名前もないモブのはずですか?
ふっと、目を覚ますと見たことがない部屋で眠っていた。
豪華な家具や天蓋付きベット、テレビやアニメの中でしか見ないようなものばかりの部屋の中、寝起きの働かない頭で考えてみたがやはり知らないところだ。
それに何だか自分の体に合わない大きさの家具たちに小人になった気分。
変わった夢だなぁ〜と呑気に考えていると、扉が開く音がしたのでそちらに目をむける。
部屋に入って来た子は、見たことがないほど綺麗な顔立ちの子で、明るい金髪にエメラルドを思わすような澄んだ翠の瞳が印象的だった。
服装がまるで王子様のようなその子は、私と目が合うと驚いたような表情の後駆け寄って来てギュッと私を抱きしめた。
「アメリー!目が覚めてよかった!!」
な、な、なにがおこった!!
こんな綺麗な子、知り合いにいませんが!
それに、アメリーって誰ですか??
抱きしめられて右往左往していると、ある違和感が。あれ?私この子より小さい?!
おそるおそる見た自分の手を見るとなんて、小さな手!
これが私の手の平!?!
手が小さくなった、違う、私の体が小さくなっちゃったんだ。
どういうこと?なにこれは、夢?!
反応のおかしい私の顔を覗き込む心配そうな翠に、訳がわからずフリーズした私の頭は考えることを放棄して意識を手放したのだった。




