第5章:陰謀の糸
秘密の花園に集まったエリザベス、マリアンヌ、そしてアルベール。
緊張感漂う空気の中、マリアンヌが震える声で話し始めた。
「実は…昨日の毒は、ヴァイオレット伯爵令嬢が用意したものなんです」
エリザベスは目を見開いた。「ヴァイオレット?どうして彼女が…」
マリアンヌは俯きながら続けた。
「彼女、エリザベス様を恨んでいるんです。婚約者を奪われたって…」
サンドラ『はぁ〜? なにそれ、ダサすぎですわ〜。嫉妬で毒なんて、子供の遊びも良いところですわね』
シャーロット『待って。これは重要な情報よ。ヴァイオレットの動機は分かったけど、どうやって毒を仕込んだの?』
エリザベスは、内なる声に導かれるように質問を続けた。
「マリアンヌ、毒はどこで見つけたの?」
「エリザベス様の机の中です。でも私、間違えて触ってしまって…」
この言葉に、アルベールが思わず身を乗り出した。「エリザベスの机?それは…」
サンドラ『あら〜? アルベールったら、随分と興味深そうな顔してますわね〜。何か心当たりでも?』
アルベールは慌てて取り繕った。「いや、ただ驚いただけさ。エリザベス、君は無事で本当に良かった」
シャーロット『彼の反応、明らかに不自然よ。何か隠しているわ』
エリザベスはサンドラの口調で軽やかに言葉を紡ぎながら、アルベールを鋭く観察した。
サンドラ『まあ、アルベールの優しさには感謝ですわ〜。でも、エリザベス様はもっともっと真実が知りたいの。ねえ、アルベール?あなた、本当は何を知ってるの?』
アルベールの表情が一瞬凍りついた。その時、エリザベスの中で新たな声が響いた。
正義感のある声『今よ!彼の動揺に付け込んで、真実を引き出すのね!』
エリザベスは、その声に導かれるように立ち上がった。
「アルベール、もういい加減に正直になって。あなたは何を隠しているの?私を守りたいの?それとも…陥れたいの?」
アルベールは言葉に詰まった。その姿を見て、エリザベスの中の正義感あふれる人格が高揚した。
正義感のある声『よし!真実を明らかにするのよ。私の名前は…ジャスティス。正義の名の下に、全てを暴き出すわ!』
エリザベスは、ジャスティスの意志を受け継ぐように、毅然とした態度でアルベールを見据えた。
「話して、アルベール。全てを」
アルベールは深いため息をついた。「分かったよ、エリザベス。実は僕は…」
その瞬間、花園の入り口から物音が聞こえた。全員が振り返ると、そこにはヴァイオレット伯爵令嬢が立っていた。
ヴァイオレットは冷ややかな笑みを浮かべながら言った。「まあ、皆さんお揃いで。秘密の会合かしら?」
エリザベスの中の人格たちが騒然となる。
サンドラ『あらら〜、主犯格が登場ですわ〜! これはスリリングな展開になりそうですわね〜♪』
シャーロット『冷静に。ヴァイオレットの出方を見極めて』
ジャスティス『悪を成敗するときね!エリザベス、私に任せて!』
臆病な声『こわい…でも、もう逃げちゃダメ…!』
エリザベスは、内なる声々を調和させながら、ヴァイオレットに向き合った。
「ヴァイオレット、たった今、あなたの仕業だと聞いたところよ。どう説明するつもり?」
ヴァイオレットは優雅に髪を掻き上げながら答えた。「説明?そうねぇ…」
彼女の唇が不敵な笑みを形作る。「認めるわ。でも、それがどうしたの?」
この予想外の展開に、花園は静寂に包まれた。エリザベスは、自分の中の五つの人格全てが、次の一手に備えて息を潜めているのを感じていた。
真実はまだ見えない。しかし、エリザベスは確信していた。この瞬間から、全てが明らかになっていく—。
ついに犯人!!しかも白々しく白状している!一体どうなるのでしょう