閑話 世界が変わる日
すっごく短いですが、ここにいれなきゃいけないものなので
――世界がひっくり返る、その日まで。
わたしにとっての世界とは、塔でのルキさんとの生活がすべてだった。
その日、塔の最上階で。
ルキさんは、わたしに「真実」を告げた。
それはとても大きくて重くて。
わたしには、とてもとても、受け止めきれなくて。
だけどそれでも、わかったことがあった。
「じゃ、じゃあ……ずっと、このまま、なんですか?」
震える声で、言葉を紡ぐ。
「ここで、ふたりだけの生活が、ずっと……?」
そんなことはありえない。
あるはずがないって、心の中では思いながらも……。
だけど……。
「……ああ」
ルキさんが示したのは、肯定の仕種。
「そん、な……」
そんなことが、あっていいんだろうか。
――ダメ、だ。
ギュッと、唇をかみしめる。
人が、たくさん死んだんだ。
大勢の人が、きっと、苦しんだんだ。
だから、ダメだ。
こんなのは、ダメだ。
だから、わたしは顔を俯かせ、ギュッと、血が出るほどに強く唇をかみしめる。
こんな顔を、ルキさんに見られないように。
「……あっ」
けれど、気付けばわたしは、ルキさんの抱き締められて。
その胸の中で、わたしはやっと、心からの表情を、切れ切れの嗚咽を解放させた。
「よかったぁ。……よかっ、たあぁ」
そして、わたしは……。
ただ、今の日々が終わらないことを……。
ルキさんとこれからもずっと共にいられる幸せを思って、笑いながら泣き続けたのだった。
――この日、まで。
わたしにとっての世界とは、塔でのルキさんとの生活がすべてだった。
――そして、この日、から。
ルキさんとの二人だけの生活は、本当にわたしの全てでいいのだと知ったのだった。
ということで、ここで本当に第一部終わりです
実を言うと、もともとはここまで引っ張るつもりはなくて、構想段階では五話、連載開始の時には十五話くらいを見込んでたんですよ!
昨日のことみたいに覚えてるんですが、この連載の最初の方に一度くらい評価くれくれでもしとこうかなと思ったんですが流石に思いとどまったことがあって、高評価とかつけてもらったあとにこれやったらブチギレ案件ですし、どうせすぐネタバラシやるし、と思ってたんですが、まさか序盤がここまで長くなるとは……このリハクの目をもってしてもうんぬんかんぬん
ということで、これからの作風が受け入れられるのか本気で分からないので、ここからは感想や評価、妖怪ブクマ外しなどなど、お待ちしております!
あ、次回更新は明日
あと明後日にもう一回更新して、そこからは隔日くらいで連載してく予定です




