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これはとある異世界渡航者の物語  作者: かいちょう
17章:混沌の戦場
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ココ救出奪還作戦 (13)

カウンターアタックをくらったフミコはそのまま壁に激突、苦悶の表情を浮かべるが、しかしすぐに体勢を立て直してレーザーブレードを構える。

そんなフミコを見てリュカルはやれやれと言わんばかりに肩をすかしてみせた。


「ダメージを調整していたか……何ともズル賢い女だ」

「カラクリがわかれば誰でもそうするわよ。しかもこっちが攻撃した分だけ回避不可の攻撃として跳ね返ってくるのよ、ダメージコントロールは基本でしょ」


そう言ってフミコは構えていたレーザーブレードを下げて構えを解き、アビリティーユニットのボタンを押してレーザーの刃をしまう。

そうして完全に隙だらけの状態を晒して見せた。まさにリュカルからすればいつでも攻撃し放題な状態である。


しかし、そんなフミコに対してリュカルはやはりその場から動かず攻撃を仕掛けようとはしない。

どれだけリュカルが騎士の誇りを愚弄されたと激怒しようと、これでは指摘通り自分からは攻撃できないと証明してしまっているようなものである。

つまりはこちらから仕掛けない限り、リュカルは脅威ではないという事だ。

ただし精神干渉による誘導を受けなければの話だが……


(とはいえ、これじゃただ何もせず時間が過ぎるだけだしどうしたものかな?結局のところ戦闘が発生しないという事はリュカルが健在なままって事でもあるし……むしろ初見パリィでもう異能を奪う行為は弾かれてるんだからとっとと異能を奪うか?)


そうフミコが思った時だった。

じっと動かないままだったリュカルが小さくため息をつくと。


「仕掛けてくるつもりはない、か……なら仕方がない。あまり気乗りはしないが、仕方がない」


そう言って、初めて一歩前へと踏み出した。


「!!」


たったそれだけの動作であるにも関わらず。フミコは一瞬、背筋がぞっとする感覚を覚えた。

そう、まだたった一歩しか踏み出していないにも関わらず恐怖を覚えたのだ。

もしこれ以上近づかれたら、どれだけの危険がこの身に及ぶのかと戦慄したのだ。


(なんで?さっきまでこんな事まったく感じなかったのに!)


フミコは身震いしながらも、ある可能性を考える。


(もしかして、これがパリィを連続で成功させる事で得られるボーナスってやつなの?精神干渉の作用を高めて相手に恐怖心を与えるとか、そういうの……そうして、何かされる前に攻撃しなきゃ!って焦りを植え付けて相手を攻撃に踏みきらせるんだ)


そう考える一方で、リュカルが本当にパリィを捨て、攻勢に出た場合の可能性も考慮し。


(でもあらゆる可能性を想定して、ここは防御力を少しでもあげておくか)


アビリティーチェッカー上に表示された針を指で動かしあるエンブレムを指す。

そのエンブレムは|魔導書《グリモワール》で読者リーダーであった召喚者、八重野伊代の異能を示すものだった。




「フミコお姉ちゃん、確かまだそのアビリティーチェッカー基本機能しか入ってないよね?あってる?」


リーナ(成長ギャル化版)がそうフミコの手にしているアビリティーチェッカーを指差しながら尋ねて来たので、フミコはアビリティーチェッカーを手にして意味もなく弄りながら。


「そりゃまだ誰からも異能を奪ってないしね?というかあたしがそれする意味あるの?あの白亜ってやつが何であたしにこれを渡したのかよくわからないけど、かい君に歩美と違って、あたしはこれを使う必然性というか、異能を奪って集める意味が感じられないんだよね」


そう口にするが、そんなフミコに対し、リーナ(成長ギャル化版)は言うか言うまいか迷うような仕草を見せた後。


「必然性か~そういう意味だと()()()()()()()マジ必要になってくるから、意味ありまくりじゃね?ってあーしは思うかな~」


そう言ってから、少し離れた場所で監視塔へと突入すべくストレッチしながら準備に入っていたカイトに声をかける。


「マスター!ちょっちいい?一瞬だけこっち来てほしいんだけど」


声をかけられたカイトは首を傾げながらもこちらへとやってくる。

そんなカイトにリーナ(成長ギャル化版)は笑顔で。


「マスター、フミコお姉ちゃんに|魔導書《グリモワール》で奪った異能あんじゃん?え~っと、あの変身ヒロインに変身できるやつ!あれを譲渡してあげてほしいんだけど、おっけー?」


そんな事を言い出した。

これにカイトは「は?」と言って眉を潜める。


「異能を譲渡?何言ってるんだ?そんな事できるのか?」


そう口にしたカイトにリーナ(成長ギャル化版)は腹を抱えて爆笑すると。


「マスター、何言ってるの?余裕っしょ!つーか、前にもヨハンお兄さんに奪った異能返してたじゃん、それと同じだよ」


そう説明した。

確かにカイトはかつて仲間のヨハンから奪った「召喚」の異能を海賊と対峙する定例クエストの前にヨハンに「返還」している。

とはいえ、あれは奪った異能を本人に還しただけの話だ。まったく赤の他人である第3者に譲渡したわけではない。


しかし、リーナ(成長ギャル化版)は。


「マスター、ヨハンお兄さんに異能を還す前に予備容量にバックアップとってから返還したっしょ?」

「そういえば、そうだな」

「その予備容量って、実はポイント消費して拡張すれば、お気に入り登録したいくつかのアビリティーユニットGX-A04とバックアップ共有できるし、知ってた?まじ共有ドライブって感覚みたいな?」


そんな事を言ってウインクして見せた。

これにはカイトも思わず目を丸くする。


「え?何それ?初耳なんだけど……まじ?」

「まじ」

「つーかポイント消費って今までも何度もでてきたけど、実はいまだ理解できてないんだけど、ポイントってまじで何なの?」

「それはあーしに聞かれても知らん。ポイントとは何か……概念かな?」

「いや、概念って……というかお気に入り登録って何?」

「マスター、指導役としてそれはどうなの?まじアビリティーユニットの機能わかってなさすぎじゃん!」


カイトはリーナ(成長ギャル化版)に呆れられながらもポイントを消費して機能を拡張、フミコと寺崎歩美のアビリティーユニットをお気に入り登録。予備容量を共有できるようにした。

そうしてカイトは|魔導書《グリモワール》で召喚者である読者(リーダー)八重野伊代から奪った異能をバックアップし、予備容量で共有できるようにした。


そうしてフミコは予備容量にある八重野伊代から奪った異能をコピーし、バイクのメーターのように見えるアビリティーチェッカーに追加する。

そうしてリーナ(成長ギャル化版)に尋ねた。


「で?この異能をあたしが手にして何か意味があるの?」


これにリーナ(成長ギャル化版)にニヤリと笑うと。


「それで変身ヒロインに変身できるっしょ!コスプレっすよフミコお姉ちゃん」


そんな事を言い出した。

これには思わずフミコもジト目になって。


「おい」


と少しキレ気味に口にするが、リーナ(成長ギャル化版)は愛想笑いでこれをスルーし。


「まぁ、コスプレはさて置き、あれってマジックジャケットアーマー(MJA)って言って実は結構防御力があがるんだよね~だから特に恰好を気にしないなら、戦闘中に着こんでおいて損はないよ」


そうアドバイスした。




本当にこちらに攻撃を仕掛けてくるつもりがリュカルにあるのかはわからないが、一歩ずつ迫るリュカルを見ながらフミコは軽く一息つくと。


「あまり気乗りはしないけど……マジックジャケットアーマー(MJA)使わせてもらうよ伊予!!」


そう口にしてアビリティーチェッカー上に浮かび上がったエンブレムに指で動かした針を持ってきて指す。

そうして異能が発動する。

フミコの全身を光が包み込み、その姿を変化させた。

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