77.予想外の状況下
二日後…
エリーゼ達は王宮へと訪れていた。
「メディス伯爵家の皆…足を運んでいもらいすまなかったな…。礼を言う。」
ガストンがエリーゼ達へと言った。
「陛下…とんでもございません。」
マイクが頭を下げながら言った。
「エリーゼ嬢…その後体調や怪我の具合はどうだ?」
ガストンがエリーゼの方を向き心配そうな表情を浮かべながら尋ねた。
「はい…。陛下…。体調の方は随分良くなりました。怪我の方もお陰様で回復傾向にございます。」
エリーゼはガストンへと応えた。
「そうか…。それは良かった。」
ガストンはホッとした表情を浮かべながら応えた。
「怪我の傷は痕になり残ったりはしないのよね?」
アイリーンがとても心配そうにエリーゼへと尋ねた。
「はい。王妃様。お医者様の話ですと傷跡は残らないとのことでした。」
エリーゼはアイリーンへと応えた。
「そう…。それならば良かったわ…。」
アイリーンがホッとした表情で応えた。
「エリーゼ嬢…メディス伯爵の皆…改めて謝罪をさせてくれ。王太子であるカイゼルがエリーゼ嬢へとした仕打ちの事もだが、そのせいで今回更にエリーゼ嬢を危険な目に晒す事になってしまった事…本当にすまなかった。」
ガストンは申し訳なさそうに頭を下げながらエリーゼ達へと謝罪した。
「私からも…。本当にエリーゼ嬢を沢山辛く酷い目に遭わせてしまいごめんなさいね…。」
アイリーンも申し訳なさそうに頭を下げてエリーゼ達へと謝罪した。
「陛下…王妃様…頭を上げてください。」
マイクが慌てて言った。
「そうです。頭を上げて下さい。私は…大丈夫ですので…。もうお気になさらずに…。今回の事件も陛下もお力添えをして頂いたと聞きました。お陰で今こうして私は王宮へ訪れる事が出来ましたので…。」
エリーゼは慌ててガストンとアイリーンへと言った。
「だが…。」
ガストンは戸惑いながら言った。
「カイゼル…お前も謝罪しなさい。」
ガストンはカイゼルの方を向いてカイゼルへと言った。
「はい。父上…。」
カイゼルはそう言うとエリーゼ達の前へとやって来た。
「この度は、私の愚かな行動によってエリーゼ嬢を大変な目に遭遇させてしまった事…改めて謝罪する…。本当にすまなかった…。」
カイゼルは頭を深々と下げてエリーゼ達へと謝罪した。
「殿下…頭を上げて下さい。殿下の行動によりエリーゼがあの様な事になった事は事実ですが…今回エリーゼに危険が迫った際に殿下がエリーゼを救出してくださいました。殿下が救出して下さらなければ今頃エリーゼはどうなっていたか分かりません。ですので…頭を上げて下さい。」
マイクが頭を下げるカイゼルを見て言った。
マイクの話を聞いてカイゼルは顔を上げた。
「殿下…エリーゼを助けて頂きありがとうございました。お陰でエリーゼは私達の元へと戻ってくる事が出来ました。」
マイクはカイゼルへと頭を下げてお礼を言った。
マイクに続いてエリーゼ達も頭を下げた。
「いや…私は…当たり前の事をしたまでだ…。」
カイゼルはどこか切ない表情を浮かべながらマイクへと言った。
そして…
「エリーゼ嬢…本当に…辛い思いをさせてすまなかった…。」
カイゼルはエリーゼの前へと立ち言った。
(エリーゼ…エリーゼ…。エリーゼ…少し痩せたのではないのか…?体調は本当に大丈夫なのか…?)
カイゼルは目の前にいるエリーゼを見て切ない表情を浮かべながら思っていた。
「いえ…で…殿下…。私は…大丈夫ですので…お気に…なさらないで下さい……。」
エリーゼは今にも泣きそうになりそうなのをグッと堪えるような声で下を向いたまま応えた。
(だめ…殿下の顔を見れない…今…見たら…きっと泣いてしまうわ…。)
エリーゼはカイゼルへ話しながらそんな事を思っていた。
「エリーゼ…。」
カイゼルがエリーゼに更に声をかけようとした時…
「カイゼル…もうよい。こちらへ戻ってきなさい。」
ガストンがエリーゼの態度を見て察した様にカイゼルへと言った。
「はい…。」
カイゼルは応えると切ない表情を浮かべたままエリーゼを見るとガストンがいる場所へと戻った。
「さて…スカイ公爵と娘のサリー嬢の処分の件も話しておこうと思う。」
ガストンがその場の空気を変えるかの様に言った。
「既にメディス伯爵達も知っていると思うが今回のエリーゼ嬢誘拐の件はスカイ公爵とサリー嬢が関与した事件だった。既にスカイ公爵とサリー嬢は拘束している。二人への処分が決まったので皆にも伝える事とする。」
ガストンがエリーゼ達へと説明した。
「二人への処分として…スカイ公爵家の家紋剥奪及び爵位剥奪。スカイはこの国からは国外追放され孤島への島流しを命じた。娘のサリー嬢には同じく国外追放とし離れた国にある修道院へ生涯収容とし命じた。」
ガストンが更に説明した。
「あの二人が二度とメディス伯爵家の皆へ近づく事はないので心配無用だ。」
ガストンはエリーゼ達へと伝えた。
「陛下…処分報告ありがとうございます。厳選なる処分感謝致します。」
マイクがガストンへとお礼を言った。
「「感謝致します。」」
エリーゼ達三人もガストンへとお礼を言った。
エリーゼ達はスカイ公爵達の処分を聞き顔を見合ってホッとした表情を浮かべていた。
「エリーゼ嬢…私からエリーゼ嬢にもう一つ話があるのだが…。」
ガストンがエリーゼへと言った。
「私にお話…ですか?」
エリーゼはガストンの言葉に不思議に思いガストンへと尋ねた。
「あぁ。実はな…エリーゼを妻に迎えたいという方がいるのだ…。」
ガストンは笑みを浮かべながら言った。
「えっ…?」
エリーゼはガストンの思わぬ言葉に呆気にとられて思わず声を漏らした。
「なっ!どういう事ですか?!父上!!」
ガストンの話を聞いてカイゼルが思わず声を張り上げてガストンへと尋ねた。
急にカイゼルが声を張ったのでその場にいた者は驚いた。
「カイゼル…声が大きいぞ…。」
ガストンは冷静にカイゼルへと言った。
「…申し訳ありません…。しかし…その…エリーゼ……嬢を妻にと…。」
カイゼルは唇を噛み締めながら声のトーンを落として言った。
「あぁ。エリーゼ嬢がカイゼルから王太子妃候補から外されたと聞き、それから是非自分の妻にとの事でな…。その方は私もよく知っているしエリーゼが嫁ぐには申し分ないと思うが…。エリーゼ嬢どうかな?」
ガストンは淡々とカイゼルへと説明するとエリーゼの方を向いてエリーゼへと尋ねた。
「あっ…あの…どう…と言われましても…突然の事であの…。」
エリーゼはガストンに尋ねられると慌てて言った。
そして…カイゼルの方を思わずチラリと見た。
(私をお嫁に…?一体何がどうなっているの…?殿下は…知らされていないようだけど…。)
エリーゼはカイゼルをチラリと見ながら頭を混乱させながらそんな事を思っていた。
「あの…お父様…一体どうしたら…私…。」
エリーゼは思わずマイクへと小声で言った。
「エリーゼ…大丈夫だ…。心配する事ないさ。」
マイクは優しく笑みを浮かべながらエリーゼへと言った。
「どういう事なの…?」
エリーゼはマイクの表情と言葉に余計に混乱して言った。
「まぁ…いい。今日はその方がここへ訪ねてきているから紹介するとしよう。」
ガストンは笑顔でエリーゼへと言った。
「父上!」
カイゼルは焦った表情を浮かべながらガストンへと言った。
「何だ?お前はそこで見ていればいい…。お前がエリーゼ嬢を王太子妃候補から外したのだから。」
ガストンは軽く皮肉をまじえた様にカイゼルへと言った。
「なっ…!」
カイゼルはガストンの言葉に言葉を詰まらせた。
(エリーゼを妻に迎えたいだと…?一体どういう事だ…?私は…何も聞かせていないぞ…?エリーゼが…誰かの妻になるだと…?)
カイゼルは頭の中が混乱しながらエリーゼをチラリと見てそんな事を考えていた。
コツコツ…
コツコツ…
その時、その場に一人の男性が現れた。
そこへ現れた男性を見てエリーゼもカイゼルもとても驚いた。
もちろん…その場にいたフェイも口をポカンと開けて驚いた。
「アリ…おじさま?」
エリーゼは驚いた表情で言った。
そう…
そこへ現れた人物はエリーゼもカイゼルもフェイもよく知るアリストンだったのだ。
「ははは…。エリーゼ!私がここへいるのに驚いてたという顔をしているな。」
アリストンは笑いながらエリーゼへと言った。
「えっ…えぇ。凄く驚いています…。あの…もしかして…私をお嫁にと言っているのは…。」
エリーゼは驚いた表情のまま応えるとアリストンへと尋ねた。
「あぁ。その通り!私がエリーゼを嫁に欲しいと言った人物だよ。」
アリストンは笑顔で応えた。
「えっと…。」
エリーゼは笑顔で応えるアリストンに混乱しながら言った。
「どうして…アリさんが…ここへ…?」
カイゼルもアリストンが現れた事に混乱しながら呟いた。
「カイに…フェイに数日ぶりだな。」
アリストンはカイゼルとフェイの方を向いて笑顔で言った。
「はい…。」
「えぇ…。」
カイゼルとフェイは呆気にとられた表情を浮かべながら応えた。
「あの…アリ…おじさまがどうして…私をお嫁にと…?それよりも…どうしてここへいるんですか?」
エリーゼは混乱したままアリストンへと尋ねた。
アリストンはエリーゼの元へと歩いてきた。
そして…
「私は…幼い頃からエリーゼを知っている。エリーゼがとても心優しいまま素晴らしい女性に育っているのを見て一緒に過ごしているうちに…いつの間にか…エリーゼを一人の女性として見るようになっていたんだよ…。エリーゼが王太子妃候補でなくなったのであれば私がエリーゼを幸せにしたいと思ってな…。」
アリストンはとても優しい笑みを浮かべながらエリーゼへと言った。
「えっ…?おじさまが…私を…?」
エリーゼはアリストンの話を聞き更に驚きを隠せないといわんばかりの表情で言った。
「あぁ…。」
アリストンは優しく応えた。
「でっ…でも…だからってどうして…こんな所へ…?」
エリーゼは疑問に思っている事を尋ねた。
「それは…。」
アリストンが説明しようとしたとき…
「それは…私の口から言おう…。」
ガストンがアリストンの言葉を遮る様に言った。
「父上…?」
カイゼルがガストンの言葉が意味がわからずガストンへと言った。
「この方は…我が兄であり…この国元…王太子でもあられる王兄殿下のアリストン・バル・サザン殿下である…。」
ガストンはアリストンを手差ししながらその場にいた者へと言った。
「なっ…!アリさんが…王兄殿下だと?つまり…私の伯父上…?」
カイゼルはガストンの話を聞いて目を見開いて驚きの表情を浮かべながら言った。
「あぁ…。そうだ…。お前の伯父上だ…。」
ガストンが応えた。
「そんな…。まさか…。」
カイゼルは驚きを隠せぬまま言った。
「アリ…おじさまが…王兄殿下…?」
エリーゼも驚きのあまり呆気にとられた表情でアリストンへと言った。
「あぁ…。だから王太子妃までとはいかないが身分としてもしっかりとエリーゼに見合う家柄だろ?」
アリストンはニコリと笑みを溢しながらエリーゼへと言った。
(そんな…アリさんが…王族であり…私の伯父上だと…?ありえない…。そして…何故アリさんがエリーゼに求婚するのだ…?エリーゼを一人の女性としてって…。そんな…こんな事があっていいのか…?)
カイゼルは混乱する中そんな事を考えていた。
そして、そんな事を考えながらエリーゼとアリストンの方を見た。
その瞬間…カイゼルの目に信じがたい光景が映ったのだった。
それは…アリストンがエリーゼの頬を優しく触りキスをしようとしていたのだった。
「アッ…アリ…おじさま…?ちょっと…何を…!」
エリーゼは急に頬を触られキスをしてこようとしてきたアリストンに驚き混乱しながら言った。
「大丈夫…。私を信じろ…。きっと…上手くいくから…。」
すると、アリストンは小声でエリーゼへと呟いた。
「どういう…意味…。」
エリーゼがアリストンの言葉の意味がわからずアリストンに尋ねようとした時だった。
ガバッ!
カイゼルがエリーゼからアリストンを引き離した。
そして、カイゼルはエリーゼの手を取った。
「えっ…?」
エリーゼは突然の出来事に理解が追いつかなく声を出した。
「行こう…。」
カイゼルはエリーゼの手を取ったままエリーゼに呟いた。
そして、カイゼルはエリーゼの手を取ったままエリーゼを連れてその場から去っていったのだった………
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