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73.エリーゼの誘拐

話も終盤になってきました…

最終話までお付き合い頂けると幸いです…

カイゼル達がエリーゼを追っていたその頃…


エリーゼは男に人気のない場所に停められていた古びた馬車のところまで連れてこられていた。

馬車が停まっていた馬車には別の男がもう一人待機していた。


そしてエリーゼは手首を縄で縛られた後に馬車の前へと座らされた。


(ここは…どこかしら…。一体この人達は誰なのかしら…。私は一体どうなるのかしら…。)


エリーゼはずっと黙っまま辺りを目で見渡したながらそんな事を思い不安にかられていた。


すると…


ガチャ…


馬車の中から誰かが出てきたのだった。


中から出てきたのはサリーだった。


「あっ…あなたは…。」


エリーゼは馬車の中から出てきたサリーを見て驚いた表情を浮かべて思わず呟いた。


「また…会いましたね…エリーゼ様…。」


馬車の中から出てきたサリーは座らされているエリーゼを見下ろす様に不気味な笑みを浮かべながらエリーゼへと言った。


「あの…何故…あなたがここへ…?」


エリーゼは目の前にいる何故サリーがいるのか分からず戸惑いを隠せない表情を浮かべながら尋ねた。


「何故…?それは…エリーゼ様とお会いするのはこれで最後になりそうなので今のうちに話をしておこうと思ったのですよ…。」


サリーは更にエリーゼを見下ろす様に不気味に笑みを浮かべながら言った。


「私に…話…ですか?」


エリーゼはますます混乱を隠せないという表情で呟いた。


「えぇ…。」


サリーはその場にしゃがみ込んでエリーゼと同じ目線になり不気味に微笑みながら言った。


「エリーゼ様がお会いしている男性がどんな方かご存知ない様なのできちんと教えて差し上げようと思いまして…。」


サリーは更に不気味に微笑みながらエリーゼへ言った。


「私が会っている…男性…?カイさんの…事ですか…?」


エリーゼはサリーの言葉に驚きながら尋ねた。


「はい…。」


サリーは頷きながら言った。


「あの…カイさんが…どんな方というと…。」


エリーゼは混乱しながらサリーへと尋ねた。


(カイさんがどんな方って…意味が分からないわ…。何故ここでカイさんの話が出てくるのかしら…。この方は一体…カイさんとどのような…。)


エリーゼはサリーに尋ねながらも内心は更に混乱しながらそんな事を思っていた。


「……。彼は…この国の王太子殿下であり私は彼の婚約者です。」


サリーはエリーゼの目を見ながら言った。


「えっ…?カイさんが…王太子殿下…?あなたは…その婚約者…?えっ…。」


エリーゼはサリーの言葉に取り乱しながら呟いた。


「そうです…。あの方はこの国の王太子殿下なのです。そして私は…殿下の婚約者であり王太子妃なのです。ですので…あなたの様な人が隣に並べる様な方ではないのですよ?」


サリーは薄気味悪い笑みを浮かべながらエリーゼへと言った。


「そんな……。カイさんが…王太子殿下だなんて…。そんな…嘘……。カイさんは…そんな事を…一言も…。」


エリーゼは頭が混乱しすぎて上手く言葉が出てこなかった。


「きっと…殿下にはあなたの様な平凡な方が物珍しかったのでしょう…。でなければあなた様な人と話もするわけないでしょう…。」


サリーは更にエリーゼを混乱させるかの様に悪い笑みを浮かべながら言った。


「でも…カイさんは…私を………好きだと…。」


エリーゼは混乱とショックで目に涙を浮かべながら呟いた。


バチチーーーン!!


その時…

大きな音ともにエリーゼの左頬に鈍く熱い痛みがジワリジワリと広がった。


「どうして…。」


エリーゼは突然の出来事に呆気にとられ左頬を手で覆いながらサリーを見て呟いた。


「殿下が…あなたを…好きだと言ったですって……?ふざけるな……ふざけるな……ふざけるなーー!!」


サリーは表情を怒りで歪ませ体を怒りで震わせながら呟くと最後の方にはエリーゼを憎しみのこもる目で見ながら叫んだ。


サリーが叫んだ事にエリーゼも含めてその場にいた男たちも驚いた。


「おいおい…御嬢さんよ…そんな大きな声で叫ぶなよ。誰かに聞かれたらどうする気だ?計画をパーにしたいのか?これだから金持ちの御嬢さんは困るな…。」


男の一人が苛つきを覚えるように呆れながらサリーへと言った。


「うるさいわね!あんた達は私がお金を払って雇っているんだから私にそんな口をきくなんて許さない!」


サリーはキッと男の人を睨みつけながら言い放った。


「はぁ〜はいはい…分かりました…分かりました…。」


男はため息をつきながら呆れ笑いを浮かべながらサリーへと言った。


「私より遥かに格下の…あなたがどうして…どうして…。許さないわ…絶対に…。」


サリーは更に憎しみのこもった表情を浮かべながらエリーゼへと言葉を吐き捨てた。


「あんた達…そろそろ連れて行ってもいいわ!もう…この人の顔も見たくないわ…。後はあんた達の好きにするといいわ…。ただし…分かってるわよね?」


サリーは男たちの方を向くと目を細めながら男たちへと言った。


「あぁ…。わかってるよ…。御嬢さんに言われなくてもな。俺たちを何だと思ってんのか…。」


男の一人が呆れた様に言った。


「あの…私を…どこへ連れて行くつもりなのですか…?」


エリーゼは恐る恐るサリーへと尋ねた。


「どこ…?そうね…。しいていうなら…地獄…かしら…?」


サリーは不気味に笑みを浮かべながらエリーゼへと言った。


「!!!」


エリーゼはサリーの不気味な笑みと言葉に衝撃を受けた表情を浮かべた。


「それは…一体…」


エリーゼが更にサリーに尋ねようとした時…


男の一人がエリーゼの後ろから手を出し布でエリーゼの口を塞いだ。


「んっ!!」


エリーゼが声にならない声を出した。


「ここからは…声を出されたら困るんでな…。」


男の一人がニヤリと不気味に笑みを浮かべながらエリーゼへと言った。


「本当はね…目障りで憎くて仕方のないあなたに私が直接手を下したかったのだけれど…それは…さすがに難しいからね…。仕方ないけれどこの男達にお願いすることにしたのよ…。本当に私が直接手を下せないのが心残りだわ…。」


サリーはエリーゼに近づきエリーゼの耳元で笑みを浮かべながら呟いた。


「んんー!!ん!」


エリーゼは必死に抵抗して声を出そうとした。


「はいはい。御嬢さんはここまでね。御嬢さんはさっさと家に帰んな!」


男の一人がサリーへと言った。


「分かってるわよ。私に指図しないで。」


サリーは男を睨みつけながら言った。


「では…エリーゼ様…永遠にさようなら…。心配しなくても殿下はあなたの事なんてすぐに忘れるでしょうから…そんな事気にせず……死んでくださいね。」


サリーはほくそ笑むように笑いながらエリーゼへと言葉を吐き捨てた。

そして、そのまま別の馬車へと乗り込み馬車はその場から去っていったのだった。


「んんーー!!んー!」


エリーゼは必死に抵抗しようとした。


「はいはい…暴れるな。さっ…お嬢ちゃんも馬車へと乗ろうかね…。」


男の一人がそう言うとエリーゼの腕を持ち無理矢理立ち上がらせて馬車へと乗せようとした。


だが、エリーゼの体が突然大きく震えだした。


ブルブルッ…

ブルブルッ……


(怖い…怖いわ…何だろう…馬車を見ると恐怖で体の震えが止まらない…。この馬車に乗ったら私は…殺されてしまうからなの…?ううん…それとは違う恐怖…何だろう…怖いのに何故馬車が怖いのかがわからない…。)


エリーゼは体が馬車を拒絶するのを感じながらそんな事を考えていた。


そして、無理矢理馬車に乗せられ様とするのを全力で抵抗した。


ゴツンッ!


鈍い音ともにエリーゼの頬に再び鈍く熱い痛みが走ったのだった。


男がエリーゼが暴れるのでエリーゼの頬を殴ったのだった。


「暴れんじゃねーぜ!いいからさっさと乗れ!手間かけさせやがって!」


男が苛つきながらエリーゼに吐き捨てると殴られて力無くなったエリーゼを無理矢理馬車へと乗せたのだった。

そして、馬車の扉を閉めて扉が中から開けれない様に頑丈に鎖をかけたのだった。


「おい!急いで目的地に行くぞ!」


エリーゼを馬車へと乗せた男がもう一人の男へと言うと馬車が動き出したのだった。


エリーゼは自分の体を一生懸命扉にぶつけて扉をどうにか開けようとしていた。


(どうしよう…開かない…。馬車が動き出してしまったわ。街から離れてしまったらどうしようもないわ…。はぁ…はぁ…はぁ…。どうしよう…どうにかして扉を開けないといけないのに…息苦しい…叩かれたり殴られたりした頬が痛い…。)


エリーゼは扉に体をぶつけながら必死にそんな事を考えていた。


(馬車の中へ乗ったからか体の震えがもっと酷くなった様な…。苦しい…痛い…頭もくらくらしてきたわ…。でも…胸が一番痛い…カイさんが王太子殿下だったなんて…あの人が嘘を言っているのよね…。カイさんは嘘をつくような人ではないわよね…。私に好きって言ってくれたのも…嘘なんかじゃないよね…。あの時のカイさんの表情は…本当に…私を好きだと思ってくれている顔だったよね…。なら…どうして胸が痛むの…?ショックで仕方ないの…?)


エリーゼは辛い状況下の中で頭が朦朧としながらもそんな事を考えていると目から涙が溢れ落ちたのだった。


(私…あの男の人達に殺されてしまうんだろうか…。カイさんに…聞きたい事も聞けないまま死んでしまうのかしら…。自分が一体何者なのかも思い出せないまま死んでしまうのかしら…。今も記憶がない私を待っててくれる人を更に悲しませてしまうことになるわね…。)


エリーゼは段々と薄れていく意識の中でそんな事を考えていた。


(カイさんに…最後に…一目だけでも会いたかったな…。カイさん…カイさん…。)


エリーゼは涙を流しながらそんな事を思っていた。


その時だった!


「リーゼ…。……ゼ…。エリーゼーー!」


遠くの方からエリーゼを呼ぶ声が聞こえた。


(カイさん…の声…?これは…幻聴…?)


エリーゼは微かに自分を呼ぶカイゼルの声が聞こえたように感じていた。


「エリーーーーゼ!!」


カイゼルがエリーゼの名前を必死に呼ぶ声が聞こえた。


(?!やっぱり…カイさんの声だわ…。カイさん…何故…カイさんが…?理由はわからないけど…カイさんが私を助けに…来てくれたの…?カイさん…。)


エリーゼはカイゼルが自分の名前を呼んでいるのを確信して思っていた。


「エリーゼ!エリーーゼ!」


カイゼルは自分の視界に馬車が見え更に大声でエリーゼの名前を叫んだ。


「チッ!追手が来やがった!もっと急げ!撒くぞ!」


馬車を運転していた男の一人がカイゼルが追いかけてきているのに気づき言った。

そして、馬車のスピードを上げた。


急に馬車のスピードが上がったのでエリーゼは馬車の中でバランスを崩して頭を椅子に打ち付けたのだった。


その瞬間…


エリーゼは酷い頭痛に襲われた…。


王太子妃の座を手にしたいがに私の側近にまで近づき色目を使うなど、令嬢として恥ずかしくはないのか!その様な者にはここにいる資格などない!君には今すぐここから出ていってもらう……


お父様…私…王命を受けますわ…


いつか、私もお父様とお母様の様にお互いにお互いを想い合い、助け合い、仲睦まじくいられる相手と結婚して普通の幸せな生活送りたいの…


はい…殿下があまり休息が出来ていないとフェイ様からお聞きしたので。こちらの花束をお部屋に飾って頂いて少しでもお部屋の雰囲気を良くして気持ちが少しでも安らいだらと思いまして…フェイ様にお願いして明日の殿下がご帰宅される前にお部屋の方に飾って頂こうと思っていたのです…


頭痛と共に記憶をなくす前の出来事がエリーゼの頭の中に張り巡らされたのだった…


そして…

頭痛が治まったエリーゼは放心状態になっていた。


そう…

エリーゼは頭を打った衝撃と同時に失っていた全ての記憶を思い出したのだった。


その時…

馬車が急ブレーキをかけた様に馬車を大きく揺らして止まったのだった。


「おっ…お前ら…何者だ?!」


馬車を運転していた男の一人が急に目の前に立ちはだかった人物を見て言った。


「お前ら…許さん…ここから無事で帰れると思うな…。」


馬車の前に立ちはだかった一人の男が驚く男達へと鬼のような面相を浮かべながら剣を男たちへと向けながら言った。


そう!

そこにいたのはアリストンとフェイだったのだ。


アリストンとフェイは馬を飛ばし先回りして馬車の前に立ちはだかったのだった。


馬車を追いかけてきたカイゼルも馬車の所まで辿りついた。

辿り着くなりすぐに馬から降りて馬車の扉の鎖を外して扉を開けた。


「エリーゼ!!」


カイゼルは馬車の中で倒れていたエリーゼへと近づき叫んだ。


そして、カイゼルはエリーゼを抱きかかえて馬車の外へと救出した。


「エリーゼ!エリーゼ!しっかりしろ!エリーゼ!」


カイゼルはぐったりとしているエリーゼを見て今にも泣いてしまいそうな表情を浮かべながら必死にエリーゼの名前を呼んだ。


「カイさん……どうして……」


エリーゼはそっと薄目を開けてカイゼルを見て涙を一粒溢しながら呟いた。


そして…

エリーゼはそのまま意識を失ったのだった……。

ご覧頂きありがとうございます★


他にも連載中の小説がありますのでよろしければご一緒にご覧下さい★


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この度、男装令嬢・キャサリンは探偵助手をする事になりました!!

〜探偵様は王子様?!事件も恋も解決お任せ下さい〜


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ブックマーク&評価の方ありがとうございます★

とても励みになってます★

最後までお付き頂けると幸いです★



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