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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第7章「神も仏もないシナリオを焼き捨てる海へ」
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第51話 「テレスコープ」




『神よ……』


 礼拝堂に、()(もり)(いの)りが続く。

 あれから10分……だれも止めない。


 いや、とうとう煙羅煙羅(えんらえんら)(あき)れた声をあげた。



穢卑面(エヒメ)よ。その、なんだ。咲き銛のやつはどうしたのだ? いつまでブツブツ言ってる』

 

『フン……このルディの影響だ、放っておけ。それよりも煙羅煙羅。お前が会ったという3人組(・・・)はいま、どこにいるのだ』


『我に聞くな。朽ち灯よ、あの連中はどこだ』


 

 煙羅煙羅は、朽ち灯に質問する。

 連中はどこだと。

 

 がしゃり。

 シーカの左腕が持ち上がった。


『あっち……』 

 

 ビシ!

 南東の方角を指さす。


『北緯34度29分18秒、東経135度47分12秒……北接海、海上……』

 ガシャッ。

 必要なことだけ言って、朽ち灯はまたガシャンと腕を下ろす。


 ……驚くべきことである。

 朽ち灯は眠っているにも関わらず、" 探索 ” の能力を発揮した。


 いやそれ以前に、煙羅煙羅の質問に素直に従った。

 

 他者のために働くなど、朽ち灯のプライドが許さないはずだ。

 もしかして眠ってるからこそ、か?

 寝てるあいだに便利に使われてると知ったら、朽ち灯はどんなに怒るだろう。



「か、か、か、海、上……?」

 首をかしげるシーカ。


『ヤツら、身投げでもしたのか』

 恐ろしいことを言う煙羅煙羅。



 と!



「シーカくん! 今のは!?」


 やり取りを見ていたルディが大声を上げた。

 興奮した様子で、シーカに接近する。


「お、こ、ちょ……」

 ガイコツの仮面で迫られて、さすがのシーカもビビった。




挿絵(By みてみん)




『 “ 探索 ” という機能(・・)だ。探し物に便利だろう? もっとも探せるのは、「朽ち灯が見たことがあるもの」に限られるがな』


 シーカの代わりに、煙羅煙羅が答えた。

 説明を聞いたルディは、なぜか肩を落とす。


「朽ち灯が見たことがあるものだけ(・・)か……いや、すまない。そうか……」

 力なく答えるルディ。

 なんだか知らないが、がっかりしたようだ。



『もういいか? おい穢卑面よ。いま朽ち灯が言った場所を見てくれ』

 

 煙羅煙羅が穢卑面に、見るように催促(さいそく)する。

 


『ケケケ、お前に言われるまでもない。どうれ…………ふむ、見えたぞ』


 穢卑面が静かに答える。

 見えたと言うなり、ブツブツと独り言をはじめた。




挿絵(By みてみん)




『ここは……なんだ? 明るいぞ?』

『ああそうか、時差か。向こうは昼のようだな。うむ、女が2人、男が1人いる』


『これがトラか……ほ、本当だ! 本当に足枷を履いて歩いているぞ!』

『そして娘がふたり……焼き籠手と真っ白闇に呪われとるな』


『しかし、ここはなんなんだ? もしかして船の上か? ルディよ、わかるか?』


 ルディに、ここ(・・)はどこかと尋ねる穢卑面(エヒメ)

 答えるルディ。


「近すぎてよくわからんな。穢卑面(エヒメ)、すこし視界を遠ざけろ。望遠にしてくれ。うん、そのくらいでいい。いや、ちょっと離れすぎだ」


 ぶつぶつと、仮面と会話するルディ。

 と、いきなり声のトーンがあがった。


「そこだ穢卑面(エヒメ)、そこで止めろ。なんだここは……? 軍艦(ぐんかん)!? ここは軍艦の上だ!」



 軍艦……? 

 なに言ってるんだ、ルディは。




挿絵(By みてみん)




「待て、穢卑面。彼ら(・・)にピントを合わせてくれ、拡大してくれ。そこだ、そこでいい。なにか話してるな。(くちびる)を読んでみよう、なになに……?」


「ハカセ・データヲ・マトメマシタ」

「ゴクロウ・トラクン・キミハ・ジツニ・ユーシュー・ダナ」


「オネーサマ・ショーサガ・ヨンデマスワ」

「ニニコチャン・ショーササント・オヨビ・シナサイ」



 ぶつぶつと、何事かを(つぶや)くルディ。

 ……いったい、なにを見てしゃべってるのだろうか。



『ルディよ。こいつら3人は、なんの話をしているのだ」

 いぶかしげに尋ねる穢卑面。


「さっぱりわからん。このメガネの娘……フォックスという名前か? 博士と呼ばれてるな。どうやら科学者らしい。若いのに大したものだ」

 感心するルディ。


『我はこのトラという男に驚いた。まさか、本当に足枷を履いて歩いてるとはな』

 感心する穢卑面。


「トラという青年は、フォックス博士の助手らしいな。なんか……本当に(トラ)みたいな髪だな。それでこっちのニニコという少女は、博士の妹か」


『ぜんぜん似とらん姉妹だな。いや似てないとか以前に、人種がちがうぞ。養子か?』


 ぶつぶつ。

 ルディと穢卑面の会話はつづく。


 

 そのあいだシーカは…………ずっと、ポカンとしていた。


「…………え、あ? え?」

 ポカーン。

 シーカは目を丸くするばかりだ。


 ルディはいったい、なにを言ってるのか?

 あらぬ方向を向いて、ガイコツ面と会話している。それも、わけのわからないことを延々(えんえん)とだ。

 

 トラ?

 フォックス?

 ニニコ?

 ど、どこにいるって? 


 軍艦?

 博士?

 助手?

 妹?

 なんのこっちゃ……


 穢卑面とルディの会話を、不思議そうに聞いているシーカ。いや不思議っていうか、ワケがわからない。

 幻覚でも見てるんじゃないだろうな。

 いやしかし、ちゃんと3人の名前を言ってるし。


 ……見ている?


 遠視!?


 

「こ、こ、これが……?」


(これがエヒメの能力か? 千里眼(センリガン)ってやつかな?)

(ということは、実際にあの3人を見てるのかな)


(けど、軍艦だの博士だのってなんのことだ? 本当に見てるのかな)


(しかし変な光景だな。横で見てると、ひとりで喋ってるアブない人だ)

(……人のことは言えないな。俺も気をつけよう)


(う、ダメだ。笑いそうになってきた)

(我慢しろ、いくらなんでも失礼だ。笑っちゃだめだ)


(で、できない! もうダメだ)



「う、く、うは、あはは」

 笑いだすシーカ。

 一瞬こらえようとしたようだが、もうあきらめたようだ。ふつうに笑ってる。


「あはは。あ、はは」


『シーカ、やめんか!』 

 煙羅煙羅が、強い口調で(しか)りつける。


 だが突然!

  

 ズドン!

 ズドンズドン、ズドンズドン!!

 ズドンズドン!!


 槍! 

 槍の雨!!


 胸甲 “ ()(もり) ” が、槍を何十本も伸ばす!

 



挿絵(By みてみん)

 



 ルディのコートが、ちぎれ飛ぶ。

 禍々(まがまが)しい咲き銛の姿が、(あら)わになった。


 まるで、槍が咲いているかのように。




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いま書いてるやつよ。

 ↓

チャッカマン




イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。


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