ファーレン殿下は『ファー』?『レン』?
衣装合わせが終わり、王城の中庭でお茶をいただく。
昔、この中庭でレンと迷子になったことがあるほど、中庭といえども広い。
バラがちょっとした迷路のようになっていて、今は迷うこともないけど私たちの中では迷子の庭と呼んでいる。
「アメリー終わった!」
東屋では先に衣装合わせが終わったレンが待っていた。
う~ん、子犬!
主人が帰ってきて嬉しくて喜んで振っている尻尾が見える・・・
「ファー君、これからお父様と一緒に出掛けるんじゃなかったの」
「予定時間より早く終わったので、アメリーの顔を見てから出かけようと思いまして。今日は顔色もいいね」
「今日は朝食もちゃんと食べてきました。かわいいお洋服を着たり、とても楽しかったからかな。レンの衣装を見るの楽しみにしていますわ」
私の頬に手を添えて見つめるレンに微笑む。
楽しそうな私に、嬉しそうにレンも微笑んでくれる。
「アルメリアちゃんすっごく可愛かったから、楽しみにしていてね。ファー君、本当は見れなくて残念でしょう。母は先に見ちゃったからね、もう妖精、天使、さすが女神!」
「いや、まだ女神じゃねし。アメリーは何を着ても可愛いけど、花祭りの妖精は格別だろうね。楽しみにしているよ。では、父上のお供をしてくるね」
「行ってらっしゃい」
私のおでこにキスをし、王妃様に会釈をして出かけて行った。
私たちのやり取りを見ていた王妃様が、紅茶を飲みながら微笑む。
「甘いな~。いいな~若いって」
「いえ、あの///」
赤面して慌てる私に声を上げて、王妃様が笑っていた。
ドキドキしている中、いつか聞きたいと思っていたことを王妃様に聞いてみることにした。
「なんで、みなさんファーレン殿下のことをファーと呼ぶんですか?私だけレンって呼んでるし」
「なんでだろうね。昔からファーレンは『ファー』なんだよね。『レン』はアルメリアちゃんだけに許した特別な呼び方なのかもしれないわね。ほら、ファー君アルメリアちゃん大好きな心の狭い男だから」
かわいらしいくウインクをされる王妃様は、やっぱりレンとそっくりで、そしてとても可愛かった。




