表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これはとある異世界渡航者の物語  作者: かいちょう
18章:受け継がれし鋼の魂

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

536/538

受け継がれし鋼の魂(2)

 ヨハンは強力な魔剣を召喚したはずだった。

 だが、そんな魔剣の斬撃はしかしバイオ装甲巨人にあっさりと弾かれてしまう。


 というよりも、ヨハンが魔剣を振り下ろす前に目には見えない何かに魔剣を弾かれてしまった。

 その事に思わずヨハンは眉を潜める。


 「な、なんだ? まだ当たってもいなにのに弾かれたぞ?」


 そんなヨハンの真横から寺崎歩美が飛び出し、アビリティーユニットGX-A04からレーザーの刃を出してバイオ装甲巨人へと斬りかかるが、しかしこれもまたバイオ装甲巨人の体に触れる前に見えない何かに弾かれてしまう。


 「はぁ!? 何これ? バリアか何かで防がれてる?」


 驚きながらも寺崎歩美は再度斬撃を行うが、やはりこれも見えない何かに阻まれ弾かれてしまった。

 ヨハンと寺崎歩美の斬撃をもろともせず、バイオ装甲巨人は振り上げた拳を振り落とそうとする。


 「ど、どうする?」

 「どうするって聞く前に何か召喚しなさいよ! あんた召喚士なんでしょ?」

 「そう言われても」


 バイオ装甲巨人を前に揉めだした2人を見てこりゃダメだと思い、慌てて火炎魔法を放って叫ぶ。


 「ふたりとも離れろ!!」


 これにヨハンと寺崎歩美はすぐに反応しバイオ装甲巨人から距離を取り、直後火炎弾がバイオ装甲巨人に直撃するが、しかし……


 「っち! 無傷かよ」


 やはりヨハンと寺崎歩美の斬撃同様、バイオ装甲巨人の体に触れる前に見えない何かに弾かれダメージを与える事はできなかった。


 「あのバリアをどうにかしないとダメってわけか」


 そう口にした直後、バイオ装甲巨人は振り上げた拳をリーナ、エマ、イリーナのほうに向かって振り下ろした。


 「っ!! しまった!」

 「あたしが行くよ!!」


 バイオ装甲巨人の動きにフミコが反応し、懐からアビリティーユニットGX-A04を取り出しながら前へと駆けだし、そしてバイオ装甲巨人とリーナたちの間に割って入り異能を発動する。

 その直後、バイオ装甲巨人が振り下ろした腕がフミコとリーナたちに直撃したが、しかしさきほどバイオ装甲巨人がヨハンや寺崎歩美の斬撃を弾いたのと同じように、バイオ装甲巨人の腕もフミコの周囲に出現した不可視の壁によって弾かれる。

 その事にバイオ装甲巨人は驚いたようなうめき声をあげた。


フミコが発動したのは初撃パリィ、前回の異世界でココの四天王(仮)だったリュカルから奪った異能だ。

とはいえ、この異能が自動で防いでくれるのは最初だけ、それと初見の攻撃が繰り出された時だけだ。

だから次は自身の技量で相手の攻撃を弾かなければならないが、フミコはそれをしようとはしなかった。


初撃パリィでバイオ装甲巨人の攻撃を弾いた後、フミコはこちらを向いて叫ぶ。


「かい君!!今!!」

「あぁわかってる!!」


 フミコの意図を汲み、大技を叩きこもうとするが、しかしここで疑問が浮かぶ。

 この気持ち悪い見た目の化け物に効く大技とは何だろうか?

 秘奥義や混種能力を放つにしても、やつの弱点を突かなければ無駄撃ちになってしまう。

 そして秘奥義も混種能力も使うと疲労で戦闘継続は不可能になってしまう。


 何かしらのバリアを貼って攻撃を防ぐ敵だ。ここは少し慎重を期すべきだろう。

 そう思い、まずは鑑定眼で敵を視る事にした。

 すると……


 「は? どういう事だ?」


 ステータスにこう表記されていた。

 マシーンアタックのみ有効、その他の攻撃は無効化されると……


 (マシーンアタックって何? どういう事?)


 特定の攻撃以外は弱点でないため通じないという敵ならこれまでに何度か遭遇した事はある。

 だがその特定の攻撃がマシーンアタックというのは初めてであった。

 というか、そもそもマシーンアタックって何? 初耳なんだけど? 機械をぶつければいいって事なの?

 どういう事?


思わず困惑していると、どこからか声が聞こえてきた。


「あんたたち!!いますぐここから離れるんだ!!そいつは俺たちにしか倒せない!!」


声のしたほうを向くと、陽の光をバックに3人の人影が立っていた。

逆光のためその素顔をはっきりと確認する事はできないが、しかしそれでもわかった事はある。

それは、3人の背が低く、シルエットから大人ではなく子供だろうという事だ。


「誰だお前ら?」


そんな3人にそう問いかけると、3人のうち真ん中にいる人影が。


「俺たちは正義の使者、最強無敵のビースター!!そこにいる悪の化身、バイオスターを退治する者だ!!」


そうテンション高く名乗った。

そして逆光だからはっきりとわからないが、何かしらのポーズも決めているような気がする。

とはいえ、ポーズを決めているのは真ん中の人影だけのように見える。

まぁはっきり見えてないので何とも言えないのだが……


「え?何?正義の使者?最強無敵の……何?というかバイオスターってあれの事?」


困惑していると左端にいる人影がため息をつきながら。


「ちょっとナオキ、通じてないわよ?」


そう言うと。


「とにかく後は僕たちに任せて安全な場所まで退避してください。話はその後で」


今度は右端にいる人影が再度避難を促してきた。

どうやら3人のうち1人は女性のようだ。

そして背の高さだったり、声の質から見て3人はやはり子供とみるべきだろう。


そんな3人を一様鑑定眼で視てみる事にする。

ステータスを覗く分には逆光は関係ないしな……そう思い鑑定眼で3人を視てみると。


(え?これって……)


はじめて視る表記に思わず目を丸くしたところでフミコ、寺崎歩美、ヨハンがそれぞれリトルトラベラーズの3人の手を掴んでこっちへと走ってきた。

恐らくは最強無敵のビースターと名乗った3人の言葉に従う形で退避してきたのだろう。


(まぁ今は少し様子を見るか)


そう思い、こちらもフミコたちと合流して少し離れた場所に身を隠し、様子を窺う事にした。

最強無敵のビースターと名乗る3人がバイオスターと言うらしいバイオ装甲巨人を倒すというのなら、マシーンアタックが何なのかも確認できるというものだ。


そうして皆と合流し、十分に距離を取ってから様子を伺う。

するとヨハンが声をかけてきた。


「カイト、さっき鑑定眼で彼らを視たけどもしかして……」


ヨハンが何か言おうとしたその時、最強無敵のビースターと名乗る3人とバイオ装甲巨人との戦闘がはじまった。




「いくぞリチオ、ミーヤ!!」

「わかってるわよナオキ」

「僕はいつでも準備万全だよ」


3人の人影はそう言うと右手を顔の前に出して、その右腕に巻いているブレスレットに手をかける。

逆光の影響で人影となっている3人だが、しかし腕にまかれたブレスレットだけは影とならず、その姿を見せる。

そのブレスレットにはゲームウ〇ッチのような外見の液晶画面とボタンがついた装置が装着されており、3人は同時にボタンを押す。

すると3人それぞれの液晶画面に異なるビークルが表示され、同時に一体どこから現れたのか?3人の真横にはそれぞれの液晶画面に表示されたビークルがすでに待機していた。


そして3人はぞれぞれ腰のベルトに吊り下げたホルスターからカードを引き抜くと、それをゲームウ〇ッチのような外見の液晶画面とボタンがついた装置の端にスライドさせる。

すると液晶画面に承認の文字が表示され、それぞれがビークルへと乗り込み、バイオ装甲巨人に向けて駆けだした。


「さぁ覚悟しろバイオスター!!」


まるで小さなスポーツカーのようなビークルに乗る、ナオキと呼ばれていた少年はトリッキーな動きでバイオ装甲巨人の周囲を駆け回るが、そんな小さなスポーツカーのようなビークルにバイオ装甲巨人はモグラ叩きのように何度も拳を振り下ろす。

だが小さなスポーツカーのようなビークルが速すぎるため、バイオ装甲巨人の拳は当たらない。


そんなバイオ装甲巨人に別のビークル、サイドカーをつけたバイクのようなビークルが攻撃を仕掛ける。

サイドカーに乗せたロケットランチャーから無数の弾頭を飛ばし、バイオ装甲巨人の背後を強襲する。

この攻撃を受けてバイオ装甲巨人は悲痛な叫び声をあげて、そのまま地面に倒れ込む。

そんな倒れたバイオ装甲巨人へと、今度は上空からセスナ機のようなビークルが急降下して銃撃を繰り出していく。


これらの攻撃を受けたバイオ装甲巨人はもがき苦しみながらも、しかし何とか立ち上がり、ビークルへと反撃を行おうとするが、しかし3つのビークルの連携攻撃にまったく歯が立たなかった。

そんな時だ。どこからかもう一体のバイオ装甲巨人が姿を見せ、そして一方的にやられているバイオ装甲巨人のほうへと走り出す。

それを見た小さなスポーツカーのようなビークルに乗るナオキが運転しながら焦った声を上げる。


「まずい!!吸引合体する気だ!!」


彼の言葉に反応するようにサイドカーのビークルとセスナ機のビークルが吸引合体を阻止すべく攻撃をおこなうが、そして時すでに遅く、2体のバイオ装甲巨人は抱きつくようにその粘液まみれの装甲を重ね合わせるとそのまま形を変えさらに巨大化した1体のバイオ装甲巨人になる。

それを見て小さなスポーツカーのようなビークルに乗るナオキは舌打ちし。


「っち!だったら俺たちも無敵合体だ!!いくぞリチオ、ミーヤ!!」


そう2人に呼びかける。

これに2人も呼応し、それぞれブレスレットについているゲームウ〇ッチのような外見の液晶画面とボタンがついた装置のボタンを押す。


「「「最強変形!!」」」


すると3つのビークルはそれぞれが変形し、何かしらのパーツへと変化した。

その状態でさらに3人はぞれぞれ腰のベルトに吊り下げたホルスターからさきほどとは違った新たなカードを引き抜き、それをゲームウ〇ッチのような外見の液晶画面とボタンがついた装置の端にスライドさせ叫ぶ。


「「「合体申請!!」」」


すると液晶画面に承認の文字が浮かび上がり、3つのビークルが合体、巨大なロボへと姿を変えたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ