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最悪な再会

 原初の地──空に浮かぶ島・アルター。


 緑豊かであり、健やかな時が流れる一国。結界が施され、人々に視認される事のない此処は神が住まう島である。


 長きに渡る平安と調和を体現し、成功を収めた──筈だった。


「ま、待ってくれよ。なんで俺が追放!?それに今は身内で揉めてる場合じゃないだろ?」


 緊張感、そして絶望を帯びた声音が一室に響く。だが、その声に同情を見せるものは一人も居らず、机を叩き立ち上がった青年を円卓を囲い座る皆が冷ややかな目で睨みつけていた。


 彼等の態度を見た青年──エルレ・エピゾは口の端を噛み締め、美しい蒼白色をした瞳に悔しさを宿す。


「お前は戦力外。そんな事、我が言わなくても分かるだろ?」


 同情も一切感じられない声を発したのは、アルターを治める王。そして、エピゾの父でもある男──エルレ・エデンだった。


 庇う訳もなく、ただただ現実を端的に押し付けるエデンの言葉に周りも軽く頷く。


 エピゾ自身もエデンが言っている事が理解できない訳では無い。確かにほかの神に比べたら力は無い。加えてエルレの名を冠する家系は武神の二つ名を持つ。



「だけれど、今は」

「こんな時だからこそ、だ」



 アルターは今、地上を喰らい尽くした魔神により壊滅的な被害にあっていた。連日続く激しい戦い。夜襲や奇襲は日常茶飯事。多くの仲間が死んだ。多くの民が命を奪われた。それを承知で追放を受け入れられるほど非情ではなかった。


 どうせ散る運命なら──


「俺だってエルレ家らしく、この島で!!」

「くだらん。お前は追放だ」


 エデンは立ち上がると手のひらをエピゾに翳す。


「まってくれよ、親父!!」


 エデンの手のひらを中心に神力が集まってるのを感じ、エピゾは焦る。なんとかこの場を切り開かなくては。


 ありとあらゆる言葉が脳裏を駆け巡るが、どれもが意味をなさないと喉を通らない。このまま何もせずに、力になれずに武神としての誇りも完遂できないまま終わるのか。そんなことは絶対に嫌だ。なにか、なにかないか。


 エピゾが神力が溜まりきる刹那に思考を巡らせる最中、扉が激しい打撃音と共に開く。


 床には一気に赤い血溜まりができ、その先では穴という穴から血が吹き出し絶命している兵がいた。


 この場にいる誰しもが扉の先に視線を向ける。ある者は、剣を鞘走らせ。またある者はエデンを庇うように場所を取り。


 緊迫した時間が流れる中、足音が不穏な音を響かせる。


「お前はッ……」


 エデンの声が震え、明らかに動揺しているのが分かった。


「あらら、皆さんやはりこちらでしたか」と、血糊を払う青年は涼やかな声音を発する。


 兜から覗かせる瞳には、明確な敵意が宿っていた。確信出来るだけのオーラが全身からも滲み出ている。ここから誰も生きて返さないと、言葉に出さずも。


 間違いなく彼は敵だ。今この場で殺さなければならない存在だ。理性がそう働きかけても、本能が震えた手で剣の柄を握る事を許さない。


 ──黒い鎧を纏う青年をエピゾは知っていた。


「フィン……なのか!?なぜお前が」


 騎士団・グローリアの団長を務めていた者であり、エピゾの双子の弟。数ヶ月前のスルゲレ平野大戦時に、消息を経ったはずだった。


 ──それが何故。


「誰かと思えば、これはこれは落ちこぼれの兄様じゃないですか」

「……父さん!コイツはフィンだ!きっと操ら──」

「れてないですよ。これは僕の意思。この国を滅ぼすのがね」


 刃を父であるはずのエデンに躊躇いもなく向ける。そんな弟の姿を見てエピゾが平然としてられるはずもなかった。

 咄嗟にフィンの元に駆け寄り、剣を握った手を掴む。


「馬鹿な真似は辞めろ。なにか事情があるんだろ?」

「事情……?なんだよ、その目は。僕を馬鹿にしてるのか?」

「馬鹿になんか」

「いいかい?兄様……いや、エルレ・エピゾ。君の君たちの知るフィンはあの時死んだ。助けにも来ず、後衛で支援だけをしてた貴様に僕の何がわかる?」


 乱れる情緒に荒れる語気。それでもエピゾは今ある光景を受け入れる事が出来ずにいた。


「いいから」

「フィン、正気になれ。家族で力を合わせて」

「いいからその手をどけろ!!」


 フィンは豪快に手を払う。


「なっ。俺はお前の兄で家族なんだぞ!!」

「煩い。僕に兄は居ない。邪魔をするならまずは、お前から殺してやる!!」

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