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これはとある異世界渡航者の物語  作者: かいちょう
15章:多次元の王との邂逅

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占星術の世界(5)

 「は? はぁいいい?」


 自らをリーナだと名乗ったギャルを見て、思わず声をあげた。

 そして、それは自分だけじゃなくフミコやケティーも同じで。


 「え? ちょっと待ってリーナって、え? え? さ、さすがに別人だよね? ちょっと? ねぇ?」

 「そんなわけないでしょ! だってそもそも年齢が違うじゃない!! そうでしょ!?」


 ふたりとも困惑しているようだった。

 そんな自分たちの反応を見た自らをリーナと名乗ったギャルはおかしそうに腹を抱えて笑うと。


 「ちょ、ちょっとその反応超たのしいんだけど!! うけるー!」


 そう言ってから。


 「マジだよマスター! それにフミコお姉ちゃんにケティーお姉ちゃんも! あーしはリーナ。そうだなーどう言えば伝わるかな? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()って……自分で言うのも変だけど、まぁそんな感じ? たしか()()()()()()()()()()()はずだったし、まぁ間違えてないっしょ」


 こちらにウインクして見せた。

 自らをリーナと名乗ったギャルの言葉を聞いて少し考える。


 マスターたちの知ってるあーしの成長した姿……その言葉をそのまま信じるならリーナは将来こんなギャルになるという事だ。

 おいおい嘘だろ? 何がどうなってリーナがこんなギャルに変貌するというのだ?

 俺たちはこれからリーナの教育をどう間違ってしまうのだ?


 いや、別段典型的なギャルになるのがいけないとか否定してるわけではないのだが、前々から申しているように俺はリーナには健全な普通の女の子に育ってほしいのだ。

 まぁ、何が普通なのかって問われたら具体的に答えられないし、普通ってなんやねん! って話にはなるのだが、間違ってもギャルではない。

 いや、別段ギャルがいけないとか、そういうわけではないのだが、とにかくリーナになってほしい将来の姿ではない。

 まぁ、これはあくまで個人的願望であって、本人がギャルになりたい! と望むなら拒む事などできないのだが……


 と、ほんの少しリーナのギャル化という事実に動揺していたが、冷静に考えれば鑑定眼で視れば相手が誰なのか一発なのだ。

 まぁ普通に考えて召喚で呼び出したのだからリーナである事は間違いないのだろうが、しかし一個人を召喚で呼び出したのは初めてなのだ、成功か失敗かの判断のためにもちゃんとした確認は必要だろう。


 そう心の中で頷き、鑑定眼で自らをリーナと名乗ったギャルを視てみる。

 するとたしかにリーナ=ギル=ドルクジルヴァニアの名前がステータスには表示された。

 確かにこのギャルはリーナである事に間違いはないようだ。

 そしてステータスの数値がどれも高い事から成長した姿というのも本当なのだろう。


 いや、本当も何も自分たちと同い年くらいの見た目をしているのだから成長した姿以外ありえないのはその通りなのだが……

 では問題は、なぜリーナを召喚して成長してギャル化したリーナが現れたのか? という事なのだが。


 その原因が何なのか考えているとリーナ(成長ギャル化版)がすぐ目の前までやってきて、笑顔で。


 「どうマスター? 成長したあーし、かわいいっしょ?」


 そんな事を言いながら下着が見えそうなほど短いミニスカートの端をつまんでひらひらとさせて見せつけてくる。

 コラコラはしたない! そんな事年頃の女の子がしちゃいけません!


 そう思いながらも自然と視線はリーナ(成長ギャル化版)がひらひらとさせているミニスカートへと吸い込まれる。

 そんな自分をフミコとケティーがジト目で睨んでくる。


 「かい君、鼻の下伸ばしすぎ」

 「川畑君……さすがにそれは幻滅しちゃうかな? まぁ男子高校生の健全な反応とも言えるけど」


 ふたりにそう言われて慌ててリーナ(成長ギャル化版)から視線を外すがふたりの冷めた視線はその後も続いた。

 気まずくなったので。


 「と、ところでなんでギャルの格好なんかしてるんだ? ていうかギャルに憧れる様子なんかまったくなかったはずなのだが」


 そう尋ねてみるが、問われたリーナ(成長ギャル化版)はキョトンとした顔になり。


 「えー? マスター、あーしがこの格好してたら変? ていうか原因はマスターなのに?」


 そんな事を言い出した。

 ん? 今なんて?


 「は? 俺が原因? どういう事?」

 「あ、そうか! この時はまだ……ごめんごめん、今の忘れて! なーし!! わすれろー!!」


 自分の反応を見たリーナ(成長ギャル化版)が慌てて大振りに両手をぶんぶん振って発言をなかった事にしようとしだした。

 うむ……どうやらこれから先、自分が何かしらやらかしてリーナはギャルの道に突き進む事になるというのか。

 一体、何をやらかすんだ未来の俺!?


 いや、ここはプラス思考で行くんだ!

 これから先、自分が何かしらの選択を誤ってリーナがギャル化する道を辿るというのがわかった以上、今の自分はそんな未来を回避できる可能性を手にしたという事だ!


 これは大きな収穫だ!

 何せ、何も知らないまま、そのまま未来に突き進めばリーナはギャルになっていたが、今はそうならない未来を選択できる状態になったのだ!

 そうだ! 選択肢さえ間違えなければまだ間に合う! 未来はまだ、目の前にいるリーナ(成長ギャル化版)だけだと確定していないのだ!

 そう、こんな未来は絶対に回避してみせる!!


 そんな強い決意を抱いたその時、同じくリーナ(成長ギャル化版)もある事実に気付く。


 「あれ? ていうか今のあーしの姿なら、あの時のあーしと違ってマスターの気を引けるんじゃ? そうじゃん! 絶対そうだよ! ヤバい! これってめちゃめちゃチャンスじゃね?」


 大きく目を見開き、口に手を当ててそんな事を言いだっしたリーナ(成長ギャル化版)だったが、しかしすぐにフミコとケティーがその不穏な気配に気づく。


 「ねぇケティー」

 「わかってるよフミコ。あれはちょっと危険だね」


 ふたりして頷き、すぐさまリーナ(成長ギャル化版)の隣に並び立つと。


 「リーナちゃーん? ちょっといいかな?」

 「未来で私たちの関係がどうなってるかはわからないけど、この状況で川畑くんに何かするのはよくないと思うなー?」


 笑顔でそんな事を言ってリーナ(成長ギャル化版)に迫った。

 もちろん笑顔だがふたりして笑ってはいない、そんなふたりにリーナ(成長ギャル化版)は圧倒され。


 「フミコお姉ちゃんにケティーお姉ちゃん? ちょい圧がヤバいっしょ? 落ち着いたほうがよくない?」


 引き攣った笑顔でそう言うが、フミコとケティーは笑顔(もちろん笑ってない)でニコニコするだけであった。

 そんな3人を見てため息をつき。


 「なぁ、まずはなんで未来のリーナちゃんが召喚されたのか、その原因を突き止めないか?」


 そう言うとフミコとケティーはリーナ(成長ギャル化版)に圧をかけるのをやめた。


 「そうだね、かい君の言う通りかも」

 「まぁ、原因がはっきりしないと今後召喚は使えないしね」


 ふたりが納得したのを確認してからリーナ(成長ギャル化版)に尋ねる。


 「なぁ、リーナちゃんは何か心当たりがあるんじゃないのか? というか、最初にこれってあの時の? って言ってたし、以前にも経験してるって事だよな?」


 これにリーナ(成長ギャル化版)は頷くと。


 「まぁね。ていうか()()姿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 そう言ってウインクしてみせた。


 「召喚されるのはわかってただって? それはなんで?」

 「聞いてたし」

 「誰から?」

 「ん? マスターだよ?」

 「へ? 俺」

 「そう、マスターから()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()! ()()()()()()()

 「まじかよ」

 「うん、まじ。確か試験を受けてた時だったかな? 試験が終わって次の試験が始まるまでの休憩時間にケティーお姉ちゃんにこの世界に連れてこられて、その時に聞かされたんだよねー。うん、あれいつ起こるんだろー? って思ってたけど、今日だったんだ。マジ受けるー」


 リーナ(成長ギャル化版)のその言葉に思わず目を丸くする。


 「は? ちょっと待て! つまりこれから俺たちはケティーのムーブデバイスを使ってテストを受けてるリーナをここに連れてくるって事なのか? 成長した君と会わせるために?」


 そんな軽率な行動をこれから自分たちは取るのか?

 それはタイムパラドックス的に一番やってはいけない事だろ! なのになぜ自分はそれをするのだ?

 困惑しているとリーナ(成長ギャル化版)は笑いながら。


 「まさか! 当時のあーしは成長した未来のあーしに会ってないよ? というか、これから先、マスターが異世界渡航者としての役目を終えるまでずっとね? というか、今もかな? うーんなんだっけ? タイムパラドックス? よくわからないけど時間軸が違う同一人物が直接合うのはまずいとか何とかで、あーしは成長したあーしには会わせてもらった事ないよ? だから話を聞かされただけ」


 そう言ってから。


 「だから、あーしを元の時間に戻した後で絶対にこの時間でのあーしに、あーしを召喚で呼び出した事伝えてね? これから先、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」


 そんな事をアドバイスしてくる。

 今現在のリーナが、この成長したギャルリーナを呼び出せる事が重要になるとは一体どういう事だろうか?

 とはいえ、これは聞いても教えてはくれないだろう。


 「それってどういう」

 「うーん……それについては、あーしに関しては過去の出来事でも、今のマスターにとっては未来を変えるかもしれない行為だから教えられないかな? ていうか、言っちゃダメって口止めされたし」


 案の定の答えがリーナ(成長ギャル化版)から返ってきた。

 おそらく口止めしたのは未来の自分だろう。

 すべてが片付いた後……そう、自称神やらジムクベルトやらの問題がすべて片付き、異世界渡航者でなくなった未来の自分が。


 そして、それを聞いてわかった事がひとつある。

 未来の自分、少なくともリーナ(成長ギャル化版)がいる未来では、自分はすべてを解決できているという事だ。


 それが地球を救えたという事なのかはわからないが、それでも自称神の連中をぶん殴れている未来ではあってほしい。

 そう思うのだった。

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