第三十二話 パワーインフレーション
うむむ、ここまで遅れるとは
とりあえずこんな時間にねじこみねじこみ
「――あ、れ?」
一瞬、自分が何をしていたのか全く分からなくなって、焦る。
急いで顔をあげて、自分がロコのベッドに突っ伏していたことに気付いて、ようやく思い出した。
「……ああ、そうか」
昨日、俺はついに、ロコに真実を告げたんだ。
きっとロコにとっては、今までの常識が全部ひっくり返るような事件だったはずだ。
それでもロコは、最初の動揺が過ぎ去ると、
「ルキさんがそばにいてくれるなら、わたしはだいじょうぶです!」
なんて言って、気丈にも笑顔を見せていた。
とはいえ、やはり不安だったんだろう。
「きょ、今日はルキさんとずっといっしょにいたいです!」と可愛いお願いをしてきた。
幸い昨日は何の予定もなく、俺は二つ返事で了承すると、それからはいつものように時間を過ごした。
ロコはジェネシスの状況について根掘り葉掘り訊くでもなく、むしろそんなことは全部忘れてしまったかのように俺に甘えて、俺もそれに応えてロコを甘やかした。
夜は大抵、十時頃には解散してロコを部屋に行かせていたのだが、昨夜ばかりは寝るまで傍にいてほしいとロコに頼まれて……。
「そのまま、眠っちゃったのか」
起き抜けの靄のかかった頭で、メニュー画面を操作する。
時刻表示には「9月2日 9時44分 31秒」の文字。
いや、俺が時刻表示を眺めている間にも、秒の部分はどんどん変化していく。
一が二に、二が三に、三が四に。
俺の見てる前で、どんどん数字が変わっていく。
動く。
動く。
動く。
動く。
変わる。
変わる。
変わる。
変わる。
動く。
変わる。
動く。
変わる。
動く。
変わ……って、こんなもん見てる場合じゃなくて。
ロコに付き添ってここに来たのは日付が変わったくらいだったから、かなりの時間眠っていたようだ。
俺も、疲れていたのだろうか。
考えてみると、こんな風にぐっすりと眠ったのは久しぶり……いや、ジェネシスに来てから初めてかもしれない。
何しろ俺がジェネシスにやってきたのは正式稼働とほぼ同時。
ログアウトが出来ないことが分かってからはとてものんびり休めるような雰囲気ではなく、俺自身、いつも気を張ってがむしゃらに頑張ってきた。
もちろんその時間があったからこそ、今は曲がりなりにも外で戦えるようになったので後悔はしていないが、こういう穏やかな時間を過ごすのもきっと大事なことなんだと思う。
ロコは昨日、「ルキさんがいてくれて、わたしはほんとうに運がよかったです」と言ってくれた。
ただ、それは俺にとっても同じだ。
ロコが塔に来てくれて、本当に……。
「ん……。あ、ルキさん」
俺の視線を感じ取ったかのように、そこでロコが目を見開いた。
ロコは俺の姿を見て一瞬だけ驚いた顔をしたが、すぐに顔をふにゃりと緩ませる。
「悪い。起こしちゃったか?」
俺が小さく頭を下げると、ロコは健気にも首を横に振って、
「だいじょうぶです! むしろ、起きてすぐルキさんの顔を見れて、最高の気分です」
そんなことを言って、眠っている間もずっと握り続けていた俺の手をさらに引き寄せて、ぎゅっと抱きしめてくる。
「ルキさんは、今日もいっしょにいてくれるんですよね」
「あ、ああ。そりゃあ、もちろん」
「やった! じゃ、じゃあ、いっしょにジェネシスの車窓からを見てくれませんか?」
「ジェネシスの車窓から? い、いや、でも、あれは……」
あの番組で取り上げられた場所のほとんどは、今はもうない。
それはロコもわかっているはずなのだが……。
「えへへ! わたし、考えたんです! もう行けない場所でも、いっしょにおなじ景色を見れば、二人で旅行をした気分になれるんじゃないかなって」
「そ、そうか。それは、いい考えかもしれないな。うん、楽しみにしてるよ」
突然の提案に戸惑うが、ここで断るという選択肢はない。
俺がうなずくと、ロコの顔が目に見えて輝く。
「やったぁ! ルキさん、大好きです!」
ロコの顔に浮かぶのは、まるで本当に、今が最高に幸せだと言わんばかりの笑顔。
――だけどきっと、ロコは俺に心配をかけまいと無理をしているんだろう。
ずっと暗い場所に閉じ込められて、挙句の果てに、この世界にはもう数人しか人間が残っていない、なんて言われて不安にならないはずがない。
その不安を取り除くために、俺は出来るだけのことをしてやらないと、と思って……。
「えへへ。『ジェネシスの車窓から』は最終話まで通しで見るとぴったり十二時間なんです! 今日は、たっぷりいっしょにいられますね!」
「え? あ、うん、その……お手柔らかに、な?」
いや、でも、やっぱり出来ることと出来ないことってあるよね!
※ ※ ※
ロコはそのままオーディオルームに直行する気満々だったが、俺にも一応、やることがあったりなかったりする。
とりあえず「ジェネシスの車窓から」の鑑賞会は午後、ギルドチャットが終わってから始めるということにして、午前中はそれ以外の用事を終わらせるのに使うことになった。
ということで、俺がまず向かったのはシミュレーションルーム。
この前は少し変則的だったが、リューの作ったミッションをこなすのは朝の日課だ。
以前のシアの例を見て分かるように、生存者が少ない現状、普段とは違う行動をするだけで回りを心配させかねない。
無事にロコを説得した俺は、シミュレーションルームでいつものようにリューの作ったミッションをこなすことにした。
「へぇ。やっと話したんだ。うん、いいと思うよ。僕はロコちゃんなら大丈夫だって思ってたし」
「そう言ってもらえると気が楽になるよ」
案の定、俺がシミュレーションルームに入るのが遅かったせいで、リューを不審がらせていたようだ。
ミッションを始めるとすぐにリューが観戦で飛び込んできて、話は自然とロコへのカミングアウトの話題になった。
「これまで、リューにも迷惑をかけたな。ありがとう」
「い、いいよそんなの。僕とルキ君の仲じゃん」
俺が頭を下げると、リューは焦ったように手をぱたぱたと振った。
「でも、そっかぁ。じゃあロコちゃんとこうやって話すのもしばらくなくなるかもしれないね」
「えっ?」
きょとん、とするロコに、リューは重ねて言う。
「いや、ほら。初心者の塔って一番安全な場所だし、塔にいるためにはレベル五十まで上げちゃダメなんでしょ。だったらシミュレーションルームに通う必要もないんじゃないかなって」
「それは……」
突然突きつけられた事実に、ロコは動揺したが、それでもしっかりとした表情で言った。
「で、でも、わたしはルキさんが戦いを続けるなら、そのお手伝いがしたいです! その……キマイラみたいなすごい敵を倒せちゃうルキさんを、どうやって手助けすればいいかは、まだわからないですけど……」
その言葉に、あれ、という顔をしたのは、リューだった。
小声で俺だけに尋ねてくる。
「もしかして、ルキ君。具体的な話は、まだあんまりしてないの?」
「あ、ああ……」
「ふぅん」
俺が答えると、リューの目がキランと光る。
これは、ろくでもないことを考えている時の目だ。
などと思う間もなかった。
「――その言い方、僕のことは眼中にないって言われてるみたいで、気に入らないな! 世界最強のモンスターテイマーの実力、見せてあげるよ!」
こうして突然の宣言と共に、謎のイベントが幕開けしたのだった。
※ ※ ※
「あ、あの、リューさん。だいじょうぶなんでしょうか」
自分の実力を見せる、と言ってリューが選んだのは、推奨レベル200を誇る難関ミッション「火竜王の試練」。
「ソロモンの指輪」は一応ほしいと思ってたんだよねー、というのは本人の談。
とはいえ、あれだけ啖呵を切って、やることがただクイズに答えるだけ、なんてはずはない。
「よし、そんじゃま、行きますか。シャドウウルフ! 君に、決めた!」
リューに、端からクイズに付き合うつもりはない。
溶岩の沼から火竜王の姿が現れると、リューはすぐに、目の前の地面にカプセルを放り投げる。
モンスターテイマーは、モンスターの入ったカプセルを使うことで、使役したモンスターを持ち運ぶ。
あくまで楕円形のカプセルであって、球形のボールとかではないので、そこは注意が必要だ。
いやほんとに、そういうんじゃないから、ね!
ともあれ、カプセルから飛び出した真っ黒なオオカミが、火竜王に向かって吠える。
「あれは……」
「シャドウウルフ、だな。しかもそれなりに強化されてる」
「強化、ですか?」
問いかけるロコに、うなずきを返す。
「モンスター情報のポップアップ、ちゃんと見えるようにしてるか? じっと目を合わせておけば、種族名とレベルは出るようになってると思うけど……」
「あ、はい! ……え、これって」
ロコの驚きの声。
しかし、それも当然だろう。
――――モンスター――――
【シャドウウルフ】
LV 188
状態:テイム
―――――――――――――
本来、シャドウウルフはロコでも倒せるような低レベルモンスターだ。
それが、LV188、すなわち火竜王の200レベルにも迫るほどのレベルになって、そこに存在している。
「ふふっ! 驚いているようだね!」
どや顔で告げるリュー。
「シャ、シャドウウルフがどうしてこんなレベルに……」
ロコがそう尋ねるが、実はその答えは俺には想像はついていた。
その高レベルの、秘密は……。
「ガチャの外れのエサに! 経験値アップの効果があるからさ!!」
とんでもない説得力だった。
「あ、あれ? でも、モンスターバトルの時は、もっと強そうなモンスターがいたような……」
さらに、ロコの疑問には、胸を張って答えてみせる。
「あはは! そりゃそうだよ! だって、貴重なモンスターはモンスターバトルの方に使いたいじゃん! ぶっちゃけ今の手持ちはモンスターバトルに使わなかったダブりだよ!」
「え、えぇ……」
「あ、それに、カプセルのモンスターをテイムするには、一度モンスターの出るフィールドに出なくちゃいけないから危ないしね」
それって本末転倒なのでは、というような視線がロコから向けられるが、俺は気付かないふりをした。
まあ、趣味に生きる人というか、こういう奴なんだよ、リューって。
「ただ、侮ってもらっては困るよ。僕はレアなモンスターが出たらシミュレーターに送ってしまうけど、それでもこのくらいのモンスターはいるんだよ。グリフォン、君に決めた!」
ひゅん、とカプセルが放り投げられ、そこから二体目のモンスター、グリフォンが現れる。
グリフォンは本来、サイクロプスと同等の100程度の基本レベルを持つモンスター。
だが……。
――――モンスター――――
【グリフォン】
LV 172
状態:テイム
―――――――――――――
こちらもやはり、かなり強化されていた。
餌でもらえる経験値量なんて大したことないと思うのだが、やはり継続は力なり、という奴だろう。
「さぁて、火竜王。悪いけど、僕の力を見せつける当て馬になってもらうよ」
「笑止! 消し炭にしてくれるわ!」
リューの名乗りに、意外とノリのいい火竜王はそう宣言をして、戦闘が始まる。
「ゲレゲレ、右から仕掛けて! グリ君は空から体当たり!」
初めに仕掛けたのは、リューだった。
二体のモンスターに指示を出し、自分も火竜王に向かって接近する。
「レベル200近いモンスターが二人も! これなら……」
「……いや、それはどうかな」
モンスターバトルの時にも少し触れたが、高レベルモンスターが強いのは、レベルが高いから、だけじゃない。
基本レベルが高いモンスターというのは、持っているスキルや基礎能力値も高いのだ。
レベル200になったオークでは、レベル200のドラゴンには絶対に適わない。
もちろん火竜王とグリフォンならそこまでの差はないだろうが、それでも……。
「あ、やられた」
「ちょっ! グリ君! ゲレゲレー!!」
一撃だった。
火竜王がめんどくさそうに腕を振るうと、全く見どころがないままにグリフォンとシャドウウルフが一瞬で粒子に変わる。
ちなみに、今回はシミュレーターなので大丈夫だが、テイムされたモンスターはプレイヤーなどと同じく、HP0になって消滅すると二度と戻らない。
その辺はやっぱりシビアなのだ。
「あ、あぶない!!」
ロコの悲鳴。
見ると、不用意に近付いていたリューに、火竜王がブレスを浴びせようとしていた。
リューは完全な後衛職で、指揮は出来ても自分で戦闘は出来ないタイプだ。
当然、至近距離から放たれたブレスを避ける術など、ない。
「リューさん!!」
その姿は、あっという間に炎にまかれて見えなくなり……。
「……あっついなぁ、もう」
だが、ブレスが収まった時、そこには無傷のリューが立っていた。
「え、え?」
何が起こっているのか、全く分からないのだろう。
ロコは混乱した挙句、俺に助けを求めるような視線を向けた。
「も、もしかして、リューさんって本当は、直接戦闘が得意なジョブをサブに……」
「いや、違う違う。あいつは根っからのモンスターテイマーだから、モンスターを使わない戦いは大の苦手だぞ」
「え? で、でも……」
ロコの困惑は分かる。
じゃあリューはなぜ、あの炎をくらってもノーダメージだったのか。
だけどその疑問に対する答えは、実に単純。
リューは確かに、直接戦闘は得意じゃないし、防御力だって適性としては高い方じゃない。
ただ、それでも火竜王のブレスにやられることはない
だって……。
「あいつのレベル、今はもう1000超えてるからさ」
「ふぇ?」
そして、まるで俺の言葉を、証明するかのように……。
「――これが世界最強のモンスターテイマーの、力だぁあああ!!!」
リューのヘロヘロパンチが火竜王の顔面に突き刺さり、火竜王は一瞬で爆発四散したのだった。
※ ※ ※
いいストレス解消になった、と言ってリューが行ってしまってから、俺はロコに解説をする。
「実はさ。リューがずっとモンスターバトルをやってるのは、単に遊んでる訳じゃないんだよ」
いや、本人は楽しいからやってる、なんて言っているが、それだけじゃない。
「モンスターバトルでモンスターを指揮すると、テイマーは少しだけ経験値がもらえるらしいんだ」
おそらく、モンスターバトルに対するテコ入れ、だったのだろう。
それだって普通にやっていれば大した意味はなかっただろう。
ただ、リューが指揮していたのが高レベルだったことと、何よりも継続してプレイしていた期間が長かったことで、リューは1000を超えるレベルにまで到達したのだ。
「なんだか自信をなくしちゃいました。やっぱり、みなさん強いんですね」
「あ、あははは。そりゃまあ、一年以上のプレイ歴の差があるからなぁ。いくらロコがすごくたって、たった一ヶ月でどうにかなるもんじゃないよ」
ジェネシスには様々な特異性はあるが、ゲームバランス自体は既存のMMOをベースに作られている。
ゲームというのはあとから来た人の方がより早く成長出来るように作られているものだが、それにしたって十分の一の時間で新参が古参に追いつけてしまったら、それはそれでバランスが悪いだろう。
「そんな感じで、各自、それぞれのレベルアップ法を持ってるからさ。実は初期キマイラ程度なら、ラストホープのメンバーは誰でも素手で倒せる程度には強いんだよ」
「そ、そうだったんですか……」
がっくりとうなだれるロコ。
「あ、で、でも、リューのことはとりあえずあんまり気にしなくていいと思うぞ。プレイヤーが戦うのは、プレイヤーじゃなくてモンスター。モンスターを相手に、自分が出来ることを少しずつ増やしていけばいいんだよ」
「そう、ですね。そうですよね!」
単純なもので、俺がそう声をかけると、ロコは元気を取り戻してくれたようだった。
「それで、そのためにはどうするか、だけど……ううーん」
少しだけ、悩む。
――てっとり早いのは、実際に見てもらうことだと思うんだけど……。
まさかロコ相手に本当にムキになったなんてことはないだろうし、リューがああやって自分の戦いを見せたのはロコに気を遣ったからだろう。
その気持ちを無にすることにもなりかねないが……。
「ま、でも、とりあえず最上階、行ってみようか」
案ずるよりも生むがやすし。
まずは行動をしてみることにしたのだった。
※ ※ ※
「あ、あらためて見ると、すごい数ですね」
「オークの庭、って感じだよな」
塔の最上階のテラスから、フィールドを見下ろす。
前回はしっかりと見る暇はなかったが、今きちんと眺めてみて、ロコはそのオークの数に顔を青くしていた。
モンスターは、定期的に討伐しなければ数は増える。
最近は俺がたまに戦ってはいるが、一人の力にはやはり限界がある。
「ま、でも、ほかはもっときついからなぁ」
ゴブリンが絶滅した今のジェネシスにおいて、オークはおそらくジェネシス最弱のモンスターだ。
能力値においても戦闘ルーチンにおいても隙がないレベルで弱い。
だから、まずは塔の周辺に数百体単位でうろついているオークを何とか出来るようになるのが、ジェネシスで戦うための第一歩、なんだけど。
「ただ、一つだけ問題があってさ」
「問題、ですか?」
「うん。……あ、そうだ。まずはちょっと、ここから撃ってみなよ。このテラスからなら向こうの攻撃はこっちには届かないから一方的に攻撃出来るぞ」
俺が提案すると、ロコはぱちくりと目を大きくさせた。
「え、そんなの、いいんですか?」
「そりゃ、まあ、ずるいとは思うけど、別に問題ないと思うぞ」
実は、低レベル魔法使いなんかはここで経験値稼ぎをしていたとかしていなかったとか。
とはいえ、オーク程度じゃ経験値も高が知れてるし、何より目標が遠すぎて狙いが定まらなかったらしいが、ロコならそんな心配は要らないだろう。
「え、と。じゃ、じゃあ、行きます!」
そう言って、ロコはテラスから身を乗り出すと、片手で狙いをつける。
こんな時でも俺の手を離さない辺りは余裕なのか怖いのか。
ともあれ、ロコの銃の腕ならそんなことは障害にもならないようで、魔導銃の先から飛び出した魔法の光が、はるか先にいるオークを捉える。
「あ、あれ?」
しかし、そんな離れ業をやってのけたロコは首をかしげる。
「も、もう一度! あ、あれ?」
それからも何度か試していたが、思ったような結果が出ないのか。
泣きそうな顔で俺を振り返る。
「ご、ごめんなさい! なんだかぜんぜん、当たらなくて……」
焦るロコがかわいそうになって、流石に口を出す。
「いや、大丈夫。ちゃんと当たってると思うぞ」
「え……?」
「ちゃんと『見て』みると分かるよ。一体何が、問題なのか」
言われて、ロコは目を凝らす。
はっきりと、その「情報」が分かるくらいに、しっかりと。
……オークは最弱のモンスターだ。
戦闘技術に見るべきものはなく、基本レベルは10しかない。
ただ、「基本」のレベルということは、変動することもあるということ。
「実は、さ。あいつらって――」
そして、今。
一年近くモンスター側に天秤が傾き、ずっと強化され続けたモンスターが、どうなっているか。
その答えは……。
――――モンスター――――
【オーク】
LV 31842
状態:敵対
―――――――――――――
「――素のキマイラの、百倍くらい強いんだよ」
一年間の重み!
次回は早ければ明日!
遅ければ……




