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四話

「ノエル〜 ノエル〜 起きて、早く起きて」 と、一緒に寝ていたシャロンが、小さな声で起こしてきた。


シャロンとは、反対に向いて眠っていた俺は、暗くてよく見えないが、ゆっくりとシャロンの方に顔だけ向けて、返事をする。


「どうした?何かあったのか?」


「トイレに連れてってほしい」と暗くてよく分からないが、少し焦った様子でシャロンが言ってきた


「分かった、すぐに明かりを出すよ」と言いながら魔法を使い明かりを出す。

すると暗かった目の前が光の球が現れたことで、シャロンの焦った顔がハッキリと見えた。本当ならここで、相手が男なら1つか2つからかうのだが、相手は女性しかも幼女、そんなことしてお漏らしされたら、ベッドが大惨事になり父さん母さんに怒られてしまうのが分かりきっているので、ここはグッと我慢するそれに、この年(精神年齢)になって、そんなものすごく下らない理由で親に怒られるとか普通に死ねるので


「じゃあ、すぐにトイレに行くから、付いてきて」と邪な考えを、頭の外に追いやり、直ぐにベッドから降りてシャロンを連れて一階にあるトイレに向かう。みんなが寝静まって、静かな家の中を二人で少しだけ早く歩くと、すぐに着いた。


まず、トイレのドアを開けて、魔法を使い、中を明るくしてから、振り返って。


「ほら、準備できたから早く済ませなよ」と、後ろで内股になりモジモジしながら待っていた、シャロンに場所を譲る。するとシャロンが頷いてトイレに入って行ったその間、どうして俺が、こんな事をしているのか思い出してみた。


本当なら、シャロンを部屋の前に待たせて、俺が母さんを呼びに行って、母さんにシャロンをまかせて、俺は部屋に戻って寝るのだが初めて魔法を見たあの日から時が過ぎ、季節が冬から春先に変わった今まで、俺は魔力制御と魔力量を増やすために、生活魔法とユニークスキルの魔力超回復を使い、練習に力を入れていた。なぜ、生活魔法だけでやっているかというと、魔力を感じ使えるようになったために、ユニークスキル・全魔法属性スキルのおかげで魔力さえあれば、全ての魔法が使える筈だが、まだ使ったことはない。なぜなら、まだ誰にも教わっていない魔法を使うと大変な騒ぎになることが分かるからだ、それと魔力制御を習うにあたって、書斎にあった初級の魔術書を読まない(本当は約束する前に読んだことがあるのだが、文字が読めないはずなのにどうやって理解したのか、説明するのがめんどくさいために使えない)と約束したために、生活魔法しか使えない状況なのだ。しかしそのお陰で生活魔法のスキルレベルが5に上がり(ライト・ウォーター・ライトウォッシュ・ホットウォーター・ドライ)の魔法を覚えることができたのだが、そのせいでわざわざ母さんを呼びに行く必要がなくなり、俺が母さんにかわって連れていくことになったのだ。


「ノエル、済んだよ」と、トイレから出てきたシャロンが、壁に背を預け座って考え事をしていた俺に、言ってきた。


「じゃあ、洗い場に行って、手を洗ってから部屋に戻ろうか」と、立ち上がりながら、シャロンに返事を返し歩き出す。その後をシャロンが付いてくる、そして洗い場に着き、水瓶から柄杓で水を掬い、シャロンの両手に掛けながらよく洗うようにいう。手洗いが済んだら、近くにあったタオルを渡して拭かせる。最後に問題がないか確認してから、シャロンを連れて部屋に戻って、またベッドに二人で横になり、母さんが起こしに来るまで、寝ようとしたら。


「ありがとう、ノエル」と小さな声で、シャロンが言った。それを聞いた俺は、分かってるよと言って、今度こそ寝るのだった。


「ノエル、シャロン起きて、朝よ、早く起きて」と言いながら、ティナが俺を揺すっている。


「おはようティナ姉、起きるけどもう少しだけ、ベッドの中にいるから、先に行ってていいよ」 と、いつの間にか抱きついて寝ているシャロンを横に見ながら起こしに来た、ティナに返事を返す。


「だめに決まっているでしょ、ノエルが起きてくれないと温かいお湯が使えないんだから、分かったら早く起きて一緒に行くわよ」と、バッサリと俺の返事を切って捨てながら、掛け布団を剥がしにかかる。


「ティナ姉、春先だからって、まだ寒いから掛け布団剥がすのだけはやめてほしい! すぐに起きるから! まったく、ほらシャロン僕は起きるけどシャロンはどうするの?」 とティナ姉に抗議と返事を返しつつ、抱きついて寝ているシャロンを、軽く揺すりながら問いかける。


「う〜〜〜のえる? もう朝? わたしも一緒に起きる」 と、少し前ならグズってなかなか起きようとしなかったのに、最近は、一緒に起きるようになったのだそれには理由があって、今までは季節を問わず、朝顔を洗うのに冷たい水で洗っていたが、俺が生活魔法でお湯を出せるようになったために朝俺と一緒に起きると、顔を洗うのにお湯が使えるようになったためだ。


「分かったよ、じゃあ、まずは顔を洗いに行こうか」そう言って、先にベッドから降りて、俺が起きるのを待っていたティナを先頭に洗い場まで行く。洗い場に着くと、まずたらいを2つ用意して、その中に魔法を使って、ちょうどいい感じのお湯を溜める。


「じゃあ、二人とも先に顔を洗っててよ、僕は先にトイレに行ってくるよ」とお湯の準備ができたので、二人に場所を譲り、俺はさっきから徐々に感じていた尿意をスッキリさせるためにトイレに向かう、するとリビングの方から、母さんが来た。


「おはようノエル、ティナとシャロンはどうしたの」


「おはようお母さん、ティナ姉とシャロンなら洗い場にいるから手伝ってあげてよ、僕はトイレに行くところなんだよ」と、答える。


「分かったわ、後はお母さんに任せて」と言って、洗い場に入っていく。俺は、それを確認してから、トイレに向かった。


トイレを済まして、洗い場に戻ったら、誰もいなかった、たぶん部屋に戻って普段着に着替えているのだろう。俺は残っていたお湯で顔を洗って、後片付けをしたあと部屋に戻った。すると普段着に着替えている最中の二人と母さんがいた。


「ノエル、いらっしゃい着替えを手伝ってあげるから」と、ふたりのパジャマを畳んでいた母さんが、俺の普段着を渡してくれる、それを受け取って、パジャマを脱いで母さんに渡す、それから手早く着替えて、最後に母さんに確認してもらって。


「準備できたわね、それじゃあ朝御飯にしましょう」母さんが、そう言って俺達をリビングに連れていった リビングに着くと、父さんが座っていて、ミケナが忙しそうに準備に動いていた。


「ありがとうミケナ、私も手伝うわ」と言って、母さんが準備に加わる。俺とティナとシャロンは自分の椅子に座って、父さんに挨拶をする。


「「「おはよう、お父さん」」」


「おう、おはよう三人とも」俺達が、挨拶すると、俺達を順番に見てから返事した

すると、朝御飯の準備をしていたミケナがテーブルに、スープの入った鍋を持ってきた。


「おはようニャ、三人ともこのスープは熱いから気を付けるニャ」と言って、テーブルの中央辺りに置く。


「「「おはよう、ミケナ」」」ティナとシャロンは、座ったままで、俺は椅子から降りて、毎朝の習慣になっている、ミケナに前から抱きついて挨拶をする、だってしょうがないじゃないか。ミケナが可愛いんだから。それに、俺の身長がちょうどいいんだよ!目線と顔の位置が!


「ニャ〜、ノエルは、毎日甘えん坊さんニャ、でも今はダメニャ、早く準備しないと、朝御飯冷めちゃうニャ」と、俺を、優しく抱っこして頭を撫でながら、俺の椅子に座らせる、それからまた、準備に戻る。


ちなみに、なぜミケナが、食事の準備を手伝っているかというと、少し前から、ようやく住み込みで働くための準備が出来たために、引っ越ししてきたのだ。

そう! それは! 地球ではフィクションや二次元の中にしか存在しなかった、獣人が、今はひとつ屋根の下おはようから(昨日はすごかったね、ハート(妄想))おやすみまで一緒に暮らしているのだ。


「ノエル、ミケナばっかり見てないで、わたしも見る」と、ミケナの姿を目で追っていた俺に、シャロンが謎のアピールをしてくる。


「どうしたの?シャロン何かあったの?」とミケナを見ていた俺は隣に座るシャロンに顔を向けるが別に何かするわけでもなくただジッと見てくるだけなので、少しだけ俺もシャロンを見つめる事にした。が、何も起こらないので、何か言おうとしたら。


「ほら、二人とも遊んでないで、朝御飯食べるわよ」 いつの間にか、準備が出来ていたらしい。シャロンから視線を外して、回りを見ると、全員が席に座り、母さんとティナが呆れた顔をしながら、ミケナが微笑ましそうに、最後に、父さんが、何が面白いのかニヤニヤしながら、俺とシャロンを見ていた。


「じゃあ、ノエルとシャロンが気づいたみたいだから、食べるか」と父さんがみんなを一度みてから食べ始めた。


「そういえば、ノエル魔力制御の方はどうなんだ、詳しくは聞いてないが、エステルは問題ないって言ってるからノエルには直接聞かなかったけど順調なのか?」 父さんが焼いた肉を食べながら聞いてくる。


「魔力制御の方は順調だよ、自分でも問題ないと思うよ、油断は禁物だけどね生活魔法も問題なく使えてるよ」と、俺も焼いた肉を食べながら答える。


「ノエルはすごい、温かいお湯を出したり、体とか頭を洗ったら、すぐに乾かしてくれる」 シャロンが、パンとスープを交互に食べながら会話に混ざって来たのを切っ掛けにみんなが話し出す。


「そうね、わたしも、読み書きばかりじゃなくて、お母さんかノエルに魔力制御と生活魔法を習いたいわ」とティナが


「お母さん、正直驚いてるのよ、魔力制御の練習を始めた時は、その日にほとんど完璧に魔力制御してみせたし、生活魔法に関しては最初の方は、魔力切れでよく気絶してたみたいだけど最近はまったく魔力切れ起こしていないみたいだし、私だって魔力量に少しは自信があったのよ?生活魔法には殆んど使えなかったけど、魔力が必要な各種ポーションを作るには十分だったんだけど、ノエルを見てるとすこし自信なくすわ」

「ニャ〜ノエルは本当に、すごいニャ、その年で、魔力制御ができて生活魔法を自由に使えるなんて聞いたこともないニャ」と口々にほめたり驚いたりしながら俺を見てくる。


そして俺は、その視線を何とか平静をよそおいながら受け止めつつ、ゆっくりスープを飲みつつ、考える やっちまったか〜〜・・・・魔力制御の練習と魔力量を増やすために、生活魔法を使いまくってたから、魔力量はそこそこ増えたんだよな・・・でも母さんが自信を無くすほどの量でもないんだよな、すべてはユニークスキルのおかげなんだよなどうすっかな〜〜本当のこと言える訳もないしな・・・・と、内心で頭を抱えている間も話が進む。


「そんなことになってたのか、そうだよな、最近になって湯浴びするとき、洗い場にノエルがきて、生活魔法で、お湯を出してくれてたからな、最初は驚いたけど、エステルが何も言わなかったから、普通なのかと思ってたぞ、やっぱりおかしかったのか」と、父さんが。


「当たり前でしょ、まだ、3歳なのよ?普通の子供ができる様な事じゃないのよでも、悪さや危ない事に使ってる訳じゃないし、私の言うことはちゃんと聞くし分かる範囲でしか使わないから、今の所は、私から何かするつもりはないわ」


「そうですニャ、ノエルは、3歳にしては不思議なぐらい落ち着いてるニャ、教会に居た、ノエルぐらいの子供はもっと手が掛かるし、言うこともあまり聞かないですニャ、それにノエルなら、何かあったら自分から聞いてくると思いますニャ」


「そう言うものか、まあ問題がないなら、俺はかまわないぞ、あと、ティナに関しては、俺は許可する、ただし、必ずお母さんに、許可をもらうこと、言うことは絶対に聞くこと、危なかったらすぐに止めること無理は絶対にしないことの四つを守れるのなら、魔力制御と生活魔法を習ってもいいことにする」と、ティナに視線を合わせて言う。


「わかったわ、ちゃんと約束は守るわ、だからお母さん、私に魔力制御と生活魔法教えてほしいわ」と父さんと約束して、母さんにお願いする。


「そうね、ちゃんと約束が守れるのなら、教えてもかまわないわ、じゃあ、今日の夜から始めましょうか」と、言ってティナに返事する。


「もう、お腹一杯」と皆が話している間に、黙々と食べていたシャロンが、満腹宣言。


その声を聞いた俺は、ハッとなり回りを見ると、俺の事は、勝手に納得したらしく、違う話題に移っていた、それを見た俺は、今までどうやって誤魔化そうかと考えていたのがバカらしくなり、とりあえず自分の分を平らげることにした。


「それじゃあ、ノエルに関しては今まで通りで、ティナに関しては母さんに一任するって事でいいなじゃあ俺は、行ってくる」朝御飯を食べ終えた、父さんが、俺とティナとシャロンの頭を撫でる、母さんを軽く抱き締めて、ミケナに手を振り出かけて行った。


「それじゃあ、ミケナはお店の方をお願いね、私は後片付けをしたら、すぐに行くわ」 母さんが片付けながらミケナに言う。


「わかりましたニャ、すぐにお店を開けますニャ」と言って、ミケナは店舗の方に向かった。俺たち三人は、


「じゃあ、私は部屋に戻って、読み書きの続きをするわ」


「僕は、書斎に行くよ」


「わたしは、部屋で休む」と、言いながら三人は、二階に上がっていった。


さて、二人が部屋に入るのを見て自分は書斎に入る。一人になった所で、この世界の魔法について改めて考えてみる事にした。何故かというとまだ生活魔法しか使った事はないが、この世界と地球の物理法則は違うと微妙に感じ始めたからだ。異世界なのだから、違って当たり前なのだが気になるのだだから少しだけ、自分なりに考えてみる。


まず「ライト」の魔法、蛍光灯ぐらい明るくしても、まったく熱を感じないのだ。普通それぐらい明るくなると、少しぐらい熱を感じるのだが感じないのだ。それから、目の前に光の球が浮かんでいるのに、触ることができないのだ。大きさを変えて何度か触れようとしたが無理だった。あと、この魔法は使った本人は、自由に動かすことができる。それ以外は動かす事ができない。が、抜け道はある。


次に「ウォーター」何もないところから突然水が出てくるのだ、魔力の量によって出てくる水の量も違うみたいだ。発動最低限だと、コップ一杯分みたいだ。あと何もない所から出てくるが場所はある程度指定できるみたいだ。たとえば、目の前に桶を置いて、桶の中心から三十センチくらいの高さから出てくる様に意識しながら使うと、だいたいその辺りから水が出てくるのだ。あと一度だけ、この水の出所を探ろうとして、実験をしたことがあるが、正直分からなかった。室内で桶二杯分の水を出したが、部屋の中の湿度が下がったとは感じなかった。


次に「ライトウォッシュ」

この魔法は、体や服といった物が汚れた場合に使う魔法で、発動すると、指定した対象がうっすらと光に包まれて汚れが消えるのだ。その汚れが何処に消えるのかは分からなし、汚れの対象がどうやって決まっているのかも分からない


次に「ホットウォーター」

これは、そのまんまお湯を出す魔法でかなり便利だ。魔力量によって温度が変えられるみたいだ。ちなみにウォーターも水温を変えられるが今のところ出番はない。


最後に「ドライ」これは、人や物をいい感じで乾かす魔法で、湯浴びした後や洗濯した後なんかに役立っている。正直、これらの魔法を使って思った事は、やっぱり地球の物理法則とは違うんだなと思った。ただし、水系に関しては、地下水と温泉を引っ張ってきてるんじゃないかと思ったのは、日本人だからだろうか?


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