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10話 魔王なのがバレちゃった

 一度止められた手前、アリシャの顔を見るが、どうやら諦めたようだ。

 意を決してフードを取り、魔族を証明する二本の角が露わになる。


 正直悲鳴やら、ぶん殴られることも覚悟しながら見せたわけだが、セイレスはそのどちらでもなかった。もちろん驚いて目を見開いている。


 だが、それだけ。

 もしかしたら、可能性の一つとして考えていたのかもしれない。それでも少しばかり拍子抜けの反応が返ってきて、疑問に思う。


 なんでそこまで冷静でいられるんだ?


 そう思いながらも、俺の目を真っ直ぐ見るセイレスに釘付けにされる。視線が外せないが、めちゃくちゃ居心地が悪かった。


「えっと……。セイレス?」


「あなた。実は魔族じゃなかったりする?」


「っ!!」


 この子! 間違いなく只者じゃない!!

 なんでわかったの!? もしかして相手の心が読める特別な力とか持ってたりする?


「ほらやっぱり。訳ありなんでしょう?

 あなたの話をちゃんと聞かせて。

 夜はまだ始まったばかり。時間はたくさんあるわ。私はアリシャと同じくあなたの契約結婚の相手になるか、聞いてから決めたいの。

 それで構わないかしら?」


 こちらとしては願ったりだ。話すら出来ずに追い出されると思ってたし。


「俺としてはありがたいけど。信じてもらえるかどうか……」


「いいわ。あなたがどうして魔族っぽくないのか、その理由をちゃんと聞かせて。ただし」


 ゴクリ……


「ただし?」


「嘘をついたとわかれば、その場で殺すわ。

 魔力で劣っていても、変身魔法すら使えないあなたに遅れを取ることはないでしょうから」


 怖いことを平気で言ってくる。

 まるで氷を背中に何個も入れられた時の気分だ。冷たいんだよね、あれ。


 ともあれ、俺は前世で働いていた元人間で、過労死で神に魔王へ転生させてもらう。

 それからアリシャに召喚され、契約結婚。

 ついでに先代魔王の封印を解いちゃったことも含めて、もうとことん全部ゲロった。


 人間には知り得ない異界の知識や、女神しか知り得ない先代魔王の封印について知っているのが決め手だったのだろう。


 深く考え込むセイレスの表情は険しいが、そんな中でも整った顔立ちが全くバランスを崩さないのは流石は三女神の一人。ということだろうか。


 失礼なことを考えていると、アリシャが耳打ちしてくる。

 頭を近づけると、角が邪魔だったのか少し叩いてくる。しょうがねぇじゃん!

 俺だって好きで角生やしてるわけじゃないんだが!?


「クレイヴ。セイレスのこと、どう思う?」


「どうって、そりゃ綺麗なお姉さんに見えるけど」


「そんなこと聞いてるじゃないわよバカ」


 再び叩かれる。痛くない。


「セイレスが契約とはいえ、魔王のあなたと結婚してくれると思うかって聞いてるの」


 俺も小声で甘く囁く。


「どうだろうな……。俺はセイレスと結婚しても、ちゃんとアリシャとの時間は大切にするよ」


「きっっも!!」


 急に大音量で罵倒してくる。

 耳元で騒ぐなようるさいな。軽いジョークじゃん。


 青ざめながらアリシャが距離を取ったのを見て、セイレスがふふっと短く笑った。


「あなた達仲がいいのね」


 アリシャはすぐに顔を赤くして


「よくない!!」


 と否定したが、俺はここでさらにボケなければ。


「愛してるぜ! マイハニー!!」


 抱きつこうとすると、頬を思い切り叩かれる。

 かなり痛かった。人間にそのツッコミの強さは致命傷になるからな。絶対にやるなよ。


「何だか悩んでいるのも馬鹿らしくなってくるわ。いいわ。クレイヴ、新たなる魔王よ。

 私はあなたとの結婚を……」


 ウゥゥゥゥゥゥウウウウウウ!!!!!

 けたたましく鳴り響く、耳に残る音。

 もう夜も更けてきたってのに、どこかの馬鹿がお祭り騒ぎか? けしからん。いい雰囲気だったのに。


「この警報は、まさか……!!」


 セイレスが勢いよく窓を開けると、俺達が通った街の入り口付近で、赤い光がチカチカと揺れている。

 立ち上る黒煙はどこまでも伸びて綺麗な夜空を覆い隠すほどだ。


「もしかしてまずい状況?」


「ええ、とっても。

 ここは魔界から一番遠い国だから、街の防御をできる人間は本当に少ない。

 ここが襲われるということは……」


 セイレスが正直に俺を見る。

 やっぱりこの非常事態は魔王の俺がここにいるからデスヨネ。


 でもなんでここにいるのが先代魔王にわかったんだ?

 途中までアリシャの転移で移動したし、追跡なんてできないはずなんだけどなぁ。


 何らかの手段で、俺の居場所が割れてるならここから離れればもしかしたらついてくるかも。


「アリシャ! 転移ってすぐにできるか!?」


「魔法陣を描くから、どんなに早くても数分かかるわ! まさか逃げようとしてるんじゃないでしょうね!?」


 相変わらずひどい評価だが、言い方が悪い俺のせいだな。


「いや、俺達の居場所が割れてるなら、敵は真っ直ぐここまで来るはずだろ?

 街の被害が広がる前に……」


 説明が終わる前に、どこからともなく声が聞こえてくる。瞬間、セイレスの家が縦に割れる。


「みぃつっけた!! 

 アハッ! 外しちゃった!!」


 女の声と共に、真っ二つにした切れ目から一つの影が大剣とともに飛来した。

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