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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第9章「あられもないハプニングを焼き捨てる再会へ」
70/250

第70話 「ヘスティア」




挿絵(By みてみん)




 グシャッ!!


 " ()義肢(ぎし) " がギュンと伸び、下士官の顔面をぶっ飛ばした。


 彼は突き飛ばされ、部屋の壁にたたきつけられる。

 飛び散る血痕(けっこん)……


 死んだ。

 つんと広がる血のにおい、間違いなく即死した。

 


「あっ、しまった」

 マリィの呑気(のんき)な声。


「おい……なに殺してる?」

 信じがたい光景に、フォックスが言葉を震わせる。



「いえ違うんです、捕まえようとしたんですよ。ホラ、困るでしょう? 避難しろとか言われても……あの、ちょっと()ってしまったようです。手元が狂いました。どうしましょう、彼」


 

 と―――……



「……ただいま、お姉さま」

 ニニコの、かわいい声が聞こえた。

 小さく笑みを浮かべ、部屋に入ってくる。


「パパ、ママ。ごめんなさい。お庭で遊んでいたら遅くなっちゃったの」


 ……お庭?

 ニニコはなにを言っているのか。




挿絵(By みてみん)




「ニニコ、血……」

 フォックスが凍りつく。


 ニニコは、顔もドレスも血まみれだ。いや、ニニコの血ではないらしい。レインショットの部屋にあったという死体の血だろう。

 人口呼吸したときに、死体の血がついたようだ。


 ニニコの様子は明らかにおかしい。

 いま彼女の足元には、下士官の死体が転がっている。なのに、見向きもしないではないか。


「ニニコちゃん」

 にっこりと笑うマリィ。


「ニニコ」

 ズシンと立ち上がって、トラも振り向く。


「パパ、ママ」 

 うれしそうに2人に近づくニニコ。

 立ちつくすフォックスの前を素通(すどお)りし、マリィに抱きついた。



「ニニコちゃん。口元(くちもと)が血だらけですよ。()いてあげましょう」

「うん、ママ」


 マリィは、ウェットティッシュを1枚抜いて、ニニコの口をやさしく(ぬぐ)ってあげる。

 ふきふき。

 ……きれいになった。


「ニニコちゃん。お外でなにしてきたの?」


「あのね、お医者様と遊んできたの。灰色のバラから、クッキー! 抽出(ちゅうしゅつ)したとされるキャッシュカードの表面から、クッキー! リボン模様のバクテリアを旅行かばんに()めこんだの。でも何度キスしても、クッキー! お医者様は目を覚ましませんでした。おわり」

 

 終わりらしい。

 マリィの胸に、顔をうずめるニニコ。




挿絵(By みてみん)




「パパ、ママ……毒ガスで死んだりしないよね?」

「ふふ……あなたに使った(・・・)のは、毒なんかじゃありませんよ。ね、パパ」


「わんわん! わ……」



 ―――狂気に満ちた会話は、トラの絶句(ぜっく)で終わった。


 ジリジリジリ……

 おそろしい熱気で、室温が上がる。

 


「お、お姉さま。怒ってるの……?」

 おびえるニニコ。

 ぶるぶると震えながら、マリィにしがみついている。


 ジリ。

 ジリジリ。

 室温が上がる。


「怒らないで、お姉さま。も、もう遅く帰ったりしないから……」


 ジリジリ。

 室温が上がる。



「フ……フゥ。ど、どうしました? なにを怒ってるんですか?」

 マリィすら(おび)えている。

 わけがわからないという表情で尋ねた。


「なぜ、炎を出すのですか。フゥ」


 

 ボッ!

 ボオオオオ! 


 ティッシュ、カレンダー、メモ用紙……室内の紙が、つぎつぎに発火する。


 フォックスの籠手の人差し指から、炎が吹き上がった。

 そして、ピンポン玉ほどの球形に収束する。


 いったい何百℃あるのか……明るい、なんてもんじゃない。


 目がくらむほどの熱だ。


 ボォォォォオオオオオオ!



「マリィイイイイイイイイイイイ……!」

 フォックスがすさまじい声で叫ぶ。

 指鉄砲のように、人差し指をマリィに向けた。


「マァリィィィィイイイイイイイイイ!!」 




挿絵(By みてみん)




 マリィの表情がこわばる。

 自分に、火球の照準が向けられている。


「フゥ。な、なにを……なにをするんです! や、やめて!!」

 ニニコをかばうマリィ。


「お姉さまやめて! パパ、ママ……」

 ママ(・・)にしがみつき、ニニコは許しを()う。



「まあ、まあ、落ちつけよキミ。ね、ね……?」

 トラがなだめようとしている。

 情けないパパ……



「マァァァァァリィィイイイイイイイ!」


 フォックスの叫びとともに、火炎弾は放たれた。


 ボンッッ!!


 超高熱の火球が、マリィに直撃した。




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いま書いてるやつよ。

 ↓

チャッカマン




イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。


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