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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第5章「見る影もないラボを焼き捨てる涙へ」
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第41話 「スクリューパーツ」



 シーカの左肩が、ブロックに(おお)われる……



挿絵(By みてみん)



「や、やめてっ」

 ブロックにむかって()け出すニニコ。

「お願い、もうやめてえ!」


 シュルシュル、ガシッ!!


 かたびらを振りまわし、パーツのひとつを(つか)みとった。だがプカプカと宙に浮くそれは、空中に固定されているかのようにビクともしない!


「ぐ~、う、動かない……トラ手伝って! 早く、なにしてるの! 私がどうなってもいいの!? 返事をして!」


「いますぐ(だま)んねぇと撲殺(ぼくさつ)するぞ、クソガキャ!!」

 ずしん、ずしん!

 ハァハァ、ハァ!!

 ニニコ撲殺……じゃない、救出に向かうトラ。


「だめよシーカ! こんなのの言うとおりにしちゃ……もうこれ以上、呪われないで!」

 ワーワー!


「ちょ、待て! しょ、触手が俺の首にからまって……ギュウ……! や、やめ、ニニコ、やめ……」

 うぐぐぐ……交差した触手(かたびら)に、トラの首が締めつけられる。

 ち、窒息(ちっそく)する……



 2人がバカやってる間に、煙羅煙羅が形を()していく。

 シーカの左腕に(つど)う、肩からひじまでを包むブロック、ブロック、ブロック。 

 カチャン、ガチャン。

 ガチャ、ガチャン……


 やがて朽ち灯が、はじめて弱々しい声をもらした。


『た、頼むシーカ。たのむ、いい子だから……』


 懇願(こんがん)……朽ち灯が!?

 信じられん。

 だが、シーカはなにも答えない。

    


「あッ……」

 ニニコが小さく悲鳴を上げる。

 つかまえたパーツが、かたびらから強引に(のが)れ……本体に合流した。


   ガチャン。


 巨大な、左肩を覆いつくすアイテムが組みあがる。

 煙羅煙羅――――――


 シュー、シュー。


 煙羅煙羅の各部から、シュウ、シュウと音が漏れる。やがて隙間(すきま)という隙間から、(けむり)が漏れ出した。

 赤い煙。

 血のように赤い煙。

 シュー、シュー、シュー……



挿絵(By みてみん)



『735.5リットルの血をよこせ』

『それまでは決して離れない……ただし』


『完成してからだ……』


 シーカの左腕は「煙羅煙羅」と「朽ち灯」に完全に(おお)われた。


 

   ……完成?

   完成してから(・・・・)



「ゲホゲホ。バカ、離せ……ウェッホ!」

 (せき)こむトラ。

 触手を振りほどき、固く握りこんだ右手を突き出した。憎らしいほどの笑みを浮かべて。

「ヘイ、シーカ。これなーんだ?」


「……!!」

 目を見開くシーカ。



 トラの手には、ネジ。


 小さな小さな、ネジ状のブロック。

 トラの指につままれたネジが、ぴくぴくと(うごめ)いているではないか。


 見せびらかす。

 ヘイヘーイ、いいだろこれ。

 トラの不気味(ぶきみ)な笑み。勝ち(ほこ)るような笑い声が、しぃんと静まる研究室に響く。


「へっへっへ……これ、もーらい」



挿絵(By みてみん)



 バキバキ……ガシャン……

 焼けた天井の一部が、蛍光灯を巻きこみ床へ落ちた。


 トラの笑い。

 シーカの殺意。

 ニニコの悲鳴……


「ひひひ、へへへへ……お返しだ、ボケ」

「か、か、か、返……」 


「もういや―――!」

 


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終身刑の魔女より

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いま書いてるやつよ。





イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



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