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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第3章「突拍子もないバトルを焼き捨てる出会いへ」
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第27話 「パニッシャー」



「ンな……火ィイイイイ!?」



挿絵(By みてみん)



 ズシン!

 トラが1歩、いや2歩、さすがに引いた。

 こ、これはオーナーの!


「な、なんでテメエが……!」


 驚くトラの肩のうえで、女の子のスカートが(ひるがえ)った。シュバシュバと “ かたびら ” が大きく12方向に伸びる。

 まだ肩車されてるよ、少女。


 窓から工場のなかに侵入した触手たちが、工具やら(オノ)やらを(つか)んで戻ってきた。

 まるでタコの足。

 (いな)、12本のムチ。



「あっちいって!」

 女の子の叫びに呼応(こおう)するように、12の凶器がシーカに向かう。

 串刺し―――!


 いや!

 シーカは火球を放ち、いちばん近い凶器を、ボン! と消し飛ばした。


 と、同時。


 シーカは残る11の凶器へ左手を振るう。シュバシュバと目にもとまらぬ速さで、朽ち灯による手刀をくり出した。

 ()れた瞬間、砂のように崩れて消えてしまった。



挿絵(By みてみん)



 やはりシーカは、相当な武術を使えるらしい。あっという間に、すべての鉄器を消し去ってしまった。

 朽ち灯が嬌声(きょうせい)をあげる。


(オノ)(つち)、カッターナイフ……美味いィイイ。もっと食わせろ、シーカァ……』

 まるで、地の底から(うな)るような悪魔の声。



「ひ、ひ……」

 ぞっと女の子が声を()らした。


 だがトラは(ひる)まない。

「うんだらぁ!」

 ガゴォ!

 足もとの巨大な廃材を、シーカの顔面に向けて蹴飛(けと)ばす。


   

 ズバンッ!


 当たらない。

 当たるわけない。

 以前の金庫と同様に、直撃するまえに真っ二つにされた。


『ヒノキ……美味いィイ……』

 木材の味を堪能(たんのう)する朽ち灯。


 ふ、と余裕の笑みを浮かべるシーカ……


 の、目の前に!


「うッ、わ、わ!」


 別の木材。

 いや丸太(まるた)ン棒。


 いや、柱!


 

「木でも食らえやアアアアアア!」

 長靴に廃材を貼りつけ、シーカの頭にフルスイングを見舞うトラ。

 5メートル超の、長大な、まるで丸太のような廃材。


   バギャ……!


 

挿絵(By みてみん)



 今度こそ直撃!


「が、は……」

 ブッ飛ばされるシーカ。

 顔面をゆがめて、ドブ川へ落下した。


「うるああああ! どうだコラァ!」

 トラの雄たけび。

 やった、倒した!

 川へ叩き落としてやった!!


 しかし……おかしい。

 水音がしない。



「あれ?」


 ドスンドスン。

 ドブ川をのぞきこむ。

 だがシーカの姿がない。


 そんなバカな、どこへ……あ!!


「あ!! 穴!?」


 堤防(ていぼう)空洞(くうどう)がある。

 いや空洞ではない。


 排水溝はいすいこう

 人間ひとりが立って歩ける大きさの、排水溝が見えた! 

 あそこに逃げこまれたに違いない。



「い、いけねえ、逃がしちまう……! そうだガキんちょ、その黒いのでアイツ探せ!」

 頭上の少女に、どなりまくるトラ。


「いや! いやよ、怖い……!」 

 フラフラの少女が拒否する。



「この……言うこと聞け!」

 女の子のスカートを(つか)んで、あろうことか引きずり下ろした。馬乗り―――


「イヤッ、イヤッ!」

 ジタバタ。



「暴れんじゃねえ! 大人しくしやが……グベッ!!」



   ドガァ!!

 

   衝撃!



 ガン! と、背後から後頭部を(なぐ)りつけられた!

 トラの視界がゆがむ。

 激痛。


 やられた……油断した! 

 背後にまわりこまれた。


 死ぬ……いや、殺されてたまるか!!


 ズドンと振り返り、身構(みがま)える!



「くそっ、回りこみやがったな……ゲ!!」

 トラの顔が、一瞬で(こお)りつく。


「お、オーナー!」



   オー……ナー……?


   オーナー!?



   いつの間に。


   フォックスが立っていた。

   ……鬼の形相(ぎょうそう)で。


「そんなに死にてえとは(おどろ)きだ、トラ……」




「こ、これはオーナー、どうしてここが??」

 顔面蒼白のトラ。


「あんまり遅いから、探しに来てやったんだよ。コイツ(・・・)でな……」

 コキコキと籠手を振るうフォックス。


 そうでした。

 「○○はどこだ」で、探し物ができるんでした。


一向(いっこう)に戻ってこねえと思えば、てめえ! アタシの金でガキを買うつもりだったんだな!」

「い、いやそれは……グゲッ!」

 弁解するトラ。

 聞いてくれないフォックス。


 飛んでくるパンチ―――


「ち、ちがうんですグベッ! き、聞いてくださブグッ!」

「聞いてやる! さあ言え、ホラ言えったら!」


「ゴゲ! ぐは! ち、ちが……」


 ボカスカ殴られ、トラの顔面は(ゆが)む。

 とんでもない誤解をされてしまったらしい。違うんです、オーナー。


「なにが違うだ! この子が10万持ってんだろが!」

「ぐへ! こ、こんなことしてる場合じゃボゲッ!」

 


 女の子は、目の前で執行される百叩(ひゃくたた)きの(けい)を無視し、ドブ川をのぞき()んでいる。


「シーカ……どうして……?」

 少女は目に涙を浮かべながら、うつむいてうつむいて……じっと排水溝を眺めていた。



挿絵(By みてみん)

 


 そのうしろで処刑は続く。

 ドガッ、ボゴッ!


「や、やめて……ギョヘ!」

「あと50発だ、ボケ!」


 ドガッ!

 バキッ!


 トラが気を失った――――――



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終身刑の魔女より

 ↑

いま書いてるやつよ。





イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。
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