2023/1/11の出来事②
平日だがスタバは混雑していた。席を探すとちょうど1人用のカウンターの席が2つ並びで空いていたので私たちはそこに腰を掛けて互いの近況を話し合った。
ほんとはオースへも行こうと思ってたんだけど想像以上にフィジーが楽しくてさ、年中暑いし自然豊かだってこともあるんだけど何より人が暖かいんだよ。俺はホームステイさせて貰ってたんだけど休みの日とかご近所さんとかを家に招いてカヴァパーティーをするんだ。子供もたくさんいてさ、皆人懐こくて。明るい国だよ。うつむいて歩いてる人とか急いで走ってるやつなんて1人もいない、日本とは真逆だなーって思ったな。まぁ、野良犬がたくさんいて道路とかめちゃくちゃ汚かったけどさ。ゴミとかそこらへん落ちまくってるし。まーそれも含めていい旅だった。もちろんニュージーも良かったけどもし外国に住むなら間違いなくあそこだな。Aも絶対行ってみた方がいいって。日本語教師募集してたぞ!
私はニュージーでのワーキングホリデー中は知り合いの伝を頼って現地の学校で日本語の教師をしていた。日本では新卒で入ったSEの仕事を二年で辞めてしまって途方にくれていたのだが、黙々と画面と向き合うよりもこちらの方があってる気がして案外楽しく働けていた。
Aは今はこっちで何してるの?
今は特に何も。
ニートかよ!いいなー、てか俺もそーか!楽しいよなニートずっとニートがいいわ
見た目からするとuはニートというよりむしろヒッピーに近い。それに彼は世界一周の最中で日本に一時帰国しているだけだから世間一般のニートの基準とは少し、いや、かけ離れている。
なぜ戻ってきたのかと聞けば、南国の楽園で遊び過ぎて旅行資金を使い果たしてしまい、一旦実家へ帰って仕事をしてまた貯金を貯めようと思っているのだと言う。
いつから働くの?
まだ決まってないけどなるはやだな。遅くともgw明けには始める予定だよ。
「じゃもうすぐニートじゃなくなるね」と私が言うとuは「そうだな!短かったわニート!寂しー」と言ってフラペチーノをかき混ぜて飲んだ。
それから私はuから私が帰国した後の共通の友人
についての情報を聞いてもいないのに色々と聞かされた。誰と誰がくっついたとか離れたとか、喧嘩したとか主にそんな話題だった。その中には私が一時期少しだけ距離が近くなった男の子の名前もあったが詳しくは聞かないことにした。別にそこまで興味はなかったし変に探りをいれてあらぬ誤解を生んでは面倒だ。uは顔が広い上に口が軽いから噂は一瞬で広まってしまう。(口が軽いというよりは滑りやすいと言った方が適切か。まぁ結局軽いということに変わりはないのだけど。)
uの新幹線の時間が来て18時前に駅のホームで私たちは別れた。私が改札に入ってからuは自分の財布がないことに気付き、「やべ!財布ネカフェだった!じゃあまた!」と言ってキャリーケースをガタガタと転がしながら走って去っていった。手を振りながらその背中を見送り、帰りの電車に乗ってから「そう言えば前もこんな感じのお別れだったな」とニュージーランドでの日々を私は思い出した。