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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第3章「突拍子もないバトルを焼き捨てる出会いへ」
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第26話 「マジカル デスマッチ」




「パーツ! 返せボルァああ!」 


 ドズンドズンドズン!

 全身に触手(しょくしゅ)を巻きつけたまま、シーカに突進するトラ。


 さきに、この触手の正式名称を書いておく。

 “ かたびら ” という。


 トラの体には、かたびらが巻きついたままだ。当たり前だが、女の子もいっしょに引きずられる。


「痛だだだい!」

 ザザザザ!


 トラは少女なんかどうでもいい!

 グルンと半回転して、シーカに蹴りを放った。女の子が遠心力で浮く。


「ふぃいいいいい!」

 少女の悲鳴。


 トラの蹴りは……


 ドシィイン!!

 当たらない。

 ひらりと(かわ)され、長靴はうしろの壁にめり()んだ。トラとシーカの距離は、わずか数10センチだ。


「お、お、遅いよ」

 ガチャリ。

 言葉を震わせながら、シーカが長靴に触れようと左手……朽ち灯を持ちあげる。


 いや、長靴ではない。

 狙いはトラの顔面だ!


 肩を引いて、パンチの構えをとった。

 ヤ、ヤ、ヤバイ!


「うおおおお!」

 とっさに全体重を壁に乗せるトラ。


「死、ね」

 ドパンッッッ!

 シーカの左ストレートが、壁を消し飛ばした。


 トラは?


 上だ!

 トラは壁を駆けあがっていた。


「うるああああああああああ!!」

 



挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

 



 ドドドドドドドォ……!

 垂直の壁を2本の足で駆け上がる。とんでもない方法で、シーカのパンチを回避した。


 ズダン、ズダンと壁をのぼるトラ。

 それに引っぱられる少女。


 ぽかんと見上げるシーカ。



 瞬間!!

 

 6メートルほど上空で、ダン! と()び降りた。


「うあらぎゃ!」

 技の名前だろうか。

 トラが叫びながら、シーカの頭上へ降ってくる。



「な! や、ば……」

 

 ドゴォオオオオオオオオン!!!


 着地……いや、墜落(ついらく)

 落下の衝撃でクレーターができた。


 シーカは?

 間一髪(かんいっぱつ)、側転してトラを避けた!




挿絵(By みてみん)

 



「……く! し、しまっ、た……」


 回避した方向をミスった。

 わずか30センチ後ろは、ドブ川だ。


 追いつめられた。

 すぐに体勢を立て直し、トラに左手を突き出すが……


「こ、こ、こいつ……あ、あれ……?」




挿絵(By みてみん)




「ぐ、ぐぐ……く、首が締まる。し、死ぬ……!」

 

 どうやら、トラはそれどころではないらしい。

 “ かたびら ” の1本が首に(から)み、首吊りみたいになっているではないか。


「イヤー!」

 女の子は、その真上2メートル。

 壁から突き出した(クギ)かなにかに引っかかってるらしい。トラの頭上で、きゃあきゃあ叫んでいた。

 宙吊(ちゅうづ)りになりながらも、必死にスカートを押さえている。

 

「見えちゃうわ、見えちゃう!」

 それどころではあるまいに。

 少女のスカートから伸びる触手は、6本がトラを縛り、ほかの6本は釘を外そうとしている。


 あ、いまようやく外れた。


 ドシン!!

 窒息(ちっそく)寸前だったトラに、女の子が降ってきた。


「きゃあ!」

「ゴゲエ!!」


 頭に人間が直撃。

 意識がブッ飛びそうになりながら、トラはそれでも倒れない。女の子を頭に乗っけたまま、さらに激昂(げっこう)する。

 怒りの矛先(ほこさき)は、なぜかシーカへ。


「痛え! よくもやったな!」

「きゃー!」


 ズドンズドン!

 ふたたび突進。

 

 シーカの背後は、川。

 もう後ろに下がることは出来ないぞ!

 またも大振(おおぶ)りの蹴りを、シーカに放つ。

 ブンッッ!! 


 スカッ!


「……フン」


 またも余裕で避けられた。

 完全に見切られているらしい。半歩ほど左に移動しただけで、シーカはかんたんに(かわ)す。

 

 カラ振りした蹴りの勢いで、今度はトラと少女がドブ川へ落ちそうになる。もう形勢(けいせい)逆転してしまった。


「おお!?」

「きゃー!」


 落ちまいと踏んばるトラ。

 トラにしがみつく女の子。

 

 落ちてたまるか!

 ズルッ。


「あ゛――――――!!!」

「イヤアアア―――!」


 ダメだ、落ちた。

 姿が見えなくなる。



『いかん、真っ白闇が! 追え、シーカ!』


 少女の落下に " ()() " が叫ぶ。

 そう。

 トラはどうでもいいが、少女が落ちるのは困る。彼女のアイテムを逃がしてはいけない。


 朽ち灯の声にシーカは駆け出し、(あわ)ててドブ川をのぞきこんだ。 


「に、に、ニニコ……わ!」


「嘘じゃあああああああああああ!!」

 ドガッ!

 トラの蹴りが飛んできた。


「落ちてねえわボケェ!」


 なんと、2人は川に落ちていなかった。 

 トラは長靴で堤防(ていぼう)に貼りつき、シーカが顔をのぞかせるのを待っていた。まるでヤモリだ。

 待ってましたと蹴りを放つ!

 今度こそ直撃した!


 いや!

 ズガンと強い衝撃が、シーカの左手にかかった。


「ぐ……!!」

 朽ち灯を(たて)にした。かろうじて防御……だが、とてつもなく恐ろしい声が、朽ち灯から発せられる。


『ぐぅ! き、貴様、我を足蹴(あしげ)に……』

 朽ち灯が(うな)る。

『我を盾に……シーカ……悪い子だ。あとで覚えておれ』


「う、う……」

 シーカが身震(みぶる)いする。

 その目が、恐怖に染まる。


 だが、それどころではない!


 ガチン! 

 長靴が、朽ち灯に貼りついた。

 はがれない。


「うりゃああああああああああ!」

 トラが()える。


 朽ち灯を貼りつけたまま、長靴をブンまわした。シーカごとだ。なんちゅう脚力(きゃくりょく)!!

 (ちゅう)を舞ったシーカが、地面に叩きつけられた。


 ズダンッッ!!

 コンクリートに、シーカは転がされる。


「がっ……!」

 

 効いているらしい。

 もう一度だ!

 岸に上ったトラは、すかさずシーカに突進する。


 だが…… 


 ボゴォ!!


「ぐべぇ! 痛え!」

 

 シーカが体をひねり、向かってきたトラの顔面に蹴りを食いこませた。地面に寝た状態から、なんとカポエイラのようなハイキックをくり出した。

 すさまじい体術……


 たまらず、トラは後ずさる。

 

 ちなみに女の子は、まだトラの背中にしがみついている。ずっとオンブした状態だった。べつに記載の必要なかったので(はぶ)いたが、彼女はずっと「ヒィ」とか「ぎゃあ」とか(わめ)いていた。


「こんの……よくも……」

 ズザッ!


「は、はあ、はあ……」 

 ジャキ……


 距離をとる2人。 

 トラとシーカが互いに構える。


「や、や、やい。に、ニニコを、乱暴に、あ、あつ、あつかうな」

 シーカが(くちびる)をふるわせる。


「降ろして! あなた、降ろして!」

 トラの耳元でわめく女の子。


 ……ニニコ?

 いまさらながら、この少女の名前だろうか?


 女の子を見もせず、トラが吐き捨てる。


「ニニコ? ああ、このスリのこと? そうはいくかよ」



「ニ、ニ、ニニコを、降ろ、せ」 

 シーカは(ひる)まない。

 眼光(するど)く、トラを見すえている。

 

 (まゆ)をしかめるトラ。

 なんなんだ、コイツのしゃべりかた。


「オイ。その(しゃべ)りかた、どうした? マジに頭でもやっちまったのか? えー……誰だっけ?」


「し、し、し、シーカ」

「そうか、覚えとくぜ。ロリコン野郎」


「……ギリッ」


 あからさまな侮辱(ぶじょく)に、シーカの顔色が変わった。

 にらみ殺さんばかりの目を向ける。




挿絵(By みてみん)




 怒りを隠そうともしない。

 トラと違うのは、それを言葉にできないこと。ギリ、と歯を(きし)り、朽ち灯の(てのひら)を上に向けた。


 その掌に……



 パチ、パチ。


 ボゥ!!


 朽ち灯の手のひらに、火球が生まれた。




挿絵(By みてみん)




「ンな……火ィイイイイイ!?」

 トラの悲鳴。


 いや、なんで火!?




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いま書いてるやつよ。

 ↓

チャッカマン




イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。


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