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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第4章「他愛もないプロローグを焼き捨てる新章へ」
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第31話 「スパァク」




 とぼとぼ。

 ズシズシ。

 真っ暗な廊下を3人は進む。


 トラとフォックスの足取りは重い。落ちこみまくりの2人に、ニニコはなんと声をかけていいのかわからない。

 さっきも、しりとりをしようとか言ってスベったばかりだ。


 ようやくトラが(くち)を開いた。


「ねえオーナー。あの左手野郎……シーカって名前なんスけど、どうしましょ?」

 ズシン、ズシン。


「どうって? なんだよ」

 カツン、カツン。

 ぶっきらぼうに、フォックスが()き捨てる。


「オーナーはホラ、人殺せないんでしょ? だから死人が出ないように放火してたんでしょ?」

 ズシン、ズシン。


「はあ? なんの話だよ?」

 カツン、カツン。




挿絵(By みてみん)




「ほ、放火……? なんのこと?」

 ニニコが、ギョッと2人の顔をうかがう。


 トラもフォックスも答えない。

 無視。

 しゅん、と口をつぐむニニコ。


「だから俺を旅に同行させたんでしょ? もしも、シーカを殺さないと(・・・・・・・・・)パーツを取り戻せない(・・・・・・・・・・)、みたいな状況になったら、俺にあいつを始末させるつもりだったんでしょ」

 ズシィン。

 ズシィン。


「…………ああ! ああ~、なーる! その手があったか。ちっとも思いつかなかったぜ」

 カツン! 

 カツン、カツン、カツン!


「俺ね。シーカをとっ捕まえりゃ、なんとかなるみたいに考えてたんスよ。けど今、なーんか雲行きがあやしくなってきてません?」

 ズシ。

 ズシ。


「……知るか!」

 ダン、ダン、ダン!


「俺たちのアイテムのパーツ……跡形(あとかた)もなく消されてたら、どうしたらいいんスかね?」

「やめろ、ボケ!」

 ダン!


「……あいよ、やめます。なあ、ニニコ」


「ひゃっ? な、なに?」

 ビク!

 いきなり話を振られて、ニニコがびくりと足を止めた。


 こ、怖いわ。

 2人ともなんだか、ケンカモードだし……

 


「なあニニコ。なんでシーカのやつに(おそ)われてたんだ?」

「え、ええと。あの、その……」

 テンパって答えが出てこない。


「けッ……」

 フォックスが、不機嫌そうにタバコを(くわ)える。スパー。 


「ええと、あのね。シーカは3日前に突然、私のところに来たの。それで “ ()白闇(しろやみ) ” を食べさせてほしいって言ったの」

「うん、それさっき聞いた」


「それで私、真っ白闇を食べてもらえたら、呪いから解放されるんじゃないかなって思ったの」

「そりゃずいぶん冒険したな。それで?」


「でも3日後に……つまり今日だけど。 “ ()() ” が、私のことも食べたいって言いだしたの。私、びっくりして逃げたわ。その途中でトラとぶつかったの」

「ふうん」


「朽ち灯は怖いわ。なんでも灰みたいにしちゃうんだもん。まるで……」

「まるで、なんだ?」



「……ううん、なんでもない」

 急に(くち)ごもるニニコ。


「なんで3日も経ってから? そのあいだ何してたんだ?」

 フォックスがようやく落ち着いたらしい。

 話に戻ってくる。


「なにもしてなかったわ。だってシーカの(しゃべ)りかたは、その……すごく聞き取りにくいでしょう? 普通に会話してただけで3日かかったわ。そのあいだに朽ち灯の興味が、私に向いたみたい。すごく怖かったわ」


「え? 喋りかた? なんだそれ」

 眉をひそめるフォックス。


「なにって……ほら。タヌキだったら、タ、タ、タヌキみたいな」



吃音(チック)症のことか? いや、あいつ前に会ったときは、普通にしゃべってたぞ。なあトラ」


「それがホントなんですよ。あいつ、針の飛んだレコードみたく、たどたどしい(・・・・・・)話しかたになってたんスよ。橋から落ちたときに、頭でもぶつけたんスかね?」


「……ま、アイツのことはいいや。で、よろいってのは?」



「真っ白闇も、フォックスの籠手も、トラの長靴も、朽ち灯も。もとはひとつの(よろい)だったんですって。それが大昔に、13個に分かれたらしいの」


「じゅ……13個!? こんなのがまだあんのかよ!」

 フォックスが自分の右手を見る。


「それがなんで人間を呪うんだ? そもそも、なんで13個に分かれたんだよ」

 眉間(みけん)にしわを寄せるトラ。


「さあ? わかんないわ。あ、そうそう。トラとフォックスのノルマってなに? シーカに取られちゃったパーツが(そろ)えば、カウントがまた始まるんでしょう?」


「……揃えばな。俺のノルマは歩数だ。1億歩(ある)けとさ」


「アタシは……フン! さっき言ったろ、119軒に放火することさ。ニニコのは? おっと……」


   

 3人が歩みを止めた。

 行き止まりだ。

   

 通路の突き当りが、ゲートで閉ざされていた。大きな大きな、見ただけで分厚(ぶあつ)いとわかる鉄のゲート。

 格納庫か……?

 いや、まるでシェルターだ。



「ニニコ、ここか?」 


「……2人とも下がってて」


 ニニコはダンボールを(ゆか)に置くと、スカートから触手…… “ かたびら ” をズルズルと伸ばした。

 すると―――


 バチバチバチバチ……!!


 (ムチ)のように揺らめく触手(かたびら)から、バチバチと音が鳴った。


 なんの音だ?

 トラとフォックスが(なが)めていると……


「え?」

「うわっ!」



 触手の色が変わった。

 根元から先っぽへ、(あざ)やかな黄色に染まってゆく。


 バチバチバチバチ!


 けたたましいスパーク音。

 火花が飛び散る。

 目がくらむような閃光を放つ。


 これは―――電気!? 


 電気を(まと)った触手(かたびら)の1本が、ゲートに向けて伸びる。

 しゅるしゅる。

 

 バチバチバチ!!


 亀裂(きれつ)の入った電子パネルに、するりと侵入する触手。

 うにょうにょ。

 バチバチ!


 パァッ……

   

 数秒して、電光板が発光した。

 スピーカーのランプが点灯し、機械の音声が流れる。



《 ざ、ザザザ、ざ…… 》

《 ロックパターン、225、承認、ざざ…… 》

《 ザ、ザ……パスワードをどうぞ…… 》



 ニニコがすぅっと息を軽く吸い、歌う。


「ちぃっと通してくだしゃんせ―――」




挿絵(By みてみん)




《 パスワード確認。ドア、ヒラキマス…… 》


 ゴゴゴ…… 

 巨大な扉が、ゴンゴンと派手(はで)な音を立てて開いてゆく。




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いま書いてるやつよ。

 ↓

チャッカマン




イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。


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