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6月12日

僕はユキを昼飯に誘った。

「土曜ならいいよ」


土曜、13時過ぎ。ユキは半袖のTシャツにデニム、サンダルという出で立ちで来た。僕がパーカーを羽織っている以外は同じ系統だった。「ペアルックみたいだね」僕が言うと「そうだね。でもそんなに個性的な訳じゃないし、私たちくらいの年齢なら大抵こんな感じでしょ」と言った。


僕たちはプラプラ通りを歩きつつ、空いてそうな店を探した。特にこれを食べたいというのもなかったのでゆっくりできそうなイタリアンのレストランに入った。席につき、中の内装や雰囲気を見渡しながら彼女が言った。「ここへは来たことあるの?」「この通りで食事はよくするけどここに入ったのは一回だけだね。カップルばかりであまり落ち着かなかったな。」「確かにここへ一人で来るのは場違いかもね。人を待ってるように見えちゃう」


確かに、僕が一度ここへ来たとき、誰か僕を愛する女性がやってくるところをイメージしてた。それは彼女と出会う前であったけど、もしかしたら彼女をイメージしていたかも知れない。


この話しには真実と嘘が入りくんでいる。店があるのも女性をイメージしたのも事実で、ユキは―


ユキ。そうだユキだ。僕が唯一心を許せた女性の名前をやっと思い出せた。彼女は一体どこへ?



私は冬生まれだから雪女ってからかわれてたの。中学生までからかってきたのよ。好きな人をからかうなんて酷いわよね。



でもそれは女の方でも同じじゃないか、でも好かれていると分かっていてからかうんだから男のより―


いや、そんなことを書きたいんじゃない。僕は恋心を思い出したくて、この文を書いて、それで、思い出せた。好きな人を探す方法を。人を好きになる喜び、人に好きになってもらう嬉しさ、好きな人に好きになってもらう幸福を。



幸福。そう、幸福だ。恋とは幸福になるために行うものだ。乞う福?恋う福、


素晴らしき人生。私は思い出す。この世界は、この世界は


私の気持ち次第でどうにでもなる

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