#2 超神。そして原初神
17.12.02少し内容変更
宗司、大和、凛、徹、薫が目を覚ますとそこは、青空が広がっていた。
まるで空に浮いているかのように真横に白い雲や青い世界が広がっていた。地面がきちんとあり、きちんと整備された芝生が植えてあり、川が流れていて、奥に滝があるらしく、少し水の落ちる音がする。さきのほうは何もないようで水が、そのまま下へと落ちていっている。
もっと高いところには太陽が輝いているのだが、何故かそれは皆既日食のように黒い太陽なのである。
「「「「「ここは一体……」」」」」
宗司、大和、凛、徹、薫の5人はユニゾンで言っていた。
「ここは神々の住む場所スクワイアじゃ。人間界では天界とか言われておるな。もっとも、一般に言われている神界よりも上の超神界じゃがな。」
白髪だけれども若々しいイケメンの男が言う。
「あの……あなた様は一体?」
「わしか? わしは超神13神の第1超神。1にして全能を司る神ゼウアリストじゃ。天道凛さんといったかのう。君はかわいい子じゃて。わしが力を貸そうかの?」
そう言いながらゼウアリストは凛の髪に触れる。
「キャッ!この……」
「このぉ!変態男神!」
バッシーンと凛が反応するよりも早く、女の神がゼウアリストの頬を叩いていた。
「まったくもう……女性を見るとすぐにこうなんだから。ごめんなさいね。この第1超神、大の女好きで貴女が可愛いから口説くのよ。かつて結構な数の女を口説いて子供まで産ませたような最低男よ。まぁ、それは結婚する前から分かっていたんだけどね。私は第2超神ジューネよ」
ジューネはどこにでもいるような感じのいい、おばさんのように見えるのだが、第1超神を
さっきから叩きながら言う。
「ちょっと。お母様達のせいで話が進まないから、わたくしが、説明させていただくのれす。わたくしは第5超神アフロディーネなのれす。先ずあなたたちには異世界に行ってもらいたいのれす。ちょっと聞いているんれすか。もうプンプンれす」
ピンク髪の少しだけ脂肪がつき羊のような可愛さを持つ神様が言う。
宗司はなんだか和むなーという温かい目で目の前にいる神様を見た。凛や大和も同様だった。徹と薫も、なんとも言えない表情をしていた。
「何よ。その目は。ムッキー。もう説明してやんないのれす」
「あー。すみません。ほら凛も宗司もきちんと謝っておかないと」
大和が正気に戻って言う。
「「はい。どうもすみませんでした」」
二人で謝ると何とか許してもらえた。
「それで。何故ここにいるのかという理由と、何故異世界に行かなければならないかという理由を
説明してほしいんですが」
宗司は聞きたいことを聞いた。
「はい。まずはあなたたちがここに来る前に戦っていた相手いるれしょ。イクス・スパークという少年のことね。そこまでは知っているれしょ」
第5超神は宗司と凛、大和の3人の顔を見て反応を見る。
「よろしいれす。では彼の正体から言いましょう。彼は異世界アンペイアという世界の戦士なのれす」
胸を反らせて自信満々に言う。
「ちょっと待ってください。異世界の戦士ってどういうことです」
大和は聞き返す。
「慌てないで。ちゃんと説明するのれす。まずアンペイアというのは破壊神を祭る宗教単一世界だと思って。その結果、世界の管理者を自称し始めたのれす。簡単に言えば過激派組織が一つの神以外は認めない。他の神を信仰する国家などは神の名のもとに破壊するって感じなのれす」
「つまりどっかの過激な宗教と一緒ってことですね」
「そうなのれす。しかもその神は実際にいてかれらはその眷属なのれす。あなたたちが戦ったのはそれなのれす。で、邪魔に思ったイクスはあなたたちを殺したというわけなのれす」
「なるほどな。で、なぜその異世界に行くこととここにいるのかを説明してくれませんんか」
「はい。イクスたちが異世界に繋がるものを壊すと、次にその世界を破壊するために、破壊神を呼ぶための土壌をつくるのれす。その時に、あなたたちがそこへ行くことで、辞めさせる手立てになるのではないか。……と期待しているのれす。」
そこまではいいですかと女神は宗司たちを改めて見回した。
「あなたたちの肉体と精神は素晴らしいので、異世界の冒険者としては申し分ないれすし、神の加護を受けてその世界を守ってもらいたいのれすよ」
「あっ。ちなみに元の世界ではあの学校では全窓ガラスが割れ、あなたたちの居た廊下が崩れて大惨事れしたので、その時に亡くなった方も居たのれすが、神々がちょっと時間を戻して、その犠牲者さんたちが亡くならないようにしたのと、爆発を無かったことにするために他の神々や天使がご都合主義的な力を使いましたので、大丈夫れすよ」
「なるほど。では、徹様とわたくしが一番最強というわけですね」
当然だとでもいうように薫が自らの胸元に手を当てて言う。
「いえ。あなたがたはおまけれす」
わずかに顔を曇らせて薫の言葉に言いにくそうに女神は言った。
「ちょっとぉ。どういうことですの? わたくしたちが凛さんや宗司さんに劣っているとでもいうんですの?」
薫が女神に詰め寄るために腰を曲げて言う。
「話が進まないからちょっと黙っていろ。なるほどな。要するに破壊神の眷属が破壊神を呼び出して次々と世界を破壊していくのだけれど神の眷属だから自分たちでは手が出せない。人間である俺達になんとか助けてほしいというわけだな」
宗司が薫を黙らせて言った。
「そうなんれすよ。まぁ事が済んだら元居た世界に帰ってもらうことも可能れすよ。ついでに神の加護をいくつかするのでお願いするれす。あっ。わたくしは天道凛さんの担当れす。神藤大和さんはお母様が。御堂宗司さんはお父様が担当するのれす」
「そうなのよ。ごめんなさいね。ほとんど任せちゃって。神藤君、よろしくね」
自らの額の汗をぬぐい、すっきりとした顔でさっきまでゼウアリストを殴っていた女神が言った。拳には夫神の赤い血がついている。
「はっ。はい」
大和が若干引きつりつつ言う。
「で、わしが君の担当なのじゃが、いいかね」
ぼこぼこにされ見るからに青あざや、ささくれ。頬に真っ赤な手形と痛々しい姿の第1超神が言う。視線に気づき、ほい。っというと簡単に傷は消えてしまい元々のイケメンに戻る。
「その前に神様。一つお願いしたいことがあるのですがね」
宗司は願っていたことを神様に聞く。
「なんじゃ。言うてみい」
何か?とでもいう風に神は首を傾げた。
「俺はあれから"力"を得たい」
そういって宗司が指で示したのは太陽である。
「いや、あのお方は……」
『良い。このわたしが見込んだ通りの少年だな。わたしは創造神ゴッド・オブ・ロード。』
穏やかな声が直接心にかたりかけてくる。
「では。創造神とやら。僕に力をわけてくれませんかねぇ」
徹が言う。
「いいだろう。そっちの娘もわしがやろうかね。徹君とひと時も離れたくないようじゃし」
そう薫に言う。放っておいてもいいだろう。
『では御堂宗司……よ。わたし手ずから力を貸そう。まず君はどんな能力が欲しいんだ』
「そうだなぁ。とりあえずは料理ができるスキルと魔法、そしてアイツが放ったように気を
放つことができるようにしておきたいな」
宗司が指折り数えてから言った。
『そうか。……まぁ、君ならば魔法もちょっと力を与えるだけで十分使えるだろう。気功のほうも元があるから大丈夫だ。そして料理も今までやっていたようだし、プラスアルファを加えるくらいだの。ついでに幽霊や妖怪討伐のスキルも渡しておこう。普通は身体強化もつけるのだが、君には必要ないな。
あとは頭が良くなったりといった効果も君には必要ないな。では最後の望みを頼む」
「そうだな。では、このスマートフォンをあっちでも使えるようにしてほしい。……なに。ステータスや相手の名前依頼内容、武器、食料などのしまいこみリストなんかを元々の機能に加えられるならしてほしい」
『いいだろう。ただし、メールはできないようになるし、ほとんどの相手にも電話は不可能だ。異世界なのだから。情報は見るだけだ。ステータスや名前は既にスマホを通さなくても見られることになっておる。まぁ、君ら仲間うちとゼウアリストくらいには電話できるようにしてやろう。
それでいいかね』
「ああ。ただ充電はどうすればい」
宗司が聞いてみると
『魔法で充電可能になる。それじゃあ頼んだよ。ああ。きみらの元々持っていた武器で異世界に行ってもらう。壊れた武器をただ単に直しただけだがな。じゃ、がんばれよ』
創造神の声が終わると同時に光に包まれ、周りが変に歪み回転されていく。
宗司は眩しくて目を開けていられないし、揺れもあるようで酔っぱらっているかのような感覚に陥った。
今日はここまで