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2話 俺と結婚してください

 待て、待て待て!

 折角転生して、初期値の高い魔王を選んだのにもうゲームオーバーかよ!!

 転生する時、神に魔王をやたら勧められたのは、こうなるってわかっていたのか!?


「クソが……!」


 ガンッ!!


 額に強烈な鈍痛。いってぇ……。

 ん? 痛い?


 触って確かめると腫れ上がってはいるが、命に関わる傷じゃない。もしかして俺、めちゃくちゃ強いのか?


「あーもう! やっぱりダメね!!

 何で斬れないのかしら」


 どうやら俺の強さじゃなく、女神並みに可愛いこの金髪の少女? が理由らしい。

 とにもかくにも助かった。


「なぁ、確かに痛いけど、俺を殺すのは無理じゃね?」


 つい煽ってしまう。

 はっはっは。高飛車気取りの女神だとしても、恐るるに足らず! 大したことなさそう。


「ふ、ふーん。でも知ってる?

 剣で斬れなくても、殴り続ければいつか死ぬのよ? 実践してあげましょうか?」


 訂正。やっぱりバカ女神だった。

 剣で殴り殺すってどういうことよ。普通に怖い。


「ちょっと待ってくれ! 俺の話も聞いてくれ!」


「嫌よ。魔王の言葉なんて聞きたくないわ」


 問答無用。さっさと死ねと言わんばかりに攻撃を仕掛けてくる。

 またどこから取り出しているのかわからない剣を、再び掌に顕現させて投げつけてくる。


 投擲。並の肩じゃない。

 野球選手なら、何かの賞も狙えるレベルに速い。それでも魔王の身体能力なら躱せない速度じゃないけど。


 最小のサイドステップでヒラヒラと躱していると、直接俺を叩きに距離を詰めてくる。


「ふっ!! やぁー!!」


 可愛いながらも芯の乗った気合いで、剣を鈍器代わりにして殴ろうとしてくる。


「いい加減に、しろ!」


 斬れないと分かれば、覚えたての身体能力向上の魔法で強化した腕で払う。


 強めに払った手がヒリヒリと痛むが、これで敵意はない意思を示して戦闘を終わらせられる。

 はずだった。

 手から離れた剣は石柱に深く突き刺さり、女神の手元から剣がなくなる。


 それでも表情を歪ませながら新しい剣を再度出現させて向かってくる。

 何というか、義務感にも近い苦しそうな顔をしている。まるでサラリーマン時代の俺が、納期を上流工程のアホに無理やり縮められた時とそっくりだ。


 そうなると話は変わってくる。

 今必要なのは戦いではなく対話だ。

 苛烈な攻撃を躱しながら、恐らく女神であろう少女に話しかける。


「お前が女神なのはわかった!

 俺を斬れない理由も何となく察しがつく!

 だから一回話し合おう! な!」


「調子狂うわね! 全く反撃して来ないし、あなた本当に魔王かどうかも疑いたくなるわ!」


「そりゃそうさ! 元人間だからな!

 魔王っぽくないのはその通り!」


 ここなら自分の帰りをきっと慌てながら待っている銀髪のメイドも、いなくなった魔王関係者もいない。魔王ムーブは必要ないしね。


「ムカツク! 本当にムカツクわ!

 これじゃどっちが魔王かわからなくなるじゃない」


 はぁ……。と大きなため息をついてから女神らしき少女が攻撃を止めて剣を消滅させる。


「話くらいは聞いてあげる。女神に聞いてほしいことがあるなら言ってみなさい」


 これだけ強いんだ。申し分ない。

 俺にはお前が必要だ。


「女神よ! 俺と結婚してくれ!!」


「あなたと結婚するくらいなら、神格を落としてただの人間になった方がマシって言ったわよね? 二度同じことを言わせないで欲しいのだけど」


 いや俺、プロポーズしたのはコレが初めてだよな? 俺のドッペルゲンガーが先に来てたの?


「出会って二秒で振られて、改めて求婚したのに、なんでそんなツンケンしてんの?

 ツンデレなの? 早くデレデレしろよ」


「ツン……デレ? って何よ。

 ともかく、魔王の魔力なんて絶対に要らないわ。今すぐに帰るか死になさい」


「断る! 俺は強い仲間が欲しい!

 君なら申し分ない強さだし、ぜひ!」


「やっぱり殺そうかしら」


 やばい、押しが強すぎた。

 自分の話ばかりする男は嫌われる。

 必死に取り繕って場を何とかしようとする。


「待ってくれ! あなたが女神なのは何となくわかった。柱は斬れても、俺を斬れないのは多分君の心が優しいからだ! きっとな!


 だから君が今困っていることを聞かせてくれ!」


「なんで私が今困っているってわかるのよ。

 穢らわしい」


 ひどい言われようである。

 苦い顔になりながらも、それでも続ける。


「だって女神さん、魔力足りてないじゃん。

 そんなの見ればすぐにわかるし」


 魔王だからか、この世界に転生した全員が持っているのかはわからないが、明らかに強さの割に女神から感じる魔力が小さい。

 剣を出すだけで少し減っているのがわかるほどに。


「なっ……! あなたやっぱり性格悪いわね。

 そうよ! 私はこの魔法陣を使って新しい魔力供給先を探すために、契約者を召喚しようとしていたのよ」


 何となくわかってきたぞ。

 つまり、外付けの魔力を得ようとしてるわけだ。ハードディスクのように。


「なるほど? なら俺はピッタリ当てはまる人材だったわけだ」


「だけど魔王から魔力をもらうなんて絶対に嫌。もう死んでも嫌。

 あなたに純潔を捧げるなんて絶対にあり得ない」


「いや、純潔は要らないぞ。ちょっと待ってろー? あれ、どこにしまったっけ。

 あっ、あったあった。これだ」


 銀色に輝くリングを手に乗せて見せる。


「指輪?」


「そうだ。この指輪を嵌めれば俺の魔力が自動的に女神さんの中に流れ込む。

 俺はこの指輪を使って力を分け与えて、新しい組織を作ろうと考えてる!

 だからあなたがそこまでの覚悟をすることない! いいだろ?」


「キッモ、絶対に嫌。そんなウソ結婚でよくプロポーズなんてできたわね」


 身体を両手で抱きながら、顔を青ざめて拒絶する女神っぽい少女。


「なんでだよ! 絶対に利害一致してるだろ!」


「だからよ! 都合が良すぎるし、何より魔王の魔力が身体に入るなんて絶対に嫌!


 あなたの人となりがそんなに悪くないのは今のやり取りでわかった。

 けど! あなたより一つ前の先代魔王がやったことを考えれば、そんなの無理」


「ごめん、先代魔王って何やらかしたの?」


「はい?」

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