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世界が滅ぶまでにキスをしよう

最終エピソード掲載日:2025/11/08
世界が終わる日、僕は初めて、明日がほしいと思った。
――
 人が光になって消える病、終焉病。

 海辺の町・篠ヶ浜では、誰かが消えるたび、空に白い柱が立つ。
 消えた人間は、身体だけでなく、写真からも、記録からも、人々の記憶からも少しずつ失われていく。

 春日ユウは、妹・ミオを終焉病で失った少年だった。
 かつては陸上部の有望選手だったが、妹の死に間に合わなかった日から、走ることをやめていた。

 そんなユウの前に現れたのは、白石ナミという転校生。

 明るく、奇妙で、名前を呼ばれることが好きな少女。
 彼女の手首には、終焉病患者に現れる白い発光斑があった。

「ねぇ。世界が滅ぶまでに、キスをしよう」

 冗談のように笑うナミ。
 けれど彼女は、ただの患者ではなかった。

 白石ナミは、終焉病の発生源。
 消えた人々の記憶と名前を抱えた、世界の終わりを受け止めるための少女だった。

 ナミが人間らしく笑うほど、世界は壊れていく。
 ナミが誰かを好きになるほど、白い柱は増えていく。

 世界を守るためには、彼女を眠らせなければならない。
 それでもユウは、彼女の名前を呼ぶ。

 これは、終わりかけた世界で、忘れたくない名前を呼び続ける少年と少女の物語。

――
登場人物紹介

春日ユウ
妹を終焉病で失い、走ることをやめた高校二年生。ナミと出会い、忘れたくない名前を呼ぶために再び走り出す。

白石ナミ
終焉病の発光斑を持つ転校生。明るく奇妙で、名前を呼ばれることが好き。実は終焉病の発生源とされる少女。

春日ミオ
ユウの妹。終焉病で消えた少女。彼女の残したノートが、ユウをもう一度走らせるきっかけになる。

曽根大輔
ユウのクラスメイト。軽口が多いが情に厚い。焼きそばパンを通じて、消えた人の記憶をつなぎ止めようとする。

相沢悠
終焉病で消えたユウたちのクラスメイト。記憶から薄れていくが、名前と断片だけが残されていく。

榊玲子
国立存在災害研究機構の主任研究員。ナミを危険な存在として管理しようとするが、彼女自身も終焉病で娘を失っている。

松尾先生
ユウたちの担任教師。白石ナミという名前を出席簿に残そうとする、静かな理解者。
第五章 終焉病の少女
2025/11/07 21:10
第六章 忘れたくない名前
2025/11/07 21:15
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