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これはとある異世界渡航者の物語  作者: かいちょう
13章:緊急クエストをこなそう!

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無干渉地帯統一戦線(10)

 TD-66の30mm単砲身機関砲が火を噴く。

 それは圧倒的なまでの破壊力でもってパムジャの体を木っ端微塵にするはずであった。

 しかし……


 「!!」


 再びドクンと心臓が大きく鼓動するような違和感を感じる。

 そして、その違和感を感じた直後、さきほどまでいた場所にパムジャはおらず、TD-66の30mm単砲身機関砲による射撃は空振りに終わっていた。


 「まただ! 一体どうなってやがる!?」


 確かに射撃がはじまる直前までパムジャはそこにいた。

 しかし違和感の直後、パムジャの姿が消えたのだ。


 慌てて周囲に目を配ると、TD-66の30mm単砲身機関砲の射線から外れた位置にパムジャはニヤリと笑って立っていた。


 「いつの間に!?」


 こちらの驚く表情を見てパムジャは高らかに笑う。


 「ぎゃははは!! いつの間にだぁ!? バカが!! そんな遅い弾当らねーよ!」


 そんなパムジャに対してTD-66が再び30mm単砲身機関砲による射撃をおこなうが、直後、ドクンと心臓が大きく鼓動するような違和感を感じ、再びパムジャはその場から姿を消し、30mm単砲身機関砲の射撃は再び空振りに終わる。


 「おいおい、どこ狙ってるんだよ? ひひ! まったくひでー射撃だな?」


 パムジャはいつの間にそこにいたのか、まったく別の場所に立っており、TD-66をあざけ笑う。

 そんなパムジャを見てTD-66は再び射撃をおこなうが結果は同じだった。

 そしてTD-66が違和感を口にする。


 『マスター、おかしいです。わたくしは確かにやつをロックオンしました。ロックオンした以上は相手が移動しても追跡可能です。ですが、ロックオンしたはずのやつは射撃開始直後にロックオンされていない状態で射線外にいるのです。そしてデータ上では逃げられた形跡はありません』


 TD-66のその言葉に思わず眉を潜める。


 「どういう事だ?」

 『わかりません。射撃を開始する直前までは確かにロックオンした場所にいたはずです。ですが射撃を開始した直後にはどういうわけか今いる場所にいたという事です』


 TD-66の言葉を聞いて考える。

 違和感が起こるのはパムジャへと攻撃を開始した直後。

 さきほどまでパムジャがいた場所にやつはおらず、攻撃が当たらない場所にいつの間にか移動している。

 つまりはパムジャは攻撃を瞬間移動か何かでかわしているという事だろうか?


 (仮に瞬間移動でかわしているとすれば……試してみるか!)


 レーザーの刃をしまい、アビリティーユニットにアビリティーチェッカーを装着してライフルモードのアサルトライフルスタイルを選択。

 ステアーAUGを手にしTD-66へと指示を飛ばす。


 「機械の騎士さん!! やつをロックオンして狙うんじゃなく、やつのいる場所を中心に周囲に適当に撃ちまくれ!! こっちもその範囲外を撃ちまくる!!」

 『了解ですマスター!』


 TD-66はパムジャがいる場所とその周囲へとランダムに射撃をはじめ、こちらもその範囲外へと狙いを定めず乱射する。

 直後、今まで同様にドクンと心臓が大きく鼓動するような違和感を感じ、次の瞬間にはパムジャが別の場所に立っていた。


 「おいおい、どこを狙ってんだ?あぁ!?」

 「!!」


 そこはTD-66の乱射撃と自分の乱射撃がちょうど重なり合わない死角であった。


 (安全地帯へとピンポイントで正確に瞬間移動しやがったか?)


 一瞬そう思ったが、しかしそれにしては何かがおかしい気がした。

 そもそも、パムジャは射撃を開始してからのわずかな時間でどうやって安全な場所を見つけ出し、そこへと瞬間移動しているのだろうか?


 何かしらのマジックアイテムを使っているのかもしれない、だが確証は持てないがどうにもそうには思えなかった。

 何より警護ギルド<イルゾーグ>のギルドマスター、ブロアが言っていた事が引っかかっている。


 『普通に斬り合う分には違和感は起こらない……そう、起こらないのだ。ただ確実に仕留められると確信できる一撃を……決定打を放とうとしたところで妙な違和感が起こり、攻撃を回避されている。どういった条件でそれが発動するのか、わかれば対処のしようもあるのだがな……』


 ブロアが言うには決定打でない限りは違和感は起こらない。

 逆に言えば違和感が起こるという事はそれは本来なら決定打だったという事だ。


 (だとすると、やつはその攻撃が自身にとって決定打になると知っている事になる……まさかと思うがこれって……)


 思考を巡らせ、ある可能性に辿り着く。

 だが、確証が持てない。

 確証が持てない以上は検証するしかない。


 「ちょっと探りを入れてみるか」


 そう独り言のように呟いてステアーAUGをパージしアビリティーユニットに銃身を装着、ハンドガンモードに変えて左手に構える。

 そして右手で懐からM9銃剣を取り出し剣先をパムジャへと向けて言い放った。


 「よう元山賊、さっきから何か妙な技を使って逃げてやがるが、逃げる事しかできねーのか? 情けねーな?」


 するとパムジャは愉快そうに顔を歪める。


 「おいおい、イキがるなよガキ? てめーの攻撃が当たらないからって安い挑発すんじゃねーよ」

 「挑発ね? だったら今度はそっちがかかってこいよ? それとも、それができない理由でもあるのか?」


 そう言って、わざと小馬鹿にした表情と口調でパムジャに言い放つ。


 「あぁ、そうか! 逃げる事しかできないチキンな山賊には無理か! そうだよな? 山賊なんて元より油断してる、奇襲が成功しそうな相手にしか喧嘩ふっかけないもんな? 真正面からまともに戦った事なんて一度もないんだろ? 弱い事がバレちまうもんな?」


 するとパムジャの目つきと表情が変わった。

 誰がどう見てもこちらの挑発に怒り心頭となったとわかる反応だ。

 その証拠にパムジャは今までと違い、凄みが増した低いトーンで言い放ってきた。


 「おいガキ、あんま調子に乗るなよ? そんなにコロされてーのか? あぁ? 誰に向かってもの言ってやがる! クソガキが!! いいぜ、望み通りコロしてやる! だが楽に死ねると思うなよ? たっぷり苦しめててめーが言った事、たっぷり後悔させてやる!」


 パムジャはナイフを両手に構えてこちらを睨んでくる。

 それを見てTD-66に小声で指示を出す。


 「機械の騎士さん、援護を頼む。やつがこちらに一直線に突っ込む以外の選択肢を取れないように地面に乱射して牽制してくれ」

 『了解です』


 TD-66が頷き、両手の30mm単砲身機関砲を構えて射撃を開始する。

 それと同時にこちらもパムジャに向けて一気に駆ける。

 同じくパムジャもこちらに向かって駆け出してきた。


 「はぁぁぁぁ!!!」

 「死ねクソガキぃぃぃぃぃぃ!!!」


 パムジャは叫びながらナイフを振りかざし斬りかかってくる。

 その斬撃を難なくかわし、パムジャの心臓めがけてM9銃剣を突きだす。


 パムジャはその突きを両手を交差させて受け止めた。

 M9銃剣がパムジャの右腕に深く突き刺さるが、パムジャは平然とした様子であった。


 そのままパムジャの右腕に突き刺さったM9銃剣を引き抜こうとしたが、深く突き刺さったせいか、それともパムジャが腕に力でも入れているのかうまく引き抜けなかった。


 「ひひ!! もらった!!」

 「っ!!」


 M9銃剣を引き抜こうとして引き抜けなかったその一瞬の隙をついてパムジャが右足を蹴り上げてくる。

 だが、これは即座に発動したオートシールドモードで弾く事ができた。


 「っち!! また防御魔法かよ!!」

 「わるいか山賊!? 悔しかったらてめーも使ってみろ!!」


 そう言って引き抜こうとしていたM9銃剣を離し、左手に構えていたアビリティーユニット・ハンドガンモードをパムジャへと向ける。


 「これでもくらえ!!」


 そして引き金を引いた。

 確実にパムジャを射抜ける距離とタイミング。

 だが、銃口から放たれた光弾はパムジャには当たらなかった。

 当然だ、何せそこにはもうパムジャの姿はなかったのだから……


 引き金を引いた直後、ドクンと心臓が大きく鼓動するような違和感を感じ、気付けばパムジャは目の前にいなかった。

 ではパムジャはどこにいるのか?


 左右はTD-66の30mm単砲身機関砲の銃弾が飛び交っており、とても退避できる状況じゃない。

 となれば死角は一箇所しかない。


 「ひひ!! 死ねクソガキぃぃぃぃぃぃ!!」


 パムジャの叫び声が背後から聞こえ、自分の首目がけてナイフを振り下ろしてくる気配を感じた。

 しかしあえて振り向かず攻撃を回避しようとはしない。

 何せ回避する必要がないのだ。


 パムジャが振り下ろしたナイフは発動したオートシールドモードによって簡単に弾かれる。


 「っち!!」


 斬撃を弾かれた事にパムジャは舌打ちして、すぐに地面を蹴って後ろへと素速く下がろうとするが。


 「逃がすか!!」


 素速くアビリティーユニットから銃身を外し、レーダーの刃を出しながら振り返って斬りかかる。


 「っ!!」


 このレーザーブレードの斬撃をパムジャは素速い動きで回避した。

 そう、ただの回避だ。ドクンと心臓が大きく鼓動するような違和感は感じない。


 (やっぱりか!!)


 パムジャがこちらの斬撃をよけ、後方へと下がったのを見て素速くアビリティーチェッカーを装着して聖剣の能力をタッチする。

 そしてレーザーの刃の出力を増して光のムチを作り、パムジャへと叩きつける。


 「こいつでどうだ!! おらぁぁぁぁ!!」

 「おっと!! こいつは怖ぇーなおい!!」


 斬撃と違って軌道の予測がたてずらいムチの攻撃だが、これをパムジャは脅威の反射神経で回避する。

 しかし、光のムチは物理的なただのムチではない。

 元々はレーザーの刃がしなった代物だ。それを叩きつけるのだ。


 言うなればそれは不規則な動きを見せるレーザー光線のようなものであり、パムジャが回避し地面に光のムチが当たる度に地面で小規模な爆発が起こる。

 これを嫌ってパムジャは光のムチが自身に迫る前に回避しようと動く。


 (よし! うまく誘導できた!! 後はトラップを発動するだけだ!!)


 そう思ってニヤリと笑う。


 準備はもうすでに済ませてある。

 TD-66にパムジャが左右に逃げないよう銃弾で牽制させ、パムジャの逃げ道が一直線上にしかないように設定した。

 そして、密かに銃弾の雨が飛んでこない一直線上に魔法で無数の対人地雷を仕込ませたのだ。


 この対人地雷の起爆はこちらの意思で行う事ができる。

 いうなれば、絶対に不可避のタイミングで発動できるのだ。

 しかも仕込んだ地雷の数は1つではない。


 さきほどまでのように違和感が起きて、別の場所に瞬間移動して回避されても、移動した先にある地雷を起爆する事もできる。

 これを回避する術はほぼないはずだ。

 何せどの地雷を起爆するかは予め決まってはいないのだから。


 最初から起爆する場所が決まっていて、そこに誘導するトラップの場合だと、回避されるリスクは各段と高くなる。

 人間どれだけポーカーフェイスを貫いても、どこかでボロが出てしまうからだ。


 しかし、誘導する場所が広範囲であればあるほど、そういったボロは出にくくなる。

 決まった場所などない、どこでもいいという条件は人間に気持ちの余裕を持たせるのだ。


 (さて、それじゃあ違和感の化けの皮を剥がせてもらうぜ!!)


 パムジャが光のムチを回避し、後方へと下がったところでその着地点の地雷を起爆させる。


 「!!」


 パムジャが驚きの表情を浮かべ、彼が着地しようとした地面が爆発を起す。


 (捕らえた!!)


 そう思った直後、ドクンと心臓が大きく鼓動するような違和感を感じパムジャの姿が消えた。

 しかし……


 「そこか!!」

 「っ!!」


 地雷が起爆した場所から少し離れた位置にいたパムジャの足下の地雷を起爆させる。

 しかし再びドクンと心臓が大きく鼓動するような違和感が起き、パムジャがその場から姿を消す。


 そして地雷が起爆した場所から消えたパムジャが次に立っていた場所はTD-66が30mm単砲身機関砲をぶっ放している銃弾の雨が飛び交う場所であった。

 普通に考えれば、そんな所に瞬間移動すれば銃弾の雨にさらされ、体中穴だらけになって死んでしまう。


 しかし、そうはならなかった……

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 これはTD-66が銃撃をやめたからではない。TD-66の30mm単砲身機関砲が弾切れを起して銃撃できなくなったからだ。


 そう、()()()()()()()()()()()()()退()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そして、TD-66が銃弾の雨を降らせていた場所には地雷は設置されていない。

 つまりはパムジャは安全地帯へと運良く退避できたという事になる。


 しかし果たして、本当に運良く退避できたのだろうか?

 そんな都合よく弾切れが起こるだろうか?


 答えはノーだ。

 そして、それこそが今まで感じていた違和感の正体である。


 「ひひ!! まったくおぞましい罠を仕掛けてたみたいだが、どうやら仕留め損なったみただなクソガキ?」


 パムジャはニヤリと笑うが、こちらとしてはこれで確証が持てた。


 「仕留め損なった、ね? ……それはどうかな?」

 「あん?」

 「気付かなかったか? あんたの能力が何なのか検証していた事に」


 そう言ってパムジャを指さす。


 「あんたに攻撃するたびに感じていた違和感……回避されるにしても不可解だったその現象がマジックアイテムを使ってるわけじゃないとすれば、それは本人の異能以外ありえない。とはいえ、あんたは杖を持っていない。そして亜人のハーフでもない。そうなればあんたの正体は転生者、もしくは転移者だ! 違うか?」

 「っ!!」


 言われたパムジャは一瞬驚いた表情となったが、すぐに元の表情に戻る。


 「おいおいおい! いきなり何を言い出すかと思えば転生者? 転移者? 何の話をしてやがんだ?」


 パムジャはそう小バカにしたように言うが、鑑定眼でパムジャのステータスを見れば一発だ。

 ところどころ文字化けしているが、しかし転生者/転移者/召喚者を示す記号ははっきりと表示されている。


 しかし、恐らくはこの元山賊は地球出身ではないだろう。

 この転生者/転移者/召喚者を示す記号は元の出身世界によって形が違う。

 そしてパムジャの記号は地球のものではない。


 地球の記号に関しては次元の狭間の空間で鑑定眼の能力を確認した際にチェックしているので間違いない。

 だからパムジャは転生者か転移者であっても自分のターゲットではない。


 とはいえ、ターゲットではないとは言っても転生者なり転移者である以上は能力は奪える。

 そしてパムジャの能力は厄介極まりない、ならば能力を奪って取り上げるのは至極当然の流れだろう。


 (まぁ、今回の緊急クエストの性質上、能力を奪った後にこいつは殺す事になるだろうから毎度のやってる事と変わらない気がするけど……それとも拘束して警護ギルドの連中に渡せばいいのか?)


 そんな事を考えているとため息が出てきた。

 まぁ、どちらにせよ答え合わせは先にすませておくべきだろう。


 それにステータス画面がところどころ文字化けしている原因も探らなければならない。

 そちらに関しては不確定要素だ。

 しかし、まずは本人に能力について確認するのが先だ。


 なのでパムジャに尋ねる。


 「何の話をしているのかって? てめーの能力の検証って言っただろ? で、確信した。てめーの能力、これから何が起こるのかがわかる。未来の先読みじゃないのか?」

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