生贄少女の毒と恋とサバイバル
なろうラジオ大賞投稿作品のため1000字の超短編です。
「お前が今度の生贄か」
「はい、山の主様!ですが私はやせ細った子供にございます!齢もたったの十!まるで食いでがありません!ここは育つまで数年待つというのはいかがでしょうか!ご飯を下さると肉がついてより美味しくなります!」
「……ぶっ、あっはっはっ!命乞いにしちゃ愉快な口上だな。いいだろう、お前が育つまで待ってやろう」
「なんと!ありがとうございます!!では料理番は私にお任せください!ところで主様、神様である主様にも効く毒というのはありますでしょうか!?」
「やめろ笑いすぎて腹が痛い、俺を毒殺しようってか?」
「私は生き延びたいのです!」
「だからって殺したい相手に問う奴があるかよ。毒ねぇ、試したことがないからわからんな。まあ頑張って探してみろ」
「はい!」
※
「今日のお吸い物はいかがでしょうか?」
「このピリッとするの何だ?」
「それは百合の毒ですね。主様が買って下さった植物図鑑に載っていました」
「意外と美味いな」
「死にそうですか?」
「無理じゃねえ?」
※
「今日の混ぜご飯はいかがでしょうか?」
「この青いの何だ?」
「それは青蝶花の葉ですね。主様がこの間連れて行って下さった海の近くで見つけたのです」
「あぁ、お前がはしゃいで砂浜でコケたときか」
「あれは忘れてください……!」
※
「今日の焼き魚はいかがでしょうか?」
「どれが毒かわからんな」
「……いい魚が手に入ったので味を大切にしたくてですね」
「何だ、毒はナシか」
「……今日だけです」
※
「主様、主様」
「飯か?」
「はい、今日の晩御飯は私です」
「あぁ?」
「私も二十歳になりました。食べ頃です」
「……生き延びたいんじゃなかったのか?」
「私はもう、主様に毒を盛れません。もうずっと、何年も、毒だといってきたのはただの色付けです。……どうか食べてください」
「つまり───、求婚か?」
「は?」
「俺の妻になりたい、ちゃんと寝床で喰ってくれという話だろ?」
「違います!」
「いっておくが俺は生贄を食った事はない。どっちの意味でもな」
「は……?」
「人間が勝手に送り込んでくるから大人になるまで保護してたことはあるが」
「は……!?」
「お前もその内どこぞの街に置いてやろうと思ってたんだがな。毒だと言い張る様が愉快で……、いじらしくてな」
「気づいてたんですか!?」
「今ならまだ人の世に戻してやれる」
「……っ、たべてください!」
「寝床でか?」
「意地が悪い!」
「ははっ、怒るな。俺の愛しい妻よ」




