表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生モブ令嬢の幼なじみはヒロインを御所望中  作者: いちご
本編・花祭り編レン視点(表記なしレン視点・その他視点名前入りであり)
121/134

学びは楽しいけど、覗きはもうしません

それからの僕たちは一緒に学問に国の歴史や魔法学、他国の語学などたくさんのことを一緒に学んだ。

アメリーも前世の記憶があるのだろうか?と思わせるほど、どの科目もよくできた。

僕がちょっぴり苦手としている東国語なんて完璧だった。

それに大陸公用語もほぼ問題なく読み書きができている。

記憶があるのかとカマをかけても、特に変わりがないので記憶は無さそうだ。

多分魂の記憶が彼女を助けてくれているのかもしれない。

それと2人でダンスの練習もした。

アメリーは結構体力があり、リズムに乗って身のこなしも軽やかで一緒に踊っていてとても楽しかった。

問題があるとしたら僕が致命的に音楽のセンスがないため、早々に講師の楽団から匙を投げられてしまったことだ。

ダンスは体を動かすので全く問題なくリズムに乗れるのだが、声楽や合奏となるとみんなが頭を抱え、アメリーには『殿下にも苦手なものがあるのですね』と苦笑いをされてしまった。

おかしいな?カラオケはあまり好きではなかったけど、苦手じゃなかったはずなんだけどな・・・

僕に音楽を学ばせることを諦めた講師陣はその頃からこの時間は僕とアメリーの講義内容を分け、僕は剣術、アメリーは音楽の勉強となっていった。



剣術の練習は基本裏庭の広い敷地を使って行っている。


「殿下左側がガラ空きですよ。打ち込まれたらそこから崩れていきます。このように!!」


ランバートの指摘に左側をガードするように模擬刀を動かすが、それより早くランバートの木刀に打ち込まれギリギリ模擬刀の先で塞ぐが弾かれ手も届かないような遠くに飛ばされてしまう。

肩で息をつき地面に膝をつく僕に、ランバートは自身の木刀を僕の顔の前に突きつける。


「この後、実戦であれば残念ながら殿下は命を落とすでしょう。敵はこのように甘いところを指摘してくれませんよ。それでは剣を拾い腰に下げて裏庭3周、腕立て20回、腹筋20回、そこの木で懸垂20回。殿下は打ち込みだけでなく基礎体力をつける必要があります」


裏庭っていってもかなり広いので1周すると1キロはあると思われ、それも重い模擬刀を持ってだ。

かなりしんどい。

僕まだ5歳なんだけどなぁ・・・

ランバート言わく筋肉をつけすぎると、その先の成長に影響が出るからと筋トレはほどほどに体力をつけていくほうがいいらしい。

多分僕は父上ほど大きくはならず、ほどほどに身長が伸びると推測されるが、外交上ある程度の威厳が必要らしいから国王の背丈も重要らしい。

ほんと王太子って大変だなぁと、第三者目線で考えながら、呼吸が整うのを待ち僕は飛ばされた模擬刀を拾い腰に下げた。


「ジン!いるんだったら一緒に走るぞ!その方が護衛もしやすいだろう」


「うえ!マジかよ殿下。俺この時間はランバート様が見てくれるからお休みタイムなんだけど」


「まだ見習いのくせに何言ってんだ。文句言わず行くぞ」


目の前に現れ『へいへい分かりましたよ』なんてブツクサ言いながらも、ちゃんと側に着いてきてくれる。

本当はこんなスピードじゃ遊びと変わらないのだろうが、護衛対象にちゃんと合わせてくれるところが優しい。


「そういえば、今日のアメリーの予定を聞くの忘れていたなぁ」


走りながら今の時間アメリーが何をしているのか気になりポツリと声が出た。


「なに?殿下気になるの?んじゃあ、よっと!ランバート様、ちょっと行ってくんね!」


「えっ?!ジン、殿下をどこに連れて・・・」


ランバートから1番離れたところを走っている時に、僕を肩に担ぐとジンは大きな声でそう言うとすごいスピードで走り出した。

ひょいひょいと木の上を飛びこえあっという間に3階にある音楽室のテラスに着くと静かに僕を下ろした。

ジンは唇に人差し指を立て『シー』と小さく呟き、そっと窓を少しだけ開けると中を覗くよう促した。

僕も静かに窓に近づき中を覗くとピアノのそばに立つアメリーが見えた。

部屋の中からはピアノの旋律と歌声が聞こえてくる。

これはルノアの春の歌だ。

アメリーの歌声はとても綺麗だ。

美しく優しい歌声は冬の寒さから春の暖かさを呼ぶようで、ずっと聞いていたいと思った。


が・・・


ガツン!!

と、ジンの頭に拳が落とされ、


「ぎゃあー!!いってぇー!!!!!」


という、叫び声と共にピアノの音が止みアメリーの護衛が窓を開け放ち、刀を抜きテラスに出てくる。


「えつ!?で、殿下なぜここに?!」


とそこには、中を覗き見している僕と頭を抱えてのたうち回るジンと鬼の形相で立つリアトがいたのだった。


「てめぇ、護衛の分際で護衛対象拐かすったぁどうゆうことだ。今までの修行じゃあ足りねえなぁ。覚悟しとけよ、締め上げてやっからよー」


こ、怖い。

いつもは無口で陰に達しているリアトからの射殺さんばかりの鋭い殺気に、僕の背中にも嫌な汗が流れていく。


「そして、殿下もこのバカにのせられたとはいえ、淑女の学びを覗き見するのは良くねぇなぁ」


そう言うと僕とジンの二人の首根っこをひっ捕まえ、ぶら下げるように持ち上げた。


「アルメリア様、学びの時間をお邪魔してしまい申し訳ありませんでした。二人にキツく言い聞かせておきますので

この度のことはお許しください」


「は、はい」


リアトはアメリーには優しく微笑むと『行きますよ』と言って、なんとそのまま3階のテラスから飛び降りたのだ。


「きゃー!レン様!!」


テラスの淵に走り寄り落ちる僕を心配して覗き込むアメリーの顔が見えたような気がしたが、僕はその時あまりの恐怖に半分意識が飛んでいたようであまり覚えてなかったが、もう二度と絶対に覗きはいけない!!と肝に銘じたのだった。





幼い2人の王城での学びの様子です。

なんでもできる完璧な王太子のファーレンですが、実は音楽が苦手という裏設定がありました。

やっぱり誰しも何かしら苦手なものってありますよね。

そして前世の蓮君も本人は気づいていませんでしたが、あまり歌は得意ではありませんでした。

周りの優しさでカバーされてたようです。


ファーレンに前世の記憶があるのでは?と疑われたアルメリアでしたが、こちらはど天然なお嬢様なのでファーレンの疑いと問いかけに全く気づいていませんでした。

バレずによかったよかった。


そして久しぶりのジンとお師匠のリアト登場です。

リアト初めてまともに出てきたのでは?!

本当はもう護衛としては引退する年齢なのですが、最後の弟子のジンを可愛がり自分の全てを叩き込もうとしています。

口は悪く見た目も怖い印象なのですが、根はとてもいい人です。

この後半分気絶していたファーレンをランバートに投げつけると、移動魔法で飛んだ先にある国境近くの大きな谷の崖下にジン投げ捨ててしまいます。

移動魔法を使わず自力で帰って来い!と言ってリアトは移動魔法で先に帰ってきてしまいます。

危険な動物や大型昆虫などがいる地方で、毎年死人も出るという有名な場所からの帰還は困難でジンは帰ってくるのに1週間かかりました。

師匠の愛の重さにもう2度とファーレンを拐かさない誓ったはずなのですが・・・(笑)

ジンさん懲りない人なのでこれからも色々やってリアトにお説教されてしまうんでしょうね。


いつも読んでいただきありがとうございます。

次は5年後、10歳になった二人の話になります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ