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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第4章「他愛もないプロローグを焼き捨てる新章へ」
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第29話 「クエスト」




 同夜。

 ニニコの指示で、トレーラーを走らせる。


 ドドドドドド……どこへ向かっているのか。


 一本道。

 ひたすら一本道。

 町から遠ざかるように、トレーラーは荒れた舗装道を進む、進む。

 


「これどこ向かってんだ? まっすぐでいいのか、ニニコ」

「ええ、まっすぐよ。ええと……フォックス」


 助手席にニニコを乗せ、ひた走ること30分。

 あたりには民家も建物も見えなくなった。


 がたがたの道路に揺られながら、ひたすら夜の荒れ道を進む。

 ドドドドドドドォォ……



 さて、トレーラーの最後尾。

 トラは、荷台のコンテナによりかかっていた。


 言っとくがコンテナの中じゃないぞ。毎度おなじみの、荷台の上だ。なんだかんだ、トラはこの場所が気に入っていた。

 真うしろに、景色がブッ飛んでいく爽快感。

 夜空に星がきらめいて、きらめいて……


 だがトラの顔は(けわ)しい。 

 と、いうのも……


「あのガキ、どうすんだコレ……?」


 ガシャ、とコンテナの扉を開く。

 なかにはダンボールが7つ、乱雑に積まれていた。


 出発前に、ニニコが町の花屋で買い求めたものだ。厳密に言えば、代金を払ったのはフォックスだが。


「ひィっきシ! ちぇっ、鼻がムズムズするぜ」 


 ダンボールの中身は、ぜんぶ花だ。

 大量のバラ、ユリ、ラン……その他たくさん。ここにあるダンボール、すべて花だ。


「ヘッ、まるでハネムーンだね」




挿絵(By みてみん)




 ふたたび、運転席のフォックスとニニコ。

 かなり険悪(けんあく)な雰囲気である。


「で、さっきの触手はなんだったんだ? ニニコのアイテムってどういう能力だよ」

「……」


「おーい。10万出して、お花買ってやったのはどこの誰だ?」

「……アイテム(・・・・)って、もしかして鎧のこと? 奇抜(きばつ)な表現だわ」


「どうでもいいよ。スカートから触手が出てきたときゃ、お前が巨大イカ(・・・・)でも産んだのかと思ったぜ。ズルズルってな」


 左手を伸ばし、ニニコの薄い腹をフォックスが(さす)る。

 あわてて、その手を払いのけるニニコ。


「や、やめてっ……二度としないで! アイテムでいいわ。私のアイテムは “ ()白闇(しろやみ) ” よ」 


「白? 黒かったじゃん」

「最初は白かったわ。吸収したら (・・・・・)、色が変わるの」


「え……なんだって? 吸収?」


 意味がわからない。

 (まゆ)をしかめるフォックス。


 ニニコが、うーんと考える。


「えっとね、説明が難しいんだけど。 ()白闇(しろやみ)は、栄養とか毒素とかを吸い取って、ためておける(・・・・・・)の。私の体を通せばだけど」


「あァン? どういうこと? ケーキ食ったら、アイテムが太るってことか?」

「ちょっと違うわ。なんて言えばいいかしら。ケーキに例えるなら、糖分を()めるというか」 

  

「生物濃縮(のうしゅく)みてえな能力か?」

「? せい……ぶつ?」


 今度はニニコが(まゆ)をしかめる。

 意味を知らないらしい。


「いやいい。そんじゃアレか? 黒かったのは、つまり……ニニコの体の、鉄分とかミネラルとかを溜めてあるわけ? だから黒になったってことか?」

「なんとかいう神経ガスよ。それに枯葉(かれは)剤と、窒息(ちっそく)ガスと……」



 キキキ、ギャギャ!!


 急ハンドル! 

 トレーラーが揺れる。


「うあわ! な、なんだぁ?」

 荷台のトラが落ちそうになった。



 ※ ※



「危ないわ、フォックス。びっくりするじゃない」

「びっくりしたのはこっちだ! んなモンでアタシを()めつけたのかよ!」


「大丈夫よ。ちゃんと私がコントロールしてるもの」 


 大丈夫と言われても、ちっとも安心ではない。淡々(たんたん)と話すニニコに、フォックスが疑いの目を向ける。

 どこまでマジなんだよ、ったく。


「……とにかくよ、どこに向かってんのか教えろよ」


「見えてきたわ。あれよ、あの建物」



 あの建物―――




挿絵(By みてみん)




 荒野のド真ん中に見えてきたのは、場違いなほど巨大な建物。

 フェンスには、(つた)のように有刺鉄線が巻きついている。そこには、立ち入り禁止のプレートがかけられているではないか。そのプレートも、ひどくボロボロだ。


 ここは廃棄された施設……だろうか?

 

 博物館のような、県庁舎のような、水族館のような建物。

 あちこちの窓ガラスが割られ、壁のコンクリートが()がれ落ちている。心霊スポットのような不気味(ぶきみ)な建物だ。


 停車したトレーラーから3人が降り、ゲートの前に立った。



「なかに入りましょう。あ、お花を忘れないで」


 ニニコがトラを(ゆび)さす。


「はぁ? 冗談だろ、ダンボール7つもあるんだぞ!」

「おねがいよ、私も2つ持つわ。トラが3つ、フォックスが2つ……」


「つまりトラが5つだな、行こうぜ」


 当たり前みたいにフォックスは言い捨てる。

 だが、ニニコには理由がわからない。


「?? なぜ?」

「……いいんだ、ほっといてくれ。下がってろ、フェンス破るからよ」


 ガシャア!!

 トラが金網(かなあみ)に蹴りを入れた。 


 ギ、イイ、ィイイ……ガシャァアアアァン!!

 6(じょう)ほどの広さのフェンスが、根こそぎブっ倒れた。


「入口つくったぜ、ニニコ」



「あ……うん。ごくろうさま」

 長靴の破壊力に、ぽかんと口をあけるニニコ。


「お次はダンボールか。よいしょ! お、重いぜ……」

 トラは荷台からダンボールをすべて降ろすと、5つを積み上げて、えいと持ちあげた。

 ふらふら、よろよろ。


 ニニコも、ダンボール2つに触手(かたびら)を伸ばす。

 しゅるしゅる。

 触手の1本1本は、けっこうな力があるらしい。器用にダンボールに巻きつき、ぐいと持ち上げてしまった。まるで象の鼻だ。


「なかに入りましょう。こっちよ、着いてきて」


 ニニコが先頭に立ち、2人を先導する。

 トラとフォックスは顔を見合わせた。


「へーい」

「フン!」


 ニニコにつづいて、敷地に入る。

 めざすは建物の……


 いや、知らん。


 そういえば、なにしにここに来たんだっけ?

 



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いま書いてるやつよ。

 ↓

チャッカマン




イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。


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