1話 無職のオッサンが勇者に転職!?
作品整理してます。
ハローワークから出て照り付ける太陽から顔を守るために手を翳す。
珠の休みを利用して、転職先を探しにきたのはいいがろくなものが見つからない。
もう40歳を過ぎている人間を雇うような会社はそう簡単には見つからないか。
視界がぼやける。
隈ができた目をこすり視界を保とうとするがうまくいかない。
世界が歪んでいく。
体調不良か?
「やべえな」
一言発した直後、世界がぐるりと回転し、周りが真っ白になった。
いや、倒れたわけでもないし気を失ったわけでもない。
視界を覆い尽くす白い空間が現れたと言っていいだろう、道路を走る車の喧騒がなくなっている。
むしろ、静寂が耳に突き刺さる。
視界は未だにぼやけているが、目の前に人がいることはわかった。
思考は、混乱の極地にあったためにすぐそこにいる人物に問いかけるのは当然だった。
「これは夢か? 白昼夢?」
視界がぼやけてはっきりと見えないがその人物は問に答えてくれた。
「いいえ、夢ではありませんよ」
聞いたことのないとても清らかで真っ白な声に驚いた。
その声は、混乱を洗い流すように心臓に脳に染み込んでくる。
「ここは、【アクセル】という世界の神の間となっています」
そうですか~【アクセル】という世界ですか~。
「……はい?」
何、突拍子のないことを言っているんですかこの目の前の人物は、徐々に視界が定まってきて目の前の人が女性ということが分かったが、まだ視界が定まりきらないため顔がはっきり見えない。
「私の名前は、アドナイと申します。
あなたは、あなたがいた世界からこの世界、【アクセル】に召喚されました。 突然のことで申し訳ありませんが、この世界を救っていただけないでしょうか?」
呼び出しておいて、救っていただけないでしょうか、ですか。
「え?」
としか答えようがない。 いきなり過ぎてついていけない。
次第に、目の前の女性の顔がはっきりしてきた。
そして、その顔を見て心臓が爆発したかのように跳ね上がる。
目の前の柔和な笑みを浮かべた女性は、一言で言うなら女神だった。
迂遠な言い回しを必要ないほどに美しくどのような美辞麗句を並べようとやはり目の前にいる女性を表現するのは女神以外の何物も不適切だと思った。
さっきの質問が再び脳に戻ったときに即座にこう言った。
「じゃあ、世界を救ったら、俺と結婚してください」
言った後で、まるで自分が言った言葉じゃないように思えた。
俺って、超が着くほど草食系だったはずなんだよな。
俺の言葉に女神は一瞬目を開くがすぐに微笑を取り戻し。
「いいでしょう」
とすぐに頷いた。
いやいやいや、自分で言っといてなんだが意味がわからん、世界を救う代わりに結婚しろとかどこの神話だよ。
けどこの女神を嫁にできるのなら大抵のことはなんでもできそうだ。
しかし、助けると言っといてなんだが全く状況はわからない。
「……で、助けるとは? 具体的にどうすればいい?」
「はい、説明させていただきます」
女神が左手を手のひらを上になるように肩の位置まで上げて、ゆっくりと話し出す。
「まず、あなたには勇者として【アクセル】に降りて頂きます。 【アクセル】は、今、種族バランスが崩れており、人族の数が減っています。 その原因である魔族が数を増やしており、人族以外の種族も被害を受けています。 ただそれだけならば異世界の者を勇者として召喚する必要はなかったのです」
「じゃあなんで俺を召喚したんだ?」
「はい、本来は【アクセル】に存在する勇者がバランスを取り戻します。
しかし、魔族は今、破壊神を招来しようとしているのです。 破壊神は【アクセル】に存在する者では倒すことが出来ません。 なのであなたにお願いすることは、破壊神の招来の阻止あるいは招来された破壊神の撃破です」
「で、具体的にはどうすればいいんだ?」
「まず、あなたには固有スキル『万能の職種』を与えます。 そしてそのスキルを使い自分自身を鍛えつつ私の願いを叶えてください」
「どんな能力なんだ?」
「十分な強さになるまで天使がついていますので実地で聞いてください」
「天使?」
「私の部下です」
神さまなら天使が部下でも不思議はない、か。
「他のスキルはないのか?」
「はい、その人の特性によって固有ジョブは変わります。
あなたの特性上このスキルになりました」
「わかった」
幾つかの質問に答えてもらい納得したところで女神が尋ねる。
「これからあなたを召喚した者のところへ送り出します。 他に何か質問はありませんか」
「ことが終わったらどうやって迎えに来ればいい?」
女神は、一瞬フリーズして
「こ、ことが終わったらまたこの場所に召喚いたします」
「わかった」
「で、ではご武運を」
「え? まだ質問g
最後は、有無を言わさずに視界が真っ白に包まれたのであった。