迷子の庭の秘密とキス
何度も、何度もキスをしてふわふわした気持ちになったころ、やっとレンが唇を離しぎゅっと抱きしめてくれた。
あ~私、やっぱりこの人のこと、
「好き」
「リア、今なんて・・・」
「・・・大好き、レン」
初めて素直に言うことができた私は、今までで一番幸せな顔をしていたと思う。
自分を見つめる大好きな人の顔がみるみる真っ赤になっていくのを幸せな気持ちで見つめる。
好きな人に好きと伝えることは、こんなにも幸せで嬉しいことなんだ。
「うわ~、初めて言われて嬉しすぎるけど、今言われるのは想像以上にくるものが」
仰向けに寝転がり両手で顔を覆ってしまうレン。
横に並んで寝転がっている私は、そっと身を寄せるようにくっつく。
「いつも恥ずかしいセリフのオンパレードであっちこっち触るくせに、私に言われると恥ずかしがるなんてずるいな~。そんなとこも可愛いけど」
ふふふ、と笑う私を抱き込み嬉しそうにレンは笑った。
「凄く嬉しい。好きだと思ってもらえているとは分かっていても、言われないのはちょっぴり不安に感じるからね。でも可愛いは余計かな」
私の鼻を摘まんでにやっと笑った。
その笑顔は、とっても嬉しそうで覚えておこうと心のどこかで思っていた。
ひとしきりくっついてキスをして、静かに身を寄せあって寝転がって空を見上げる。
鳥のさえずりと青い空はとても澄んでいて気持ちがいい。
「よく見つけたね」
「あぁ、何か秘密の場所があるとは思っていたんだけど、ついこの間来るまで探すの忘れていたんだ」
先日の衣装合わせの時に久しぶりに中庭にきて思い出して探したという。
「子どものころは分からなかったことも、見かたを変えると気づくんだと思ったよ。あの時、なんで俺たち迷子になったか覚えているか?」
「たしか、陛下と王妃様を見かけて追いかけて迷子になった気がする」
「そ、正解」
ひょいッとレンは起き上がりう~んと伸びをする。
「追いかけたのにいなかったてことは、どこかに隠れるところがあるんじゃないかと思ってね。子どものころはここの葉っぱの違いに気づかなくって見つけられなかったけど、今は分かるんだなぁって。まぁ簡単な仕掛けだけどね」
「いいとこだね」
「そうだな。ここは父上と母上の密会場所だったんだろ。今は使ってなさそうだけど、その当時は忙しくて中々イチャイチャできなかったから、隠れて使ってだんだろう」
「イチャイチャって///」
こんな風にしてたんじゃないのなんて言いながら、抱き起してまたキスをする。
「ねぇレン、急にキスし過ぎ」
レンの胸に顔をうずめて赤面する私。
「決めてたんだ。『りあ』って呼べたらキスするって」
ん?東国語?・・・違う、日本語??
発音の違いを一瞬感じたけど、気のせいだよね。
空の色が変わり日が傾いてきた。
レンに促され、家に帰ることにする。
乙女ゲームの補正やヒロインがファーレンルートに入ったこと、ゲームとはまた違った展開を感じ、これからヒロインがどう動こうとしているかなど、不安はいっぱいあるけど、頑張ろう!
やっぱり私はこの人が好きだから。
小さいころから一緒に育ち、今一緒にいるこの人を失いたくないから。
私の今の人生はゲームじゃなくて、今現在進行形で進んでいるのだから。
がんばろう。
悔いのないように・・・
いいねや読んでいただきありがとうございます。
明日の0時に2話更新予定です。
また誤字脱字の報告ありがとうございます。
初めての投稿なので、1回は出来たのですが、その後やり方が分からずまだ出来ていません。
すいません・・・
では、次話も読んでいただけると嬉しいです。




