第13話 進化 &世界地図
最後に世界地図を掲載しました。
これで、ドワーフの鍛冶師が合計7人となり、今後、建物の基礎工事、武具製作、上下水道施設に必要となる配管設備等の建設が捗ることだろう。
それに、世界地図も手に入った。
地図を見ると、今まで知らなかった街がある。今度、ヒュドラに乗って行ってみるとしよう。
岩塩の採取及び販売は、ゴブリン族の幹部であるゴブノンと妖鬼族の幹部であるグラントに任せることにしようと思う。
なので、既に転移魔法を使用できる妖鬼族の幹部であるジルには、グラントに優先的に転移魔法を教えておくように指示した。
グラントが転移魔法を使用できるようになったら、俺が最初の1回だけ、グラントを岩塩の洞窟とドワーフの街まで転移魔法で連れて行けばいいだけの話なのだ。
そう言えば、そろそろ俺達の町にも名前が欲しい。
世界地図を見てみると、ドワーフの街には「アイアロン」という名前が、オーク達の町には「ザバン」という名前が付いていた。
幾つか候補を挙げて、皆の投票で決めることにするか。
俺は町の名前を何にしたら良いか、案を考えた。
1.「ヴェリェス」(様々なという意味)
2.「ディバーシティ」(多様性のあるという意味)
3.「モンスターズタウン」(妖魔の町という意味)
4.「クリエイション」(創造という意味)
5.「ニュークリア」(新しいと創造という意味から作った造語)
6.「ムラムラ村」
7.「俺達の町」
8.「( ゜Д゜) 町」
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色々考えた結果、俺は、まだ町の名前は決めなくて良い、と言う結論に至ったのだった。
俺は、集会所に向かい、上位悪魔から結界魔法について何か聞けたか確認を行った。
どうやら、魔法の使い方を色々と話してはいるようであるが、まだ使えるようにはなっていないらしい。
こちらは暫く様子を見ることにする。
3日後、オーク達の町ザバンに使者として向かわせていた妖鬼族が帰ってきた。
目的通り、オークロード(トールキン)に悪魔の軍勢が攻めてくることは伝えてきたようである。
それにしても、この町のゴブリン達の様子がおかしい。何だか以前よりも逞しくなっているようなのである。
特に、初期の頃からいるゴブリンが身長も高くなって体格も良くなっているのだ。
食生活の影響だけだと考えるにしてもおかしい状況である。
よくよく見れば、ゴブリン達のリーダーであるゴブリと同じような背格好になっている。
これは、ゴブリン族からゴブリンリーダーに進化しているようである。
最近この町にやってきたゴブリン達と比較すると、進化していることは一目瞭然なのだ。
何故、このゴブリン達は進化することが出来たのだろう?
俺と一緒にいた時間が長い者ほど進化している?
ふと、そういった考えが頭を過った。
俺は、ゴブリを呼んでゴブリの頭に手を翳し、虚無のエネルギーを分け与えた。
すると、何と、種族としてはゴブリンリーダーであったゴブリが、ゴブリンロードに進化したのだった。
進化に伴い、身長・体躯ともに大きく成長したのである。
俺の中の虚無のエネルギーが、少し減ってゴブリの進化が完了した。
これは大発見だった。
虚無のエネルギーがあればあるほど、仲間を進化させることが出来るのかもしれない。
しかし、それでは俺の中の虚無のエネルギーは減っていく一方である。
ん?待てよ。以前、虚無のエネルギーが増えたことがあったな。
雷聖霊トールと戦った時のことである。あの時、虹雷の槌を虚無のエネルギーで喰らった時に虚無のエネルギーが若干増えた気がする。
もしかして、虚無のエネルギーで魔法攻撃を喰らってしまえば虚無のエネルギーが増えるのだろうか?
俺は、妖鬼族のグラントを呼んだ。
「なあ、グラント、確か雷属性の攻撃魔法が使えたよな?
俺に対して魔法攻撃をしてくれないか?」
「え!マジですか?どういう意味です?」
「俺の虚無のエネルギーで、魔法攻撃を吸収してみたいんだよ。」
「ああ、そういう意味ですか。吃驚した。」
グラントの奴め、何に吃驚したというのか。
俺は、屋外に出て虚無のエネルギーで盾を造る。
「じゃあ、行きますよ。
落雷!!」
結果はダメだった。
新たな虚無のエネルギーを吸収することは、出来なかった。
次に、トールを呼んで雷光の槌で攻撃をしてもらうことにする。
「さあ、準備はいいぞ。トールよ、頼む。」
「雷光の槌!」
ダメだ・・・。これでも虚無のエネルギーが増えることは無かった。
「じゃあ、次は虹雷の槌を頼む。」
「虹雷の槌!」
おお!僅かに虚無のエネルギーが増えた。
虹雷の槌は、雷以外の6属性(火・風・水・土・闇・光)の魔素力を雷に纏まとわせ、如何いかなる精神生命体にもダメージを与える雷聖霊トールの最強技である。
俺は、思いついた。
俺は、この世界の大気を虚無のエネルギーで満たし、それは聖霊力と魔素力になったのであるから、聖霊力と魔素力を同時に吸収することで、虚無のエネルギーを回復することが出来たのではないか、と。
要するに、トールの攻撃は、光属性の部分は聖霊力を基にしているのではないかと。
「トールよ、もしかして、虹雷の槌の光属性攻撃は聖霊力を使っているのか?」
「ああ、よく判ったな。確かに聖霊力を用いているぞ。」
「一度、光属性だけで攻撃してみてくれるか?」
「ああ、良いだろう。」
結果はダメだった。
やはり聖霊力だけでは、虚無のエネルギーは回復しない。
俺は、精神を集中し、周囲の魔素力と聖霊力を同時に吸収しようと試みる。
僅かに回復していくようではあるが、トールの攻撃と比べると微々たるものだ。
取り敢えず、俺はトールに5回虹雷の槌を使ってもらって虚無のエネルギーを確保した。
そして、妖鬼族の幹部5人を呼んで、虚無のエネルギーを分け与えた。
すると、5人とも妖鬼族から大鬼族に進化した。
進化に伴い、見た目もかなり格好良くなっている。実力も相当上がっていることだろう。
この調子で妖鬼族を全員進化させると凄いことになりそうである。
目下の問題は、光属性の攻撃魔法を使える者がトール以外にいないということだ。
聖霊力から産まれた天使や精霊・聖霊が仲間にいれば、光属性の攻撃魔法を使用できるかもしれない。
世界地図も手に入れた訳だし、ヒュドラに乗って各地で天使・精霊を探すことにしよう。
トールの魔素力・聖霊力も限りがあるので、1日5人ずつ進化させていくことにする。
翌日、ヒュドラがやってきた。妖鬼族が用意した肉をヒュドラに与え、今回行ってもらう先を伝える。
目的地点は、東の町ハピネスである。
と、その前にトールに5回虹雷の槌を使ってもらって、妖鬼族5人を大鬼族に進化させた。
これで町の守りは十分であろう。
俺は、大鬼族2人を連れて、ヒュドラの背に乗せられて出発したのだった。
今回は、地図で見るに4時間は飛ばなければ着きそうもない遠方の場所である。
ヒュドラには多少気の毒だが、まあ飛んでくれるだろう。
1度行ってしまえば、転移魔法で何度でも行き来できるのであるから、便利な能力を手に入れたものである。
そして、予想通り、4時間後俺達はハピネスの町に到着したのであった。
世界地図