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76.受け入れるべき現実

翌日…


王宮では…


カイゼルはまるで魂でも抜かれたかの様に抜け殻状態になっていた。


「殿下…こちらの書類に記入ミスがございます…。」


フェイはそんなカイゼルへ困った表情を浮かべながら言った。


「ん?あぁ…。すまない。記入し直すよ。」


カイゼルは力無く応えた。


「お願い致します…。」


フェイはそういうと書類をカイゼルへと渡した。


(殿下…本当に抜け殻の様にボーっとしておられるな。エリーゼ様の事があったので無理もないがこのままでは王太子の仕事に影響が出てしまいそうだな…。)


フェイはカイゼルに書類を手渡しながらカイゼルの表情を見てそんな事を思っていた。


「それから…陛下。スカイ公爵とサリー様に関してですが…。」


フェイが言いにくそうにカイゼルへと言った。


「あぁ…。」


カイゼルは二人の名前を聞くと一気に声のトーンを低くして言った。


「お二方の処分については、明日王命にて通達が下りるとの事です。」 


フェイがカイゼルへと伝えた。


「そうか…。」


カイゼルが言った。


「はい。それと同時に明日…メディス伯爵様にも陛下の方からスカイ公爵とサリー様の処分についてお伝えするとの事ですので殿下もお立ち会いの方よろしくお願い致します。」


フェイがカイゼルへと言った。


「メディス伯爵が王宮へ来るのか?」


フェイの話を聞いてカイゼルは慌てて尋ねた。


「はい。陛下が王宮へとお呼びだてされた様です。」


フェイが応えた。


「そうか…。それは…メディス伯爵一人で…いや、分かった。」 


カイゼルは何か言いたげだったが言葉を飲み込み応えた。


(エリーゼも共に来るはずなど…あるわけないのにな…。)


カイゼルはフェイに応えながらそんな事を思っていた。


「では…その件につきましては明日よろしくお願い致します。」


フェイが言った。


「あぁ。」


カイゼルが応えた。


そしてフェイはカイゼルに伝達を伝えたので部屋から出たのだった。


(エリーゼ…今頃…君は…何を想っているんだ?記憶が戻った今…きっと私の君に対する失態を思い出して私を拒絶しているだろう…。カイとしての私の事も忘れたいと思っているだろうな…。今…エリーゼ…私のせいで悲しみ君は泣いているんだろうか…。)


フェイが部屋を出ていった後にカイゼルは窓から外を見つめながら切ない表情を浮かべてそんな事を考えていたのだった。




フェイはカイゼルの部屋を後にした

足で国王であるガストンの元へと向かっていた。


コンコンッ!


「陛下…フェイ様がおいでになられました。」


フェイが部屋の前まで着くと部屋の前の護衛が扉を叩き中へと報告した。


「入ってもらってくれ。」


中からガストンが応えた。


「承知致しました。フェイ様中へどうぞ…。」


護衛が応えるとフェイへと言った。


「あぁ。ありがとう。」


フェイは護衛にお礼を言うと扉を開けて中へと入った。


「失礼致します。」


フェイが部屋の中に入ると言った。


部屋の中に入るとそこにガストンと王妃のアイリーンがいた。



「フェイ…さぁこちらへ。」


中にいたガストンがフェイへと言った。


「はい。」


フェイは応えるとガストンとアイリーンの目の前まで歩いた。


「あれからカイゼルの様子はどうだ?」


ガストンがフェイへと尋ねた。


「はい…。殿下は抜け殻状態が続いておいでです。執務をされていてもどこか上の空という様な…。」


フェイは心配そうな表情を浮かべながら言った。


「そうか…。」


ガストンは困った表情を浮かべながら言った。


「エリーゼ様の記憶が戻られた以上…殿下は二度とエリーゼ様には会えないと落ち込んでおられます…。自分が引き起こしてしまった事とはいえ…エリーゼ様の記憶がない間に過ごした時間を考えると余計にお辛いのかと思います…。」


フェイは切ない表情を浮かべながらガストンへと言った。


「兄上から手紙が届いたのだが…エリーゼ嬢はもっと苦しみ悲しみ辛い思いをしている様だ…。」


ガストンがフェイへと伝えた。


「エリーゼ様が…。それは…そうですよね。我々が想像するよりも遥かに…傷ついておられますよね…。」


フェイは心配そうな表情を浮かべながら言った。


「エリーゼ嬢が心配だわ…。あの子はとても心の綺麗な優しい子だからきっと今…本当に深く傷ついていると思うから…。そう思うと心が痛むわ。カイゼルの親として改めてエリーゼ嬢にもだしメディス伯爵家の皆さんには謝罪をしたいと思うわ…。」


アイリーンは心配そうな表情を浮かべながら言った。


「エリーゼ嬢やメディス伯爵家族に謝罪の件だが…二日後に王宮へと呼び改めて謝罪をしたいと思っているんだ。スカイ公爵と娘のサリー嬢の処分についても私から直接伝えようと思っているしな。」


ガストンがアイリーンの言葉を聞いて言った。


「王宮へ?メディス伯爵達を王宮へ呼ばなくとも私達がメディス伯爵家へ足を運べばいいでしょう?」


アイリーンはガストンの話を聞き驚いた表情で言った。


「私もそう思ったのだ……。実は兄上からの手紙にメディス伯爵家を王宮に呼んで欲しいと言われたのだ。」


ガストンが困った表情を浮かべながらアイリーンへと言った。


「王兄殿下からですか?!」


アイリーンは驚いた表情を浮かべながら言った。


「あぁ。兄上は何やら考えがある様なのだがな…。カイゼルとエリーゼ嬢の為と言っていたが詳しい詳細は書いてなかったのだ。詳しい事は当日に伝えるからと…。一先ず…兄上はメディス伯爵に王宮から手紙が来たら従う様にと伝えてはある様だから二日後に王宮へと足を運ぶようにとの手紙は出そうと思うのだ。」


ガストンがアイリーンへと説明した。


「そうなの?王兄殿下の事だから何かお考えがあるのだと思うから…一先ずは言われた通りにしてみましょうか…。」


アイリーンは少し心配そうな表情を浮かべながらガストンへと言った。


「あぁ。という訳だからフェイ…お前からこの事をカイゼルへと伝えておいてくれないか?カイゼルからも改めて謝罪させねばならないからな。」


ガストンがフェイへと言った。


「……。はい。承知致しました。殿下には私の方からお伝えしておきます。」


フェイは頷きながら応えた。


(王兄殿下は一体何を考えておられるのだろうか…。この状況で殿下とエリーゼ嬢を会わせても大丈夫なのだろうか…。心配でたまらないな…。)


フェイはガストンへと応えながらそんな事を考えていた。


そして、フェイは部屋を出た足で再度カイゼルの元へと向かった。




コンコンッ!


「殿下、フェイにございます。」


フェイがカイゼルの部屋の扉を叩いて言った。


「あぁ。入れ。」


中にいたカイゼルが応えた。


「失礼致します。」


フェイはそう言うと部屋へと入った。


「どうしたんだ?」


カイゼルは部屋に入ってきたフェイへと尋ねた。


「はい。陛下からのご伝言です。」


フェイが応えた。


「父上の?何かあったのか?」


カイゼルは不思議そうな表情を浮かべながらフェイへ尋ねた。


「陛下からのご伝言で二日後にメディス伯爵家の皆様が王宮へとお越しになるそうです。」


フェイがカイゼルへと説明した。


「何?!メディス伯爵家が?!エリーゼも…一緒に…か?!」


カイゼルはフェイの言葉に思わず声を張って言うと緊張した表情を浮かべながらフェイへと尋ねた。


「はい。エリーゼ様もお越しになられるそうです…。」


フェイが頷きながら応えた。


「エリーゼ…も来るの…か…。」


カイゼルが驚いた表情で呟いた。


「はい。陛下、王妃殿下、殿下から改めてメディス伯爵家への謝罪ならびにスカイ公爵とサリー様へと処分もご報告なさるとのことです。」


フェイが説明した。


「謝罪か…。エリーゼは…王宮に足を…運んで…くれるのだろうか…。私の顔など…見たくないはずだ…。」


カイゼルは苦しそうな切なそうな表情を浮かべながら言った。


「……。王宮からの命ですので恐らく…お越しになるかと思います。」


フェイはカイゼルの表情を見て何ともいえない表情を浮かべながら言った。


「そうか…。分かった…。伝言ありがとう…。」


カイゼルは切ない表情を浮かべながらフェイへと言った。


「いえ…。では、私は失礼します。」


「あぁ。ご苦労だった。」


フェイがカイゼルに言うとカイゼルは応えた。


フェイは部屋を後にした。


フェイが部屋を出ていった後カイゼルは一人窓の外を見つめていた。


(エリーゼが…王宮へ来るのか…。エリーゼは私を見て怯えるのだろうか…。きっと会いたくないと思っているだろう…。王宮へ来ても…きっと目も合わせてくれないだろう…。もう…カイとエリーゼとして…話せる事はないだろう…。二日後の謝罪が終われば…きっと…本当にエリーゼと会うことなどなくなるのだろう…。)


カイゼルは苦しそうな表情を浮かべながら思っていた。


(私は…いずれ王太子妃を迎えなければないらない…。エリーゼは…将来…私ではない…他の誰かと…恋に落ち…結婚して…幸せになるのだろうか…。私ではない…他の誰かと…。)


カイゼルは部屋に置いてある運命の花の鉢植えを見つめながら切ない表情で思っていた。


(私がこんな事を思う資格などないというのに…エリーゼが他の誰かを好きになるかもしれないと…思うと…胸が張り裂けそうだ…。エリーゼ…エリーゼ。)


カイゼルは胸を押さえながらとても辛そうな表情を浮かべながら思っていたのだった。




その日の夕方にメディス伯爵家へ王宮からの手紙が届いた。


手紙の内容をマイクが家族へと伝えた。


「父上…エリーゼと殿下を会わす事は私は反対です。」


ブラットが怒りを露わにした表情でマイクへと言った。


「ブラット…お前の気持ちは分かるが王宮からの命だから断るのは難しいだろう。」


マイクは困った表情を浮かべながらブラットへと言った。


「しかし…父上と母上も殿下がエリーゼにした仕打ちをご存知でしょ?」


ブラットは怒りが収まらいという表情で言った。


「お兄様…いいのよ。私は大丈夫だから。怒ってくれてありがとう…。」


エリーゼはブラットへ困った表情をしながらも笑みを浮かべながら言った。


「エリーゼ…。しかし…。」


ブラットはエリーゼを見て心配そうな表情で言った。


「本当に…大丈夫よ。陛下からの謝罪を断る事は出来ないわ…。正直…殿下とお会いするのは怖いというよりは…複雑な気持ちだけれど…この機が終われば…もう殿下にお会いする事はよほどの事がない限りないと思うから…その時をやり過ごすだけなら大丈夫よ。」


エリーゼはブラットを心配させない様にと優しくブラットへと言った。


「エリーゼ…。」


ブラットはそんなエリーゼを見て困った表情を浮かべながら言った。


「ブラット…エリーゼが殿下とお顔を合わせるのは私達も不安だし心配よ…。でもね…今回は王宮へ伺いましょう。」


ナディアがブラットへと少し困った表情を浮かべながら言った。


「………。わかり…ました。」


ブラットはバツが悪そうな表情で納得して言った。


「エリーゼ…もし…途中で気分が優れなくなったりしたらすぐに言うんだぞ?」


マイクがエリーゼへと心配した表情を浮かべながら言った。


「えぇ。お父様。ありがとう…。」


エリーゼは笑みを浮かべながら言った。


「うん…。では…この話は終わりにして夕食にしよう。」


マイクは頷きながら王宮からの手紙の話を打ち切って笑顔で皆へと言った。


エリーゼ達は三人は笑みを浮かべながら頷いた。



夕食を食べ終わって自室に戻ったエリーゼは部屋に置いてある鉢植えを見つめていた。


(殿下と…顔を合わす事になるのね…。もう…顔を合わす事はないと思っていたけれど…。私は…一体どんな顔をして殿下に会えばいいの…?殿下を見たら泣いてしまわない?辛くならない…?ううん…。きっと辛くて悲しくてどうしようもなくなるかもしれない…。だけど…その日が終われば…殿下と顔を合わす事もなくなるから…その日だけは何とか…耐えよう…。)


エリーゼはそんな事を考えていた。


(運命の花…サリー様ではなくなるだろうけど…殿下は…いずれ…どなたかを王太子妃として迎えられるのよね…。きっと…王太子妃候補ではなくなった私ではない…誰か…他の人と…。私は…その時に…一国民として…ちゃんと…祝福できるのかしら…。私のこの気持ちは…きちんと…上手に消すことが出来るかしら…。)


エリーゼは鉢植えを見つめながらそんな事を考えていたのだった……

ご覧頂きありがとうございます★


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ブックマーク&評価の方ありがとうございます★

とても励みになってます★

最後までお付き頂けると幸いです★

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