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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第7章「神も仏もないシナリオを焼き捨てる海へ」
52/250

第52話 「オゥ マイ フリーキング ゴッド」




挿絵(By みてみん)


 


 槍の雨!!

 “ ()(もり) ” が、槍を何十本も伸ばす!


 ルディのコートが、八つ裂きにやぶれ飛んだ。

 その下から現れたのは、巨大なアイテム。

 前面にも、背面にも、無数のトゲを生やしたアイテムだ。そのトゲが、四方八方、槍のように伸びている。


 ルディの周囲、ありとあらゆる物に槍が突き刺さった。無事なのは祭壇(さいだん)だけだ。シーカが腰かける長椅子も、機関銃で撃たれたみたいに穴だらけになった。


 シーカは無事か?


 ガキン……!!



「お、お、お……」

 

 無事だ。

 顔面に向かって伸びてきた槍を、朽ち灯で防御した。


「ギリ、ギリ、ギリ……」

 歯を(きし)り、ルディを(にら)む。


 こうなったらシーカは怖い。

 朽ち灯の掌が、ボゥと光る。

 やる気だコイツ。



 しかし、ルディの様子がおかしい。

 なにやら、ガクガクと全身を震わせているではないか。


「お、お、お、いまフォックス博士は、この少佐(しょうさ)の名を……」


 ガクガク。

 ガクガク。


「い、いまフォックスはなんと言った……? この中尉(・・)を、なんと呼んだのだ……? 穢卑面(エヒメ)よ……」

 


『はじめはジョンソン少佐と言ったな。次に、レインショット中尉と言った。もしかしてこの男が、お前の探していたレインショットか? ケケケ! 見つかるときは、あっさり見つかるものだな』


「な、なんということだ……!」


 ルディの様子は尋常(じんじょう)ではない。

 ぶるぶると、手足まで痙攣(けいれん)しているではないか。



「あ……え?」

 がしゃん。

 シーカが左手を下ろした。


(槍はもう飛んでこないみたいだな。あんな何十本も、おどかしてくれるぜ)

(それより、ほんとにルディが心配になってきたよ)


(フォックスがなにか言ったらしいな。レインショットとか。なんのこっちゃ?)

(ていうか少佐? 中尉? どっちなんだ)


 しばらく怪訝(けげん)な顔でルディを(にら)んでいたが、もう危害はないと見たのか、シーカはまた無表情に戻った。



 と!



「シーカくん!!」

 バッ!!

 突然、ルディが振り向いた。ふたたびアップで(せま)ってくるドクロ仮面。


「う、おっ!」

 ビビるシーカ。


「取り乱してすまない、シーカくん。申し訳ないのだが、私たち(・・)は出かける」

「え……ど、ど、どこに?」


「空港だ。いますぐ航空券を予約せねばならん。君はここで、私が帰るのを待っていてくれたまえ」

「あえ、おえ?」


「トラくんたちは私が連れてこよう。たぶん1週間くらいで帰れると思う」

「で、で、で」


「それから、うちの修道女(シスター)たちが君にキャイキャイ言ってたようだが、(みょう)なちょっかいを出さないように。絶対に出さないように」

「ほ、ほ、ほ」


「おっと言い忘れた。ウチの教会のミサは、毎朝7時からなので遅れないように。では行ってくる」

「ね、ね、ね」


「ああ、それから……修道女にちょっかいを出さないこと。いいね。では行ってくる」

「め、め、め」



 まったく会話になっていない。

 何度も修道女のことで念を押して、ルディは背を向けた。



「ほ、ほんとに、行く、行くの? お、お、俺も……」


 引きとめるシーカに、ルディは一瞥(いちべつ)もくれない。

 もうすでに出かける気満々だ。


『ちょっと待て、貴様どこに行くつもりだ! おい、()(もり)! どこに行く気だ!』

 煙羅煙羅(えんらえんら)も怒る。


『申し訳ありません、煙羅煙羅。ルディ神父の人生に関わることなのです。話のつづきは戻ってからにさせていただきます。では、ごゆっくり……』

 あくまで丁重(ていちょう)な咲き銛。

 出かけるのはもう決定事項のようだ。



『待て、レインショットとはなんだ!? おい!』


 煙羅煙羅の叫びに、もはや咲き銛は反応しない。


 バタン!

 (いきお)いよくドアを開けて、ルディ神父は出て行ってしまった。


 

 シーカは?

 穴だらけになった礼拝堂に、ぽつんと置いてけぼりだ。


 蝋燭(ろうそく)の明かりが揺れる。

 わけもわからず、取り残されるシーカ。本当になにも教えてくれないまま、ルディは行っちまった。



「ちょ、ちょ、ちょ……え、えん、煙羅……」


 困った様子で、煙羅煙羅に助けを求めるシーカ。

 煙羅煙羅はしばらく考えこみ……


『ふぅむ……まあ、ヤツらに任せようか』


 安易な結論を出した。



 ※ ※



「誰かいないのかね! 車を出してくれ、空港に向かう! それからケヴィン議員に連絡をとってくれ!」

 早足で廊下を歩くルディ。

 興奮した様子で、大声をあげる。


「シスター・レオ! シスター・ケイト! どこにいるのですか!?」



 廊下の奥から「はーい神父様」と返事が聞こえた。

 若い女の声だ。


 ぱたぱたと、スリッパの音が近づいてくる。




挿絵(By みてみん)




『ルディ神父、ようやく見つけましたね……ようやく、レインショットを殺せます』

「そうだな、殺してやろう咲き銛。殺してやろう」


 物騒(ぶっそう)な咲き銛。 

 ルディも、神父とは思えないセリフをくりかえす。


「神よ……感謝いたします。ようやく会えるな、レインショット……会ったこともないお前(・・・・・・・・・・)を、なんど夢に見たことか……!」

 はあ。

 はあ。

穢卑面(エヒメ)よ。このままヤツの姿を捕捉(ほそく)しつづけてくれ。絶対に見失うなよ……!」



『ケケケ! 船の上にいる男を、どうやったら見失えるのだ? ケケケ!』

 けたたましい穢卑面の笑い。

 仮面の笑う様子は、ルディが笑っているようにしか見えない。

 

『ケケケ、ルディよ! お前のことはキラいだが、お前の殺人は見ていて楽しい! 面白くなってきたぞ……!』

 



挿絵(By みてみん)




 さて、さっきの礼拝堂では……大さわぎになっていた。


 煙羅煙羅(えんらえんら)に、信じられない異常事態が起こっていた。

 とてつもなく、おそろしい事態。

 

 最悪の、最悪の事態だった。



『あ……あ……』


 パキ……

 パキパキン!!


 悲鳴。

 煙羅煙羅の、身を切られるような悲鳴。


 パキン!!

 パキン!

 パキ……!


『わ、我の、体が……』


 身を切られるような、ではない。

 実際に、煙羅煙羅に亀裂が走っていく。


 鉄よりも頑強(がんきょう)装甲(そうこう)に、無数のヒビが入る!

 パキパキ!

 パキン!!



「ままま、かかか、こっ、こっ……!!」


 シーカもパニックになっていた。

 こんなのどうしていいかわからない。ルディに助けを求めるしかない! あたふたしながら、シーカは礼拝堂を飛びだした。


「ル、ル、ル、ル、ルディ!」

  

 パキパキ!

 パキパキ!

 彼の左肩では、煙羅煙羅が恐ろしい姿に変わりつつあった。

 恐ろしい姿にだ。

 



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いま書いてるやつよ。

 ↓

チャッカマン




イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。


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