終章 開かれた前途
午後九時少し前、工藤優一准陸尉は長月荘の前の電柱にもたれかかっていた。
ひっそりと気配を殺し、電柱の陰に潜むようにして佇むその姿は、戦場で敵兵を待ち伏せしてでもいるかのような不穏さに満ちていた。
もっとも、既に一度帰宅した身であり、戦闘服は着ていない。今朝とは違い、きちんと私服を着用している。そのため、不審人物ではあっても危険人物までには到らずに済んでいる。
ただし、「待ち伏せ」というのは決して間違った表現ではなかった。実際、優一はある人物の帰りを待っているところだった。
その人物は真田宗助である。工藤家の向かいにある長月荘というアパートに今春入居した大学生である。少々変わったところはあるものの至って真面目な印象のあの大学生が実は超能力者だった、という話を幼い頃からの親友である下崎秀臣から知らされ、急遽、話をすることにしたのだった。
真田が帰ったという連絡を受け、電柱にもたれかかってから、もう二十分以上も経過している。
しかし、優一は全くそれが苦にならない。
肉体は二十分どころか半日以上立ち続けていることも可能なほどに強靭であり、精神は二十分どころか半日以上の無為に耐えられるほどに忍耐強い。兵士としてはまさに理想とも言える心身を持つ、人の姿をした戦闘機械とも言える男である。
否、精神に関して、これはあまり正確ではない。
優一は既に一度、死んだ身である。最愛の妻の魔術により、ゾンビとして蘇生させられたのである。
蘇った当初の生活は、死んだ方がマシだったと、強靭な心の持ち主が一度ならず嘆いたほどに過酷なものだった。
何しろ、人間ならば当たり前に持っている、様々なものの多くが失われていた。
触覚は非常に機能が低下していた。それは「何かに触れている」ということがわかるだけだった。硬い、柔らかい、熱い、冷たいといった細かい感触などはわからなかった。これにより、各種装備の整備のような、細かい作業が非常に困難となったのは兵士として屈辱的な思い出である。
嗅覚は完全に失われていた。臭いというものの存在を肉体が忘れてしまったかのように、一切の臭いを嗅ぎ取ることができなかった。訓練用の催涙ガスの強烈極まる臭いや硝煙の特徴的な香りすら嗅ぎ取れなかったことは、最早、兵士としての人生が絶たれたも同然とすら思えた。
味覚も完全に失われていた。何を食べても口の中に何かがあるという具合に触覚が働くのみで、味などは全くわからなかった。消化器の機能も停止していたため、そもそも摂取すること自体が不可能だった。肉体を維持する方法は、妻、仁美の魔術に頼るか、適当な生物を殺して生命力を啜るかのどちらかしか存在しなかった。
消化器に限らず、内蔵機能も一切停止していた。当然、心臓も動いていないため血液が全身を巡ることもなく、常に死体の体温のまま生活していた。
他にも数えきれないほどの欠落があった。
しかし現在では、それらは全て、妻の献身的な世話によって解消されている。魔術師としての優れた資質を、ただ優一に生前と同じ能力を取り戻させるためだけに費やし、遂にはそれを実現したのだった。優一がそのことに対する感謝を忘れた日は一日たりともなかった。生前はもうこれ以上深く愛することはできないだろうと言うほどに愛していたが、今ではその時に勝手に認識していた「限界」を遥かに超える深い愛情を妻に対して注いでいる。
そういうこともあり、優一はただ人間と同等のゾンビとして活動しているという、その事実だけで満足なのである。彼に限っては、退屈などというものは存在しない。人間として活動し、空気の臭いを嗅ぎ、風の感触を受けているという、それだけのことが大きな幸せとなった。
それからもう数分ほどが経過した時のことだった。優一の優れた聴覚が、若い男の足音を聴き取った。
足音の方向に、無論本物の暗視装置に及ぶべくもないが、ある程度ならば暗視が可能な視線を向けた。
そこには、一人の青年がいた。どうということもない服装をした、痩せ型だがしっかりと筋肉のついた、中肉中背の青年だった。
「やあ、真田くん」
真田宗助だった。
「うわあっ! ……何だ、工藤さんですか。脅かさないでくださいよ……心臓停まるかと思いましたよ」
「そうか。それはすまん」
優一は、真田が驚いたことによって、ようやく自分が気配を殺していたということに気づいた。長年の訓練によって習性と言えるレベルにまで刻み込まれた技術を、無意識の内に実践してしまっていたのである。
「こんな所で何してるんですか?」
「君を待っていた」
優一は常に必要なことだけを単刀直入に話す。本当に必要なことしか言わないため、彼は極端に無口な男として知られている。本当は必要ならばいくらでも喋ることができるのだが、周囲の人間のほとんどが、優一のことを口下手な人間だと誤解している。
「僕を、ですか?」
訝しげな顔をする真田に対し、優一は端的に用件を告げた。
「君は超能力者だったようだな。全く気づかなかった」
「……なぜ、それを?」
やや優一から距離を取ると、真田は警戒心と恐怖心の入り混じった表情を浮かべた。
「秀臣から聞いた。君の人柄について訊かれた時に教えて貰った」
「……それを言うためだけにこんな所で待ってたんですか?」
真田は疑念を隠そうともしなかった。それだけのはずがない、とその目が雄弁に訴えかけてきている。
「いや。警告しにきた」
「警告……ですか」
恐らくは脅迫か何かを想像したのに違いない。真田の顔を見て、優一はそう直感した。
「そうだ。これは自衛隊からの警告だと思ってくれて構わん。……これから話すことは一部、防衛秘密――防衛庁長官が指定する機密だ――に触れる可能性があるが、正式に許可を受けているから心配するな。俺と君が自衛隊法違反に問われる心配はない。本当なら防衛秘密の公開を決定する権限は一混成団長にはないが、この関連の防衛秘密に限っては、第十一混成団長の判断で公開していいことになっている」
優一は懐から書類を取り出し、真田に見せた。それは、課業終了時刻である午後五時を少し過ぎた頃に秀臣からの問い合わせを受けた後、真田宗助に防衛秘密の一部を明かす事態を想定し、急遽作成した書類である。第一小隊小隊長である尾奈二等陸尉、第一中隊中隊付准尉である大場准陸尉、第一中隊中隊長である士農田三等陸佐、第十一混成団副団長である大平一等陸佐、そして第十一混成団団長である源田陸将補などの署名捺印がなされているため、正式な効力を持っている。
これだけの数の自衛隊幹部の署名捺印をその日の内に取り付けるというのは異例の速さである。無論、これが外出許可証のようなものであれば、その性質上、申請してすぐに許可、不許可が決定する。しかし、こういった機密に関わる重要書類となると、とてもそうはいかないのが普通である。明らかに却下する以外にないものは書類を提出した瞬間に破り捨てられることになるが、多少なりとも受理の可能性がある場合、審議だけでも相当な時間が必要となる。申請して二時間ほどで戻ってくる、というわけにはいかない。
混成団最強の兵士と混成団最先任級の准尉を兼ねる怪物、工藤優一ならではの特別扱いだと言えた。もっともその気になれば、上官を一人ずつ経由していくという手続きを無視して団長室に直行し、その場で許可を取り付けてしまうことも可能と言えば可能である。それどころか、そもそも事前に許可を得ることなく機密を漏洩し、事後承諾を求めるということも可能である。それをしないのだから、これでも随分と周囲に配慮しているのだった。
「ただし、これは俺から君に対する情報公開に限定された許可だから、君がこれを誰かに話せば自衛隊法違反になる可能性がある。正直なところを言えば、魔術師や超能力者の間では公然の秘密となっているくらいだが、君にその判断はつかんだろう。だから言うな。わかったか?」
真田は静かに頷いた。
「……わかりました。黙ってればいいんですよね? 秀臣さんにも似たようなこと言われましたから、大丈夫です」
「ならいい」
書類を折り畳んでポケットにしまいつつ、優一は頷き返した。
「それで、警告って?」
「簡単だ。一言で済む」
「……何ですか?」
「自分が何の訓練も積んでいない上、何の権限も義務も持たない、ただの一般市民に過ぎないことを忘れるな。それだけだ」
「え……それだけを言うためにずっと僕を待ってたんですか?」
優一は本当にそれだけを伝えるために待機していたのだが、それが真田には信じられないようだった。半信半疑の面持ちで優一のことをじっと見ている。
「そうだ。このことを勘違いする奴が多いから、取り返しがつかなくなる前に警告しておこうと思ったんだ」
優一にとってその「勘違い」は非常に許しがたいものであり、また実際にその勘違いをした人間とその周囲が危険に見舞われる可能性のあるものだった。だからこそ、真田がそれを犯す前に警告するつもりになったのである。
「……勘違い?」
「犯罪者を捕らえるのは警察だ。警察が対処できない規模の暴力を制圧し、日本を狙う侵略者を撃退するのは俺達自衛隊だ。災害現場から被災者を助けるのは消防や自衛隊だ。どれも、君達、一般市民じゃない」
「……余計なことをするな、ってことですか?」
真田という青年は、あの下崎秀臣が在籍していた自育大学に通っているだけのことはあり、呑み込みが早い。こうして、優一の言いたいことを過不足なく汲み取った。
「そうだ。仮に君の目の前に危機に見舞われている人間がいたとしても、手を出すな。君以外に助けに入れる者がいない。即座に君が助けに入らないと取り返しのつかない事態を招きかねない。君の能力の範囲内でどうにかできる。この三つが揃わない限りは手を出すな。それから、警察や消防、自衛隊から協力要請があった時以外、君は何もしてはならない。警察なり消防なり自衛隊なりに任せろ。警察に代わって凶悪犯を捕らえよう。自衛隊に代わって異界の生物を撃退しよう。消防に代わって救助活動をしよう。そういうことを考えるのは駄目だ。何でも源田商会に入るつもりらしいが、秀臣や源田に何を吹き込まれても、絶対に調子に乗るんじゃないぞ」
工藤優一にとって若者とは、ちょっとしたことで調子に乗り、簡単に暴走する存在である。だから、くどいくらいに釘を刺してようやく言うことを聞く。かつての自分がそうであり、またそういう若者を多く見てきたことから、それくらいに思っている。
「それから、自分が特別な存在だと思って調子に乗るんじゃないぞ」
「いや、それは思ってませんよ。俺なんて……そんな特別でも何でもないですよ」
優一が見たところ、真田は本心からそう思っている様子だった。目を見ればわかる。真田の目は、本心からそう思っていることを語る人間のそれだった。
だが、そうとわかっても、念押しをしておくことが悪いはずがない。優一はそれでも言葉を続けた。
「超能力者の間にも格の差はある。秀臣の家に行ったんなら、それはわかっているだろう」
戦闘能力という観点での話ならば、下崎家において最も恐ろしいのは魔神アラトである。魔術的な処理を施した九〇式戦車や対物ライフルを投入しても、恐らく手傷を負わせるのが限界に違いない。
対して、娘の千鶴、それから下崎家の四兄弟については、確かに強力ではあるものの、気づかれないほどの遠距離から狙撃すれば簡単に殺害可能である。
そして秀臣はと言えば、優一ほどの戦闘技術があれば、素手でも殺害できるに違いない程度の男である。肉体的には全くの常人なのである。
しかし、戦闘能力以外の総合的な能力で言えば、一気に秀臣が下崎家のトップに躍り出る。秀臣の才覚、人脈、財力などは、個人としてはトップクラスの危険性を持っている。
「秀臣達ほどにもなれば確かに特別だが、逆を言えばそれ以外は特別にはなれんのだ。そして、その特別達ですら、そのほとんどが先進諸国の軍事力には対抗できない。完全武装の軍隊の前には、超能力者や魔術師も最終的には無力だ。そして、その軍隊が魔術的な支援を受け、魔術師や超能力者、怪物達を制圧する訓練を受けている場合は、ほとんどの者が抵抗らしい抵抗もできずに死ぬことになる」
「……その訓練を受けた部隊って、工藤さんが勤めてるあの駐屯地の部隊のことですか?」
「そうだ。第十一混成団は、そのために編成された部隊だ。魔術師協会との協定によって、日本では、ただ俺達の団だけが対魔術、超能力戦闘を研究、実践することを許されている」
「実戦経験は……あるんですか?」
「ある。我々が一個小隊以上の戦力を極秘投入した場合の任務達成率は七割を超えている。魔術師協会その他との合同作戦の場合は九割を超えている。だから、俺達の目と鼻の先で暴れるようなことはするな。そうなったら、もしかしたら俺が君を撃つことになるかもしれない」
優一は相手が誰であろうと殺せる男である。そういう風になれるよう、訓練を重ねてきた結果、そうなることに成功したのである。
だが、誰であろうと殺せるということが、そのまま心が傷つかないということに繋がるということはない。
いかな優一と言えど、友人知人の返り血を浴びれば、表面上は平然としてはいても、内面においては撃ってしまった自分に対する激しい怒りが吹き荒れることとなる。それを味わうのは、もう沢山だった。
「最後にもう一度言う。源田商会に入ることについては君の人生だから自由だが、だが、権限も義務もないことに首を突っ込むのはやめるんだ。それは君だけでなく関係者全員の迷惑になる。それから、こっちはもっと重要だ。頼むから、俺達が君を撃たなければならないような状況を作らないでくれ。俺は若者を撃つのは嫌だ」
それは心底からの言葉だった。普段、感情を表に出さないように努めている優一が、無自覚の内に心の内を零してしまった瞬間だった。
「わかりました……」
真田が驚いたような顔をしているのは、恐らく優一が感情を吐露したことに対してだろう。
だが、優一はそのようなことはどうでもよかった。そのようなことよりも、本当に目の前の若者に、自分の言葉が届いたのかどうかが重要だった。
そう思いながら見ていると、真田が理解不能であるといった顔つきで問いかけてきた。
「あの……どうして、俺なんかにそんな、機密までバラしてまで警告してくれるんですか? 自分で言うのも何ですけど、俺は別に……その、機密を打ち明けて貰えるような重要人物じゃないと思うんですよ」
真田は冷静な判断力と分析力を持っているようだった。自分が取るに足らない存在であることをきちんと理解していなければ、このような言葉は出てこない。
自分の言葉がしっかりと届いたことを知り、内心で喜びながら、優一は静かに答えを返した。
「それは、君が俺の隣人であり、俺の姪っ子の夫になるかもしれない男だからだ。そうでなかったら、わざわざここまでのことはしない」
これは偽らざる本心だった。
「じ、自衛隊の機密ってそんなに軽いんですか?」
真田の危惧ももっともなことだった。自衛隊の機密漏洩事件は頻繁に騒がれているから、自衛隊の情報保全能力に疑問を抱くのも無理もない。
しかし、だからと言ってそれをそのままにしておくわけにはいかなかった。隊の不名誉は隊員が雪がなくてはならない。優一は端的に述べた。
「バレても構わない機密というのがあるんだ。世間で『漏洩だ』と騒いでいるのは、どれもこれも、形式的に機密に区分されているものばかりだ。実際は、もとからバレているか、それとも知られても実害のない無害な機密だから、保全が疎かになるんだ」
真田はどこか納得のいかない顔をしているが、優一には関係なかった。もうこれで伝えるべきことは全て伝えた。である以上、もうこれ以上ここで立ち話を続ける必要もなかった。
優一は歩き出し、真田の横を擦れ違い様に告げた。
「じゃあ、俺はこれからコンビニに行かなきゃならないから、これで」
仁美から、どうせ出かけるのならば、アイスでも買ってきて欲しいと言われていたのである。
「あ、はい……どうもありがとうございました」
真田のどこか腑に落ちない様子の礼を背中に受けながら、優一は規則正しい歩調で歩き去った。
午後十時少し前、真田宗助は長月荘の二〇二号室の床に寝転がりながら、今日という日の出来事に思いを馳せていた。
今日は実に様々なことがあった。朝、下崎千鶴に出会い、これまで必死に守り通してきたものを打ち砕かれた。昼、下崎千鶴と再会し、何の因果か友達以上恋人未満となった後、世界の真実を仄めかされた。夜、下崎家を訪ね、価値観の転換を迫られた挙句、世界の真実を臭わされ、半ば強引に就職先を斡旋され、更にその帰り道では工藤優一准尉を通して自衛隊からの警告を受けた。
一つ一つが大きな出来事だった。この内の一つが自分の身に起こるというだけでも大事件というものだった。この内のどれか一つでもその身に降りかかれば、それだけで人生が一変してしまう。そういう出来事である。
その大事件の数々が、たった一日という短い時間で、真田宗助という一人のちっぽけな青年の身に降りかかったのだった。
恐ろしい一日だった、と言うほかはなかった。今はまだ、それ以外の感想が浮かばなかった。人間はあまりにも多くの出来事に見舞われると、一つ一つの出来事に対する冷静な分析ができなくなるばかりか、その全体像を把握することすらもできなくなってしまうのである。
それほどまでに今日という日は宗助の理解を超えていた。
あまりにも多くの道を示され過ぎて、一体どれを選べば良いのかが全く考えられなかった。
あまりにも多くの可能性を示され過ぎて、一体何から手をつければ良いのか、全く考えられなかった。
わかったのは、これからの自分の人生がこれまでのそれからは想像も付かない、波乱に満ちた、平穏とはおよそ無縁のものとなるであろうという、ただのそれだけだった。
はっきりと言えば、恐ろしい重圧に胸が潰されそうだった。気分的なものであるはずなのに、物理的な圧力を伴っているかのように思えた。
何をする気にもなれず、月明かりと街灯に照らされた薄暗い部屋で寝転がっていると、充電中の携帯電話がメールの着信を伝えてきた。
宗助には、彼にメールを送ってくる相手の心当たりがなかった。
迷惑メールかもしれない、と思いつつ確認してみると、驚いたことに千鶴からのメールだった。タイトルは「おやすみなさい」とあった。
開いてみると本文はこのようなものだった。
「宗助さん、こんばんは。夜中にごめんなさい。
どうしても寝る前に「おやすみ」を言いたくて送りました。
おやすみなさい。
もしご迷惑でなかったら返信ください。」
このメールを見た宗助の心中に静かに湧き起こった感情があった。
安らぎと喜びだった。宗助は、千鶴から送られてきた、何の変哲もない、改行を含めてたったの五行しかない文字列を見て、深く静かな安らぎと喜びを覚えたのだった。
つまりは、そういうことだったのである。
この瞬間、真田宗助は、自分が下崎千鶴に対して好意を抱き始めていることに気づいたのだった。
それが単なる現実逃避によるものか、それとも千鶴に対する想いの強さによるものかはわからない。恐らくは両方が不可分に入り混じったものに違いない。
宗助は、想いを自覚したその瞬間から諸々の問題を綺麗さっぱり忘却した。
彼は持てる知性の全てを千鶴への返信メールに関することに注ぎ込んでいた。
文面をどうするか。どのようにすれば自分の想いを過不足なく伝えることができるか。
そればかりを考え始めた。