第7章:舞踏会の華麗なる幕開け
エリザベスの部屋は、華やかなドレスとアクセサリーで溢れかえっていた。舞踏会まであと1時間。
サンドラ『きゃ〜!どれを着ればいいですの〜?エリザベス様の美貌には、全てが似合いすぎて困っちゃいますわ〜!』
シャーロット『落ち着いて。まずは状況を整理しましょう。私たちの目的は…』
ジャスティス『真実を暴くこと!ヴァイオレットの陰謀を阻止するのよ!』
シンデレラ『で、でも…綺麗なドレスも着たいな…』
「みんな、お願い。もう少し静かに…」
その時、今まで黙っていた傲慢な声が突然、大きく響いた。
傲慢な声『愚か者どもめ!貴様らに何が分かる!この私こそが、真のエリザベス・ヴァンデルビルトだ!』
「あなたは一体…」
傲慢な声『フンッ!この私の名を知りたいか?いいだろう、教えてやろう。我が名はレギーナ・メルカトル。高貴なる悪役令嬢、その極みを体現する者だ!』
サンドラ『あら〜、随分と大層な名前ですこと〜。でも、エリザベス様の華麗なる美貌には及びませんわ〜』
レギーナ『黙れ、下郎!』
エリザベスの頭の中で、レギーナとサンドラの言い争いが始まった。その時、ノックの音が鳴り響いた。
「エリザベス、準備はいいかい?」アルベールの声だった。
「あ、ああ、もう少し待って!」
シャーロット『落ち着いて。ここが正念場よ。みんなの力を合わせましょう』
ジャスティス『そうね。真実のために、力を合わせるわ!』
シンデレラ『う、うん。頑張ろう…!』
エリザベスは深呼吸をし、優雅にドアを開けた。
アルベールは息を呑んだ。「君は…まるで妖精のようだ」
サンドラ『おほっほっほ!当然ですわ〜。エリザベス様の美しさは、この世のものとは思えませんもの〜♪』
「あら、お世辞が上手ね。さあ、行きましょう」
舞踏会場に到着すると、全ての視線がエリザベスに集中した。ヴァイオレットが、意味ありげな笑みを浮かべながら近づいてきた。
「まあ、エリザベス。素敵なドレスね」
レギーナ『フン、貴様如きが褒めても何の価値もない』
「ありがとう、ヴァイオレット。あなたも素敵よ」
その時、学院長が登場し、声高らかに宣言した。
「さあ、舞踏会の幕開けです。そして、今宵の目玉…魔法の鏡の儀式を行います!」
会場が騒然となる。
シャーロット『魔法の鏡?聞いたことない儀式よ』
ジャスティス『きっと真実を映し出す鏡ね。これで全てが明らかに!』
シンデレラ『こ、怖いよ〜。でも、逃げちゃダメ…!』
「魔法の鏡って?」
アルベールは複雑な表情で答えた。「その鏡は、人の本質を映し出すんだ。エリザベス、君は…」
その言葉の途中、ヴァイオレットが割り込んできた。
「さあ、エリザベス。私たちで、最初に鏡の前に立ちましょう」
レギーナ『よかろう。この私の高貴さを、その鏡に刻み付けてやろうではないか』
サンドラ『あら〜、楽しみですわ〜。エリザベス様の美しさ、鏡が壊れちゃうかもしれませんわね〜』
エリザベスは、内なる声々を抑えつつ、毅然とした態度で鏡の前に立った。
魔法の鏡が輝き始める。そこに映し出されるのは—
「な、なんてこと…」学院長が絶句した。
鏡には、六つの顔が映し出されていた。サンドラ、シャーロット、ジャスティス、シンデレラ、レギーナ、そして…記憶を失う前のエリザベス。
会場が騒然となる中、エリザベスは鏡に映る自分たちを見つめた。
「これが…私?」
アルベールが驚きの表情で近づいてきた。「エリザベス、君は…」
ヴァイオレットは勝ち誇ったように叫んだ。「見た?これが本当のエリザベス・ヴァンデルビルトよ!六つの人格を持つ、狂った悪役令嬢!」
エリザベスの中の六つの人格が、一斉に声を上げた。
サンドラ『あら〜、バレちゃいましたわ〜』
シャーロット『冷静に。これは予想外の展開だけど、まだチャンスはある』
ジャスティス『真実が明らかになったわ。でも、これが終わりじゃない!』
シンデレラ『み、みんな…一緒に頑張ろう…!』
レギーナ『愚か者どもめ!この程度で私が屈するとでも思ったか!』
そして、最後の声。記憶を失う前のエリザベスの声が、静かに、しかし力強く響いた。
「私たちは、一つなのよ」
エリザベスは深呼吸をし、会場の全員に向かって声を上げた。
「そう、これが私。六つの人格を持つ、エリザベス・ヴァンデルビルト。でも、それがどうしたの?」
会場が静まり返る中、物語は新たな局面を迎えようとしていた。
ついに明らかになるエリザベスの六重人格!そしてその真意の程は……!