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第4章:秘密の花園

マリアンヌへの毒事件から一夜明け、エリザベスは学院の秘密の花園にいた。ここなら誰にも邪魔されずに、自分の状況を整理できると思ったのだ。


「さて、まずは私の中の人格たちと話し合わないと」


エリザベスは目を閉じ、意識を内側に向けた。


サンドラ『おーっほっほ! 私たちのお茶会が始まるというわけですわね〜』


「ええ、そうよ。まずは、あなたたち一人一人の名前を教えてもらえるかしら?」


傲慢な声『はぁ? 名前なんてどうでもいいでしょう。私たちは全て、高貴なるエリザベス・ヴァンデルビルトなのよ』


冷静な声『いいえ、名前は重要です。個々の人格を区別することで、より効率的なコミュニケーションが可能になります』


臆病な声『え、えっと…私は…』


正義感のある声『待って! 本当に名前を明かして大丈夫なの? これって罠じゃ…』


エリザベスは困惑しつつも、粘り強く説得を続けた。


「お願い。あなたたちのことをもっと理解したいの。それに、お互いを呼び合う時に便利でしょう?」


しばらくの沈黙の後、冷静な声が口を開いた。


『分かりました。私の名前は…シャーロットにしましょう』


シャーロット『論理的思考と戦略立案が私の役割です。よろしくお願いします、エリザベス』


エリザベスはほっとした表情を浮かべた。


「ありがとう、シャーロット。他の皆さんも、準備ができたら教えてね」


その時、花園の入り口から物音が聞こえた。エリザベスが振り返ると、そこにはアルベールが立っていた。


「やあ、エリザベス。こんな所にいたんだね」


アルベールは優雅に近づいてきた。エリザベスは警戒心を抱きつつも、サンドラの人格が前面に出た。


サンドラ『おやおや〜? アルベールったら、わざわざエリザベス様を探しに来てくださったの? なんて光栄ですこと!』


アルベールは少し驚いた様子を見せたが、すぐに平常心を取り戻した。


「ああ、君のことが心配でね。昨日のマリアンヌの件もあったし…」


シャーロット『注意して。彼の言葉に偽りがあります』


エリザベスは、サンドラの口調を維持しつつ、慎重に返事をした。


サンドラ『まあ〜! アルベールったら、心配性ですわね〜。でも、エリザベス様はちょーっとばかり忙しいの。悪役令嬢としての計画を練らなきゃいけませんもの♪』


アルベールの表情が一瞬曇ったのを、エリザベスは見逃さなかった。


「そう…かい? 僕にも手伝えることがあれば…」


サンドラ『あらあら〜、そう言ってくれるのは嬉しいですわ。でも、まずはアルベールの本当の気持ちを聞かせてくれませんこと? 婚約者として、ね?』


アルベールは明らかに動揺した。彼が何か言いかけたその時、マリアンヌが慌てた様子で花園に飛び込んできた。


「エリザベス様! 大変です!」


エリザベスは驚いて振り返った。


「どうしたの、マリアンヌ?」


マリアンヌは息を切らせながら説明を始めた。


「昨日の毒…あれは、エリザベス様を狙ったものだったんです! 私は巻き込まれただけで…」


この衝撃的な告白に、エリザベスの中の人格たちが騒然となった。


サンドラ『なんですって!? エリザベス様を狙うなんて、許せませんわ!』


シャーロット『冷静に。これは重要な情報です。詳しく聞き出しましょう』


正義感のある声『犯人を見つけ出さないと!』


臆病な声『こわい…みんな、私を守って…』


エリザベスは、混乱する内なる声々を抑えつつ、毅然とした態度でマリアンヌに向き合った。


「落ち着いて、マリアンヌ。詳しく話してくれる? そして…」


エリザベスはアルベールに鋭い視線を向けた。


「アルベール、あなたもこの話を聞いていってちょうだい。婚約者として、エリザベス様の身に危険が迫っているのを見過ごすわけにはいかないでしょう?」


アルベールは複雑な表情を浮かべながら頷いた。


花園に集まった三人。エリザベスの中の五つの人格。そして、明らかになりつつある陰謀。物語は、予想外の展開を見せ始めていた。


まさかの狙われていたのはマリアンヌではなくエリザベス!! 一体黒幕の正体はっ…!

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