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転生したら世界で唯一複数紋章を内包できる【追憶の紋章】を授かっていた件 ~努力と想いを継ぐ紋章の力で運命をねじ伏せる~  作者: けん@転生したら才能があった件書籍コミック発売中
第1章 少年期 覚醒する紋章

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第2話 紋章と魔法と死因

 次に目を覚ますと、この前までの体調の悪さが嘘のようだった。

 どこも痛くないし、頭もスッキリしている。

 ただひとつだけ、気になることがあった。


(なんだ……この温もりは……?)


 ゆっくりと目を開ける。

 すると、俺を抱きしめながら眠っている銀髪の少女が目に入った。


 一瞬、誰だ? と思ったが、すぐにメナトの記憶が蘇る。


 ステラ。

 可愛らしい顔立ちで、笑顔がとても似合う妹。

 ――盲目の妹だ。


 生まれたときは視力があったが、徐々に失い、今では光を感じることも難しい。

 いつも、こうして一緒に眠るのが、メナトとステラの習慣だった。


(……それにしても、絵から抜け出したような美少女だな)


 ステラを起こすのは気が引けて、俺はベッドの中で静かに右手を掲げた。

 もう輝きは失っているが、そこには確かに涙のような雫の紋章が刻まれている。

 これは、一体……?


 メナトの記憶から知識を探ろうとした、その時。

 扉が、きぃ……と音を立てて開いた。


「メナト!? 大丈夫なの!? って……ステラまでここに? まだ、メナトと一緒に寝たらダメって言ったのに……」


 入ってきたのは、母のアイシャだった。


「うん、もう大丈夫みたい。心配かけてごめんね」


 子どもの声でそう答える。

 よかった……メナトの記憶が残っていて。

 もし何も知らなかったら、言葉一つ話すことすらできなかっただろう。


 アイシャが近づいてくると、俺の額に手を当て、さらに自身の額もくっつける。

 ち、近い……いかに母とはいえ、緊張……することはなかった。

 こんな美人にここまで近づかれても何も感じないということは、やはり俺は本当にアイシャの息子になったのだろう。


「……本当に熱が下がってる。昨日まであんなに高熱だったのに」


 昨日? ということは、転生してまだ一日しか経っていないのか?

 俺の顔に触れていたアイシャの手が、今度は右手の上をなぞる。


「本当に紋章を授かったのね……どんなに早くても十歳からだというのに……」


 俺の手を取る母の右手にも、紋章が刻まれていた。


「メナト、紋章についてちゃんと話をするから、ステラが起きたら、ダイニングにいらっしゃい。お母さんはご飯の支度をしておくからね」


 そう言い残し、アイシャは微笑みながら部屋を出ていった。

 しばらくすると、隣で寝息を立てていたステラが、ゆっくりと身体を起こす。


「お兄ちゃん……? 起きているの……?」


 俺の顔をぺたぺたと触って、確かめるように訊ねてくる。


「ああ、今起きたよ。おはよう、ステラ」


 小さな手を握り返すと、ステラがそのまま勢いよく抱きついてきた。


「お兄ちゃん!」


 細い腕が俺の背中に回され、小さな体が震えている。

 閉じた瞼の端から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。


「心配かけてごめんな。もう大丈夫だから」


「うん! 絶対だよ!」


 しばらくステラを好きなだけ抱かせてやってから、俺はステラの手を引き、アイシャが待つダイニングへと向かった。




「……ってことなの。紋章について分かった?」


 食事をとりながら、紋章や魔法、紋章師のことを教えてもらう。

 メナトの記憶にもあったが、曖昧で断片的だったため、今の説明でようやく整理できた気がする。


 この世界には魔法が存在する。

 魔法とは体験したこと、想像したものを、詠唱し、具現化する力。


 紋章は、その具現化の精度や威力を左右する重要な要素だ。

 中には特定の紋章を持つ者にしか詠唱できない魔法も存在するという。

 ただし、人を生き返らせたり、傷を癒やしたりということはできない。

 それは神の所業だからという理由だ。


 紋章師というのは、紋章を宿した魔法師のことを指す。

 紋章で強化された魔法は、魔法師の放つ魔法とは一線を画すため、敬意と畏怖をもってそう呼ぶのだ。


 誰でも紋章を授かれるものではなく、万人に一人くらいの確率らしい。

 ただ、紋章師同士が授かった子は、確率がぐんと上がるという。

 と言っても、二、三十人に一人くらいのようだが。


「うん、だいぶ分かったよ……ただ、僕の紋章は何て言うの?」


「……ごめんね。それがお母さんにもお父さんにも分からないのよ。どうしてメナトが六歳で授かったのかも。普通は十歳の誕生日に、魔力の覚醒と同時に紋章を授かるの。中には二十歳で授かったという人もいるけれど、早まったという話は聞いたことがないのよ」


 ってことは俺はもう魔法を使えるのか?


「メナト、魔力を感じない?」


「魔力?」


「そう、目を閉じて集中してみて? 体の奥に熱い何かを感じられない?」


 アイシャに言われるまま、目を閉じて意識を内側に向ける。

 ……あった。確かに、何かが流れている。

 熱くて、けれど不思議と心地いい感覚。


「うん、感じたよ」


「魔力を意識して、巡らせたり、一点に集めたり、細かく切り分けたり、形を変えたり……まずは上手くコントロールできるようになるのが第一段階。同時に文字とは別に魔法文字リテラ・マジカルも覚えなきゃね」


 文字とは違う魔法文字?

 メナトの記憶を探ってみるが、その知識はない。

 つまり、一から勉強が必要ってことだ。


 魔法と紋章についてはだいたい理解できた。

 だから、もう一つだけ、どうしても気になることを訊ねる。


「ねぇ、お母さん。僕が発熱した原因って、何だったの?」


「それが……分からないの。あの時はお父さんとお母さんが斥候任務で少し離れていてね。エルが血相を変えて、あなたを抱え、ステラの手を引いて戻ってきたの。そのときにはもう、あなたは高熱で意識を失っていたわ」


 エルというのは【曙光の鷹】のメンバーの一人。


 なるほど……その時、ホークとアイシャは近くにいなかったのか。

 て、近くにはステラがいたと……。


 ……俺にはひとつの確信があった。


 紋章を授かったあの瞬間、右手の紋章に吸収された紋様。

 剣……いや、ナイフのような形。

 そして、もうひとつは紫黒の液体――まるで毒のような紋様だった。


 あのナイフは間違いなく、前世で俺を刺した凶器。

 俺を死に至らしめたもの。


 ではもうひとつの紋様、毒は何を意味する?

 あれこそ、メナトを殺した原因ではないのか?


 メナトは、何者かに殺されたのではないか?

 普通に考えればそう思って然るべき。

 けれど、その誰か、さらに目的も分からない。


 だから今の俺にできることは、ただ一つ。


 力をつけること。

 力がなければ、また殺されるかもしれない。


 まずは、魔法の習得を目標に、アイシャに教えを乞うことにした。

よろしければブクマの方をお願いしますm(__)m

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