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第22話 ホルテックにて

 それから2日が経った。

 レイナがヨルムンガンドの件でやってきたのはこの頃だった。


 「ゼド様、妖精の洞窟に向かっている最中に、ヨルムンガンドという巨大な蛇に、邪魔されて困っています。ゼド様が、世界の創始者であることを証明できるかと質問されて困っています。」


 「そうか、俺が行ったら解決するのか?」


 そして、トールがこう言う。


 (ヨルムンガンドが出ただと?我も行こう。奴とは浅からぬ因縁がある。)


 まあ、この件は第18話をもう一度見てもらえば判ると思うが、トールとヨルムンガンドは7日7晩の間戦い続けることになった訳で、俺は町へ戻って来ていたのであった。


 それから3日後、ヒュドラが、俺達の町へやって来たので、今度はホルテックの街へ連れて行ってもらうよう頼んだ。

 

 「なあ、ヒュドラさんよ。今日は、ホルテックの町まで連れて行ってくれないか?」


 「良いとも。肉をくれたらな。」


 「ああ、肉なら大鬼族(トロル)に用意させてるから、ちょっと待っててくれ。」


 (しばら)くすると、大鬼族(トロル)が捕えた魔獣を持ってきた。


 ヒュドラは、いつもの様に肉を食べ、俺を背中に乗せて空へ飛び立つ。


 空の上で、俺はヒュドラに問いかける。


 「なあ、ヒュドラよ、この前頼んだ件を覚えているか?」


 「・・・」


 「10万もの悪魔の軍勢が俺達の町に攻めてきそうなんだよ。一緒に戦ってくれる仲間を探しているんだ。竜種には、仲間になってくれそうなやつはいないか?」


 そう、俺は、第11話でヒュドラにこの件を依頼していたのであった。

 しかし、ヒュドラにとっては他人事なのか、忘れてしまっているようである。


 「そうだな、竜種自体が珍しいからな。群れる訳でもないから、判らんな。」


 どうやら、竜種の応援はあまり期待できそうにない。

 今の戦力としては、大鬼族(トロル)が250人(進化する予定)、ゴブリン族が200匹、リザードマンが併せて1万人、それに炎聖霊ヘパイストス、雷聖霊トール、光聖霊ヘイルダム、水聖霊サラスヴァティーの4聖霊である。

 まだまだ、10万もの悪魔の軍勢を相手するには、戦力が足りないのである。

 俺は、ホルテックの街に辿(たど)り着いた。

 ホルテック、そこはザバン同様、オーク達の住まう街だった。

 俺は、この街からの協力を得るため、この街を統べる者を探すことにした。

 

 「こんにちは!俺はゼドと言うんだが、この街に王は居るのかい?どこにいるか知ってたら教えてくれないか?」


 「この街には、王は居ない。貴族が居て、貴族だけがなれる議員達が、この街を治めているんだ。」


 「そうか、ありがとう。助かったよ。」

 

 どうやら、王は居ないようなので、話が進めにくい。

 兎に角、貴族の中でも有力な貴族がいるはずである。

 その貴族にコンタクトをとるしかない。

 

 「やあ、こんにちは。この街で一番有力な貴族って誰か知ってる?知ってたら教えて欲しいんだけど。」


 「一番有力な貴族と言えば、シャルル・ド・ホルテック様だな。お屋敷に行けば会えると思うよ。」


 「そのお屋敷って、どこか知ってる?」


 「ああ、その通りを真っすぐ行って、突き当りを右に行った先にあるよ。」


 「ありがとう。」


 俺は、シャルル・ド・ホルテックの屋敷前に来た。

 鉄製の立派な門があり、玄関に行くまでの間の庭園も見事である。

 玄関のドアをノックすると、執事らしきオークが扉を開けてくれた。


 「俺は、ゼドと言って、此処(ここ)から南の方角で町作っている者だが、上位悪魔が町に現れた件で話があるんだが。」


 「詳細をお話頂けますか?」


 「実は、上位悪魔5人が俺の町に現れて、4人は倒したんだが、捕虜にした1人の悪魔が話すには、1年以内に10万もの悪魔の軍勢が攻めてくると話しているので、各都市に協力を要請しているんだ。」


 「それはそれは、少々お待ちください。」


 そう言うと執事は、屋敷の奥に入っていき、(しばら)くすると戻ってきて、俺は屋敷の奥の部屋に案内された。

 部屋に通されると、窓から外を眺めるオークロードが一人。

 こちらを振り返り、こう言う。


 「貴方がゼドか。」


 「そうです。はじめまして、シャルル・ド・ホルテックさん。」


 「10万もの悪魔の軍勢があなたの町を攻めてくるという風に聞いたんだが、本当かね?」


 「正確には、俺達の町じゃなくて、この世界に対して攻めてくるということです。」


 「ふむ。私達も全く関係が無いという訳じゃないということか。しかし、その話が本当だという根拠はあるのかね?」


 「今のところ、リザードマン達の街から1万の兵の協力を得る話になっています。

 その他の戦力としては、俺達の町には250人の大鬼族(トロル)、200匹のゴブリン、炎聖霊ヘパイストス、雷聖霊トール、光聖霊ヘイルダム、水聖霊サラスヴァティー等の戦力が集まっています。

 それに、上位悪魔は転移魔法を使用できます。

 その転移魔法を応用して、別の宇宙から悪魔の軍勢がやってくるという話をしています。


 実は、俺はこの宇宙を創った者なのです。ですから、他の宇宙から悪魔がやってくると聞いても信じることが出来るのです。

 それに、聖霊達の中には、俺が創造者であるということを認識して仲間になってくれた者もいます。」


 「うーむ、話が大きすぎてよく判らんが、どうやら10万もの悪魔の軍勢が攻めてくる根拠は無いということになるな。」


 「証明する方法はありませんが、転移魔法でその悪魔の元へ貴方を連れていくことは出来ます。」


 「何?転移魔法を使えるというのか?」


 「はい。捕えた上位悪魔から転移魔法の使用方法を聞き出して習得しました。その転移魔法で、貴方を俺達の町へ連れていくことは可能です。」


 「それは興味深い。是非とも連れて行って欲しい。」


 「判りました。では、今から転移ゲートを開きますので、入ってください。」


 それだけ言って、俺は転移魔法を使用して、シャルル・ド・ホルテックを俺達の町へ連れて来たのであった。

 シャルル・ド・ホルテックは、興味深げに俺達の町を眺め、そしてこう言った。


 「その悪魔はどこだ?」


 「此方(こちら)です。」


 こうして、俺達は、集会所へ向かった。

 集会所に着くと、捕えている悪魔に精神結界魔法のやり方を尋問しているジルがいた。

 少し、ジルには休憩してもらうことにして、俺は悪魔に念話でこう言った。


 (何度も聞くことになるが、1年以内に10万もの悪魔の軍勢が攻めてくるというのは本当なのか?)


 (何度も何度も、本当だと言っている。信じるも信じないもお前達次第だ。)


 そして、俺達は転移魔法でホルテックの街へ戻ったのであった。



世界地図

挿絵(By みてみん)

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