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これはとある異世界渡航者の物語  作者: かいちょう
17章:混沌の戦場

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ココ救出奪還作戦 (14)

 フミコの全身を包み込んだ光はわずか一瞬で消えてしまうが、しかし、そのわずかな時間でフミコは真新しい衣装に身を包んだ姿へと変化していた。

 そんな一瞬して変化した自身の姿をフミコは首を動かして見回し、安堵の息をもらす。


 (よかったー……見た感じ()()()()()()()()()()だ。うん、伊予が着ていたようなフリフリの衣装じゃなくて助かったー。さすがにあれで戦うのはちょっとね……)


 そう思って八重野伊代が戦闘時に変身する格好を思い出して苦笑いを浮かべた。

 というか、八重野伊代はあの姿に変身する際にはスキップ不可の強制視聴が義務化された変身バンク演出が発生したがフミコにはそれが発生しなかった。

 この違いはなんだろうか?


 (やっぱり、この衣装だからかな?)


 フミコはそう考えて、改めて変化した自身が身に纏う巫女服を見る。


 フミコは普段より巫女服を好んで着様する。

 それはフミコが本来の時代で着ていた倭国大乱時代の巫女服もさる事ながら、現代の巫女装束である白衣に巫女用袴姿が最近は圧倒的に多い。


 そんなフミコが八重野伊代の異能を使用しマジックジャケットアーマー(MJA)を纏った姿は()()()()()()()()()()()()()()姿()であった。

 とはいえ、変わった点がひとつ、それは白衣の上に千早を纏っている点だ。


 千早は巫女が神事や神楽奉納の際に着様する、白衣と袴の上から着る羽織である。

 そう、つまりは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのだ。

 それは言い換えれば、莫大な呪力を制御しなければならない重要な神事を支える、制御する呪物としての側面もあるわけである。


 そんな羽織を纏えば相対的に呪力が跳ね上がるのは必須。

 ゆえにフミコのマジックジャケットアーマー(MJA)は千早の外見をしているのだろう。


 (まぁ羽織を1着着こんだだけで防御力がどれだけ上がったかはわからないけど、呪力の総量の面では跳ね上がってるのは事実か……1着着こんだだけだから伊予みたいな派手な演出がないってのはありがたいけど)


 フミコはそんな事を考えながらアビリティーユニットを懐にしまうと両手を広げ、それぞれ右手にお祓い棒たる大麻(おおぬさ)を、左手に神楽鈴を出現させ手にすると。


 「それじゃ、少し試してみるか」


 そう口にして左手首を動かし、神楽鈴をシャリンと鳴らす。

 直後、バルコニー全体が重苦しい空気に包まれた。

 その事にリュカルは一瞬ビクっとするような反応を示し、その場で歩みを止めた。


 とはいえ、リュカルが示した反応はそれだけで、歩みを止めてからは今まで通りの仁王立ちとなり、そこから微動だにしなくなった。

 このあたりは徹底しているといえるだろう、そして同時にそれはリュカルがパリィしか戦略がない事を認めたも同然であるのだ。


 (騎士の誇りだ何だと言いながら、結局それしかないんじゃない……まぁ、だからこそ、安心してどこまでが初見になるのか試せるんだけどね。ここで色々試して、ザフラとの再戦に使えるかどうか、じっくり見極めさせてもらう!)


 フミコは神楽鈴を鳴らしながらまるで神楽を舞う様にくるっと回ると右手の大麻を高々と掲げ、そして正面を向いて一気に振り下ろした。


 「かしこみかしこみおたのみもうす!! おいでませ!! 東の風よ!!」


 直後、バルコニーに真横からの強烈な突風が吹きつけた。

 通常なら立ってなどいられない、まずもって吹き飛ばされてしまうであろうこの強烈な突風を、しかしリュカルは気にする事なく仁王立ちしたままでその場から一歩も動かない。


 そして突風が吹きつけようとリュカルは平然としていた。

 言うまでもなく初見パリィである。

 だが、何もせずとも勝手に攻撃が弾かれるのはここまでである。


 フミコは続けて神楽を舞うように右手の大麻を再び高々と掲げ、そして正面を向いて一気に振り下ろす。


 「かしこみかしこみおたのみもうす!! おいでませ!! 西の風よ!!」


 直後、バルコニーにさきほどとは反対方向から強烈なつむじ風が迫りくる。


 (さぁ、どうする? 風の種類はさっきとはまったく違うけど、もう初見パリィは使ってる。もう自分で何とかするしかないけど、風をどうやってパリィするのかな? それとも呪力を用いたまったくの別種の技と見なされて初見パリィになる?)


 フミコが見定めようとする中、リュカルは奇妙な動きを見せ、そして……


 「はぁぁぁぁ!!!」


 叫んだと同時に両手を振るってつむじ風を弾いた。

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