったけど、ゲームがとても人気があったことで続編が発売され、近衛騎士、王太子殿下の密偵、隣の国の王太子殿下と従者が追加された。

残念ながら続編まではやってない。やっておけばよかったなぁ。

今ノア兄様が13歳ということは、ゲームが始まるのはあと10年後、ヒロインが16歳で学園に編入してくるとこからゲームは始まるのだから。


でも、私は確か名前も無かった攻略対象者の妹だったはず。

私が転生したキャラはヒロインの一つ年下のクラスに妹がいると会話に出て来たくらいの存在。

モブキャラだからみんなと関わる機会がないのと、ヒロインではないので攻略対象者と恋愛できるわけではないのが非常に残念だ。

まお、推しだからと兄様と恋愛は考えられないけどね。


でも日々推しの声を満喫できるし、このゲームのキャラデザが素晴らしいのでスチルが綺麗なことで話題になっていたので、物陰から鑑賞を楽しむことができる!

これはこれなりにいいのかも!!

自分の立ち位置を把握できると、これから色々楽しめそうでワクワクしてきた。


そこでふと思い出す。

1番初めに目を覚ました時に抱きしめてくれた男の子。

多分あの容姿を持つキャラは、王太子のファーレン・ルノア殿下。

幼なじみで、従兄弟殿だ。

王太子殿下と幼なじみというのも、私のお母様は元お姫様。

今の王様と数いるご兄弟様の中でも、血縁にあたるご兄妹なので、従兄弟という家族関係でもある。

俺様キャラで私的にはあまり好きでは無かったので、始めてすぐにやめてしまったが、ゲームとの印象が違うような感じがした。

まだ成長していないからかな?!

そういえばとても心配してくれていた。

本当はとても優しいのかしら?!

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