銀の光とアルメリア
久しぶりの更新です。
読みに来てくださってありがとうございます。
「では、始めさせていただきます」
測定器は中央に丸くて透明な大きな水晶玉が付いていた。
とても大きな水晶で純度もいいものなのだろう。
不純物など一切感じないほど綺麗だった。
測定器を持ってきた魔法塔の魔導士がアメリーの右手を取り、丸い水晶玉の上に手が届くよう台座を持ってきてそこに立つよう言って離れた。
「アルメリア様、目を閉じ自分の中に光があると思い浮かべながら、水晶に手をかざして下さい」
深呼吸して。
そうです、そうです。
上手ですね。
などうまく話をしながらアメリーの中の魔力を引き出すように導いていく。
アメリーの銀色の髪がふわっと舞うように浮き上がり、水晶玉が銀色に光り輝き出した。
光はどんどん大きくなり水晶玉を中心に部屋を明るく照らし出していく。
「これはこれは・・・」
いつも僕たちに魔法学を教えてくれる魔法士が感嘆の声を出す。
アメリーから感じていた銀の光は、パッと四散したかと思うと、水晶玉には淡い緑の光だけが残っていた。
手をかざしているアメリーは意識がないように見えたが、うっすら残る銀の光が彼女を守るようにまわりを囲んでいた。
「やはりあなた様が。でも、我々にはこう言えというのですね」
「・・・御心のままに、我が女神よ」
小さなつぶやきのような声だった。
その声に気づいていたのは多分僕だけだと思う。
そしてジュロームとメアリアンの目の前に手をかざし魔法詠唱をすると、2人が急に力が抜けたように目を閉じ座っていた椅子に深く座って動かなくなった。
そして測定器の周りにいた魔法塔の学者たちも同じように地面に座り込み、意識のないように見えた。
「いったい何を!」
「殿下、多分殿下には私ごときでは力不足で魔法がかからないと思われますので、今ここで見たことは他言無用にお願いいたします。お2人と魔法塔では私以外の者たちには、今見たことを記憶操作で忘れてもらいました」
「どういうことだ!」
「私たちが今見たことは、水晶玉は淡く緑に光っただけでアルメリア様の魔法量は一般的。そして特化の魔法は特に見られず、得意として使えるのは地の魔法に属するもの。それも特別なものではなく、極々普通の魔法のみということでございます」
いや、そんなわけないだろ!?あの光をどう説明する!?
僕は魔法士が言っている意味がわからなかった。
「じゃあ、あの光は・・・」
「ファーレン、見たことは胸に秘めておけ。そして今回アルメリアの魔力測定での結果は今言われた通り『そういうこと』なのだ。納得も何もなくていいんだよ。結果だけを覚えておけばいい」
「父上!」
いつの間に現れたのか、父上と母上が僕の後ろにいた。
「でも、それでは」
「隠したいのだろう。まだ、その時ではないと我らが神がお決めになられたのだ。私たちはそれを受け止め、来る日が来るまで胸に秘めておかなければいけない。もちろんアルメリア自身にも知らせることはない」
そんな、だってアメリーは楽しみにしていたんだ。
口では力がないと言っていても、フェレノア伯母様のように魔法が使えるかもしれないと思っていたんだから。
「ファーレン、大丈夫だよ。嘘を教えたからって魔法が使えないわけじゃない。ただ本来持っている力は、アルメリアの小さな体では使えないんだろう。大きくなって、その時が来たら使えるようになるさ」
アルメリアのそばに行き、両手を広げて風魔法を父上が使うと、アメリーを守るように包んでいた銀の光は消え、そっと父上の腕の中にアメリーが降りてきた。
アメリーの閉じていた瞼が震え、何度か瞬きを繰り返してから大きな金の瞳が現れ父上を見つめた。
「ん、叔父様?!」
「やあ、アルメリア。初めての魔法測定はどうだったかい」
にっこり優しく微笑む父上。
「あれ?私・・・覚えていません。どうだったんですか?!」
「ほら、見てごらん」
アメリーの顔を水晶玉の方に向かせ、先ほど魔法士が説明した通りにアメリーに話していた。
いつの間にか目を覚ましていたジュロームとメアリアンも同じように聞いていた。
「でも、私魔法が使えないわけじゃないんですよね!レン様、私の得意な魔法を頑張って練習しますね!」
ちょっぴり落胆の色を見せる金の瞳。
明るく笑うアメリーを、僕はまっすぐ見ることができなかった。
お久しぶりです。
あまりにも落ち着かず、心が悲鳴をあげていて思ったような文が書けませんでした。
ストックはないので、これから間隔を空けずに更新していきたいと心新たに頑張りたいと思います。
また、お付き合いいただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。