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好きな色は・・・

学園生活は楽しかった。

今まではお城と自分の屋敷の往復で、歳の近い友だちはおらず、ましてや女の子がたくさんいる環境なんて初めてだったので、とても楽しかった。


その中でもラスティン公爵家のメアリアン様とは話が合い、親交を深めることが出来た。

サラサラの金髪にこぼれそうに大きなブルーサファイヤのような瞳、出るところは出ていてくびれるべきところはくびれた抜群のプロポーション。

とても美しくてかわいいが似合うご令嬢だ。

この先、一生の親友になるとは、この時はまだ思っていなかったけど。


今日の講義が終わり、屋敷に戻る前サロンで二人でお茶をすることにした。

ここの紅茶は王宮で出されるものの次においしくて、ケーキもとてもおいしいのだ!(うちのパテシェには内緒だけどね)


「アルメリア様は博学で色々なことを教えて頂けるので、お話を聞いているだけでとても楽しいですわ」


「そんなことないです。私は知識はあっても経験不足で、色々なことに挑戦されているメアリアン様にはかないません。今度遠乗りにご一緒したいですわ。私ステラレイクに行ったことないんです」


「もちろんですわ!殿下がお許しになってくださったら、ぜひ!」

 

「あははは・・・(絶対に許してくれない)」


メアリアン様は乙女ゲームの『花の都に舞い降りる天使』のサポートキャラだったはず。

宰相閣下のご子息と幼馴染で、ヒロインがご子息ルートに入らなかった場合は、婚約するんだったっけ。

でもヒーローの周りにいる幼馴染や今一緒にいる恋人は、ヒロインに振り回されてしまい悲しい思いをするかもしれないキャラがたくさんいることになるんだと、改めて感じた。

乙女ゲームって残酷・・・

だって、この世界の私たちはちゃんとここの住人として生きて生活をしているのだから。

ヒロインやヒーロー主体の正規ルート以外にこんなにも人が生き、そこでの生活や営みがあるんだってこと、ゲームをやっているときには全く気付かなかった。

まぁ、モブキャラになったから分かったことだけどね。


紅茶を一口飲んで、今日のおすすめマカロンを口に運ぶ。


「あ~おいしい」


ピスタチオクリームの挟まった、きれいな薄緑のマカロン、まさに芸術。

幸せそうな私にメアリアン様が微笑みながら言った一言に、マカロンを詰まらせてしまう。


「ふふふ。本当にアルメリア様は緑色が好きですわね。大好きな殿方の瞳の色ですものね。分かりますわ」


思わず飲み込んでしまったマカロンがのどに詰まる。

淑女にあるまじき失態!

なんて思っている私の前に飲み頃に冷やされた紅茶がすっと差し出されたので、ゆっくり飲み干した。


「ほらゆっくり飲んで。何やってんだ。大丈夫か」


背中をポンポンなんて優しく叩いてくれるのは、今話題に上っていた翠の瞳のレンだった。

メアリアン様・・・自分でも緑色(翠色)が好きなことは分かっているからあえて言わないでほしかった。

ほっと、息をつくと隣にさも当たり前のように座るレンを見る。


「レン、会合は終わったんですか?」


「あぁ、終わって来てみたらメアリアン嬢とアメリーがいたんでね。まさか喉に物を詰まらせているとは思わなかったけど」


くくく・・・と笑いだすレンからプイッと視線を逸らす。


メアリアン様の隣にはこちらもさも当たり前のように、ダミラス宰相閣下のご子息ジュローム様が腰掛け、メアリアン様のブドウのマカロンを摘まんで食べていた。

ジュローム様も攻略ヒーローの一人なので、それはそれはきれいなお顔立ちをしている。

真っ黒な髪に菫色の瞳・・・

あれ、メアリアン様のマカロンは紫色のブドウだったはず。

よく考えると、サラサラな金髪には菫色のかわいらしいリボンがついている。


「そっか、メアリアン様は紫色が好きなんですね」


「え!///急に何を言われるんですか」


顔を真っ赤にしたメアリアン様はとてもかわいく、その隣でそんなメアリアン様を見つめるジュローム様は、私を見る時のレンに似た微笑みをしていたような気がした。

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