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私の周りで咲いた花  作者: 一了
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さよならハッピーエンド

発車のベルが鳴り響く。ようやくだ。これで私は自由になれる。…例えそれが他人からすれば最低だと糾弾されることかもしれないが、それでも。窓の外を見るとアレがいた。私にはどうにも出来なかった、最早人生において汚点だとしか思えないアレとの繋がりをどうにかして絶ち切りたかった。それを本当の意味で叶えることは出来なくても、私がいることがここまで事を長引かせてしまったのだから。


じわじわと身の内を何かが這いずり回る。悲しみでも寂しさでもない、喜びとも違うものだ。ましてや残していくモノへの罪悪感など抱くわけがない。今さら赦される訳がない。だったらこの感情は何という名前がつくのだろう。自分のことすらよくわからない私は一体何なのだろうか。あぁ、でも一つだけ、ゆるされるというのならば。


どうかしあわせになってほしい。


その幼い頃の祈りが、私には決して見えないように叶えばいい。これだけはハッピーエンドを作れなかった、嘘つきで誰かの大切にもなれない私が昔に祈ったものだ。今もそう思えているかといえば、否定せざる得ないけれど。


景色がゆっくりと動き出す。されに合わせてぎちぎちと音が鳴りそうな顔の筋肉を動かす。笑顔を作ろうとしたはずなのに、ひどく歪んで醜いものになってしまった気がする。まるで私の心がそのまま表に出てしまったかのような。駅のホームは流れて消えた。




車両の中は学生にとっては春休みということもあり、子どもの楽しそうな声がポソポソと満ちている。それを壊してしまわないように、汚してしまわないように帽子を深く被り直し体を縮める。


そして、


ご め ん な さ い


小さく小さく呟いた言葉は誰にも届くことなく消えた。初めからなかったかのように。初めからなければ良かったものだから。


わたしはひとりでいきていくから

どうかもうほうっておいて


新幹線は期待や喜びがひしめく車両内に似つかわしくない人間がいても止まることなく、先へ先へと進んでいく。まるで淡々と刻み続ける時間のように。


変化というものは、恐ろしく残酷で優しいものだ。それでも変わらずにはいられない。それが生きるということなのだろう。


私はいつかこの時を、良い門出だったと思えるのだろうか。

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