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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第20章「勝ち目もないラスボスを焼き捨てる主人公らへ」
181/249

第181話 「ボールデッド」



挿絵(By みてみん)



「いざとなったら、トラ君の魔力を(・・・・・・・)消しちゃうよ(・・・・・・)? ドヤァ」

 微笑む。

「足枷に呪われたくないよね、みんな」


 ―――全員の顔がゆがむ。

 

 なるほど。

 それでトラの呪いだけは解かなかったのか。

 なるほど。

 それでわざわざ、マオちゃんがひとりで来たのか。魔王軍ひしめくこの城で、たったひとりで……


「あーでも、しまったァ~。うっかり(・・・・)みんなの魔力を消しちゃったんだっけ。ってことはトラ君の魔力を消しちゃったら、足枷に呪われるのはニニコちゃんだね」


 ザアアアアアア……!

 煙羅煙羅のパーツに守られながら、マオちゃんは笑う。


 

「最低よ、マオちゃん」

 冷たく言い放つニニコ。刺すような目でにらむ、にらむ。

「最低だわ」


 マオちゃんは……しばらくニニコの顔を見つめていたが、やがて、うつむいた。


「うん、ごめんね」

 さみしそうに(つぶや)く。

「このくらいできないと、魔王なんかやってられないんだ」


 さみしそうに笑うマオちゃん。

 だが。

 だがすぐに真面目な顔になった。

「……あれ?」

 視線が泳ぐ。

 きょろ、きょろ。

「なにこの感じ。なんかすごく、朽ち灯以外(・・)の気配がするんだけど」



 イヤなにおいがした。

 

 なんだかとてつもなく、コゲ臭い。


 人間が燃えるようなにおい(・・・)



「アッ、しまった」

 


 ロープが燃えている。

 フォックスを(しば)りあげていたロープが、ブスブスと燃えている。


  なぜ?


 フォックスを縛るロープに、もぞもぞと寄り()うブロックがある。朽ち灯のパーツ……ではない!


 ()籠手(ごて)

 かつてシーカに奪われ、朽ち灯に吸収されていた()籠手(ごて)のパーツ。そのブロックが、ロープをごしごしと(こす)っている。まるで火をおこすように……ってか、火がついた!


 ボッ!

 ぶすぶすと燃えるロープはついに切断された。そのすさまじい(にお)い……人間が燃えたときの臭い。



「はー、なるほどね。なんで鎖なりワイヤーなりを()り出さねえのかと思いきや……このロープはあれか? 人間の死体でも加工してんのか」

 笑うフォックス。

 悪魔の笑み―――

「それとも死体じゃなかったりしてな」



「人聞きが悪いなあ。これは化学的に培養(ばいよう)した繊維だよ。ナマで()ぎ取ったみたいに言わないでほしいな」

 ムッと(にら)み返すマオちゃん。

「アモロの力を伝達させるには、人体を使わなきゃならないんでね。ホントは有刺鉄線でも使って拘束(こうそく)したかったよ」



「そっちのほうがよかったぜ。このにおいだけはマジで慣れねえ」

 よっこらしょと立ちあがり、その右手をまじまじと見つめて笑う。フォックス自身、数カ月ぶりにハダカの右手を見た。

 トラとはじめて会ったとき以来だ。

「あー……こりゃなんとも複雑な気分だぜ。こんなあっさり呪いが解けちまうとはな」



挿絵(By みてみん)



 もぞもぞと、右手の上で(うごめ)くブロックが1枚。

 もとの籠手はどこ行ったの? とでも言わんばかりに、もぞもぞと腕を()いまわっている。

 そして、そして、炎が吹き上がった。

 ボッ!!


「物知りの魔王様。何百年生きてるか知んねえけどよ、これはご存知なかったろ?」

 炎。

 フォックスの右手に炎が宿(やど)る。

「今日がお前の命日だ」



「ふむ、それは……知らなかったよ」

 マオちゃんはまだ余裕。

 パシ!

 近くに浮いていた煙羅煙羅のパーツをつかみ、フォックスに投げつけた。

「えい」

 


挿絵(By みてみん)



 ビュンン!!

 弾丸のような速さで飛んでいったパーツは、フォックスの炎板を(はじ)き飛ばした。

 カーン!

 ゴッ!!

 弾かれたパーツは、ビリヤード玉のようにフォックスの頭部にブチ当たり、そのままどっかに飛んでった。

 

「ぃやん」

 ドサ!

 フォックスはかわいい悲鳴をあげ、ニニコのひざの上に倒れてしまった。気絶。



 ……え?

 これで終わり?


 

「おっとゴメン。一塁にどうぞ」

 余裕のマオちゃん。

 冗談言ってる場合じゃない。どういう筋力をしているのか。軽く投げたようで、球速150キロは出ていた。


 フォックス、リタイヤ。



「なんじゃそら! なにそれ!」

 さすがのニニコも怒る。

「ワーワー! ワーワー!」


「最ひょ、から・期待・ひてない」

 ため息をもらすシーカ。


「グー! うぐー!」

 床でうめき声をあげるハムハム。

 頭に巨大なタンコブが出来ているではないか。飛んできた()籠手(ごて)ブロックが落下してきたらしい。

 縛られたまま拷問(ごうもん)みたいな目にあう、かわいそうなハムハム。



「あはははは!」

 笑うマオちゃん。

 

『アーハッハハハ! ネコより使えんな!』

 笑う朽ち灯。

 シーカを周回しながら、ジャラジャラと高笑いをあげる。

 


「ンオ―――! ンオ―――!」

 床で(わめ)くトラ。

 いや、その目に涙。

 あまりの屈辱(くつじょく)ゆえか……わからない。なんの涙かわからない。

「ンオ―――!! ンオ―――!」


 ドン!

 ドン!!

 足をバタつかせる。

 ドン!

 ドンッ、ドンッ!!



「あっはっは……ちょっと、うるさいな。静かにしててよ」

 怒るマオちゃん。


『ふむ……ほう』

『これは! これは面白い』

 ザラザラ!

 ザアアアアア!

 朽ち灯の反応はちがう。なにかを見つけたかのような反応だ。



「ンンンオ―――!!」

 トラはどうしたのだろう、尋常(じんじょう)(あば)れかたじゃない。ドン ドンドン!



「にゃ、にゃんだ?」

 シーカの位置からは、トラの姿が見えない。なにをわめいているのか分からない。


「な、なになに?? トラ!?」

 パニック状態のニニコ。


 なにが起こっているのかわからない……


 と。

 ツン、ツン。

 

 ニニコの肩を、フォックスがつつく。



挿絵(By みてみん)



 まだソファに(しず)んだまま、なのにフォックスは笑っている。白目をむいた状態でトラを指さした。

 いや、トラの長靴を指さす。


 

   そこには、


    「アモロ」の文字。



 靴底に、アモロと書かれている。

 反対の長靴には、ブロックが貼りついているではないか。もちろん足枷(あしかせ)のパーツだ。

 なんと器用な……足の裏にパーツを貼りつけ、ガリガリと片足の裏を(こす)って文字を書いたらしい。


 アモロの文字を。


 正気か?



挿絵(By みてみん)



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終身刑の魔女より

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いま書いてるやつよ。





イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。
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