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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第8章「しょうもないミッションを焼き捨てる北狐へ」
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第59話 「ドント クライ ベイビー」




「ぐすん……フォックスのバカ……」


 ベッドの上で丸まり、ニニコは泣いていた。(まくら)(かか)えて、グスングスンと鼻を鳴らす。

 しばらく、めそめそと泣いていたが……


「くすん……ハッ!」

 突然! 

 なにかを思いついたように、ハッと目を見開いた。


「そうだ! 泣いてる場合じゃないわ」

 はっきりと(くち)にした。


 泣いている場合ではない。

 ニニコは起き上がった。

 



挿絵(By みてみん)




「私がハール二等兵を助けなきゃ!」

 

 ニニコは使命感に燃えている。 

 ハール二等兵はいま、医務室に拘留(こうりゅう)されているはずだ。たぶん、ベッドとかに拘束されてるんじゃないだろうか。

 薬物の使用が明るみに出れば、彼はおしまいだ。


 いちばん悪いのは、麻薬を持ちこんだレインショットなのに……!

 

 理不尽すぎる!

 そんなのかわいそうだわ!

 

「私が助けてあげなくちゃ……!」

 決意は固い。


 レインショットの部屋に行き、ハールの事件をもみ消すように説得するのよ!

 いいえ、脅迫(きょうはく)するのよ!


 イヤだとでも言おうものなら、私の " ()白闇(しろやみ) ” が黙っちゃいないわ。


 黄色の触手(かたびら)は電気ショック。

 黒の触手は毒ガス。

 黄緑(きみどり)は……なにを隠そう、塩酸なのよ!


「勇気を出すのよ、ニニコ……!」


 シーツで涙をぬぐい、部屋を飛び出した。

 向かうはレインショットの部屋だ。


 大丈夫、きっとうまくいくわ!

 


 (おろ)かな決心を胸に、ニニコはせまい通路をぱたぱたと走る。


 …………この子、ここまでバカだったっけ?




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※※※※※※※※※※

※※※※※※




「すげえな、これぜんぶ食糧かよ」


 ハイドランジアを燃やすため、フォックスは食料の備蓄(びちく)庫にいた。


 大型冷蔵室のわきに、衝立(ついた)てで区切(くぎ)られたスペースがある。そこにはダンボールが山のように積まれていた。

 何百箱あるのだろうか、ぎちぎちに天井まで積まれている。これがすべて食料品なのだからすごい。


 レトルト品や菓子、ジュース、乾物、調味料……ここは、冷蔵を必要としない食料を置いておくスペースのようだ。

 ちなみに、ここは食品を保管するためだけの倉庫だ。メインの格納庫はこんなもんじゃない。それこそ体育館くらいデカい。



「さて、と―――」


 ハイドランジアはこの中の、フルーツの缶詰に偽装してあるはずだ。きょろきょろとダンボールの山を見まわす。


 と。



「そこにいるのは誰だ!」


 とつぜん、男の大声。

 フォックスの背後から、筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)の水兵が声をかけてきた。



「あら、ごめんなさい。お邪魔しています」

 にっこりとフォックスは振り返る。

 この女、おどろく様子さえ見せない。

 

「おっと! 失礼、博士でしたか」

 まだ二十歳(はたち)まえと思われる若い水兵は、不審者がフォックスとわかるや、とたんに笑顔になった。

 鼻の下を伸ばして、へらへら笑っている。


「どうされました? ここは立ち入り禁止ですが」


「申し訳ありません、妹を探してましたの。夕方から見当たらなくて……どこに行っちゃったのかしら」


 右腕のギプスをさすりながら、さらっとウソでごまかした。

 その間も、きょろきょろと周囲を見まわす。


 と。 

 みつけた。



 山積みのダンボールから離れた位置に、ぽつんと置いてある木箱があった。ミカンの缶詰のラベルが貼られた木箱だ。

 そのラベルには赤いマーカーで、大きくバツ印が付けられている。


「あの、あそこに置いてある木箱はなんですの?」

 

 水兵に顔を近づけ、ボソッと小声で尋ねるフォックス。

 さらさらと(つや)のある髪から、女のにおいが香る。水兵はたまらない気分になった。


「ええ、あれは期限切れの缶詰です。どういうわけだか、間違って搬入されたようで。は、ははは……」


 水兵は照れているのか、たくましい体をもじもじ(・・・・)とよじる。軍人が巨体をくねらせる姿は、じつに不気味だ。



 そのとき。

 どこからともなく、なにかが壊れる音と、すさまじい悲鳴が響いた。


 トラの声だ。



 ガシャ―――ン!!


「うわあああああああああん!」

「研究データが、パソコンがあああああ」


「博士に怒られるよおううう」




挿絵(By みてみん)




 顔を見合わせるフォックスと水兵。


「なにごとでしょう? いまのは、博士の助手の声では」

「さあ……わかりませんわ」


 わかりませんわと答えたフォックスの、苦々(にがにが)しげな顔。まさか、トラがここまで演技がヘタだとは思わなかった。

 とんでもないダイコン役者だ。


 通路からは、まだトラの泣き声が、おんおんと聞こえてくる。




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いま書いてるやつよ。

 ↓

チャッカマン




イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。


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