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転生受付会場

多分、二万文字で区切りになる予定。一話一話は少なめ。

 真っ白な部屋にポツンとフロントがある。受付の前の机で、ようやく自分の番が回ってきた青年と少女がなにやら話をしてるようだ。その様子を太った中年のおっさんが恨めしそうに見ている。その小太りの彼は、自分の受付番号を確認する。彼の番号は一億七千万番。先は長そうである。


「う~むむむ」


 なんだこいつ、見た目は子供だな。死んでしまったことはいいものの、といってもまあ未練はあるが、いつになったら天国へ行けるんだろう。いや、それとも地獄だろうか。そうだな、仏教的価値観に沿えば、俺は賽の河原で積み木染みた苦行を行うことになるし、キリスト教的価値観に沿えば、俺は辺獄とかそこら辺に放り込まれるのだろう。そのどれでもいいから、早く手続きを済ませて欲しい。


「おいお前」

「およ?」

「そう、そこのガキ。早く閻魔様か誰か知らんが合わせろ。どれだけ待ったと思ってるんだ」

「さあ、人間の体感は知らんのです」

「そうか、なら教えてやろう。もう三日だ。てめえはなんだ、受付か? みんな待たされてんだが」


 親指の先には終わりの見えない行列が続いている。


「なんと、私は神である」


 なんの神だろう。日本は八百万の神というし、ロリコンどもの神様なのかもしれないな。自分自身、何故こいつの元に飛ばされたのか思い当たることがあるし。少女は机上の水晶玉に手をかざす。するとホログラムのように俺の個人情報が浮かんだ。


「はっ、でましたわい」

「えらいおっさんみたいな、言い回しだな、ガキ。何が出たんだ?」

「あなたのspecです」

「ほーん、見せてもらおうか」


〈斎藤の個人情報の抜粋〉

 斎藤 竜

 レベル1

 特技 早食い

 性格 普通

 耐性 ストレス

 生息地 座標二十二

 

「レベル1、この俺がレベル1? ガキ、やり直せ」

「無茶言わんでください、あなたは十七のガキで経験を積んで無いんでな。そりゃまあ、妥当といったところですわ」

「ガキって、お前何歳だ?」

「さんびゃく………………。忘れた」

「三百歳ちょいなのに、その見た目なのか。やっぱお前、ロリコンの神だろ」

「失礼な。本業は縁結びである」

「おおっ! と思ったが普通だな」


 縁結び、と言えば伊勢神宮か。あそこに神様が集まるのは確か縁結びをするためだったかな。召集できるほどいるなら、日本において縁結びの神は普通だな。


「では、来世をうらないます」

「ザリガニとかだったら、お前を殺す」

「人間以外でないので、安心しなさいな。今より悪くはなりませんわ」

「それはどういう意味だ? これ以上、ひどくなりようがないってことか?」

「むむっ、出ました!」


〈個人情報抜粋〉

 斎藤

 レベル1

 特技 デバフがかかりやすい。

 性格 普通

 耐性 ストレス

 生息地 座標三十五


「おい、なんで水晶玉に呼び捨てにされてんだ、俺?」

「では、斎藤、行ってらっしゃい。座標三十五は|剣と魔法《ブレード アンド ソーサリー》の世界ですぞ」

「お前も呼び捨てか。生意気いうんじゃねーぞ、ガキ。てーか、デバフがかかりやすいって、かなり悪化してるじゃねーか。それとそれとだな………………」


 少女がパチンと指を鳴らすとたちまち世界が暗転した。頭上から降るスポットライトの光だけが俺と俺の周りを照らしている。次にダンッというスイッチの切り替えのような音が響く。すると、スポットライトから先に異世界が現れた。月明りで石畳がうっすら視認できる。


「ここが来世なのか?」


 一番の光源であった舞台を照らすあのライトがふいに消える。これであの世とこの世ならざるこの世との接点は完全に消えたのだ。もうあの少女に会うことはないだろう。漠然とそう思った。



今日から書くぞ!

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